悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~!   作:エスカド

104 / 104
103話:よく分かりませんけれど、分かりましたわ

 無残に繋ぎ合わされたデブリの隙間を縫い、薄暗いレイダーの隠れ家へと突入した三機のマキナ。張り詰めた緊張感が漂うコックピットの通信回線に、グレインの落ち着いた声が響いた。

 

『レタリア、もし平然とこちらに向かってくる機体があったら、容赦なくぶっとばしていいぞ』

 

「? ……よく分かりませんけれど、分かりましたわ」

 

 グレインの言葉の真意までは読めなかったが、レタリアは怪訝に思いつつも素直に返事をした。

 

『さて……』

 

 リーズのシートでグレインは一息つくと、周辺一帯の全共有チャンネルへと向けて、淡々と通告の通信を乗せた。

 

『ここを根城にしている犯罪者達に告ぐ。こちらはセルディア宇宙自治区管理局の自警団だ。お前たちが「ニスタリオ」自治区での略奪行為を経て、ここへ逃げ込んできたことは既に全て割れている。大人しく投降するならば身の安全は保証しよう』

 

 威圧感のある声が、静まり返った廃墟のようなアジトの宙域に拡散していく。

 ……しばしの間、何の実効的な反応も無かった。

 

 だが、数十秒が経過した頃、諦めたような濁った男の声が通信に混ざった。

 

『……チッ、ここまで追い詰められたか。なら諦めるしかねえ、投降するよ』

 

 その通信と同時に、アーデンのセンサーが物陰からゆっくりと動く機影を一つ捉えた。その機体は両手を上げるような素振りを見せながら、レタリア、グレイン、ステシアの三機のすぐ近くへと無防備に移動してくる。

 

 しかし、その距離が極端に縮まった瞬間――レタリアにはその感覚が伝わった。

 

(……害意を感じますわ)

 

 近づいてきた機体が、死角から隠し持っている実体ブレードを抜き放ち、不意打ちでこちらを両断しようとしている。アーデンシステムによって鋭くなったレタリアの魔力は、その目論見を決定的に捉えていた。

 

「だまし討ちは通じませんわよっ!」

 

 レタリアは叫ぶと同時に、アーデンの爆発的な機動でその機影の懐へと一瞬で飛び込んだ。そして、抜刀よりも早く、機体の全質量を乗せた強烈な蹴りを見舞った。

 

『レタリアさんっ!?』

 

 ステシアの驚愕の悲鳴。

 

『うわわあああぁぁぁーーっ!?』

 

 投降を装っていた機体は無様な悲鳴を上げながら後方へと凄まじい勢いで吹き飛び、建造物の壁へと激しく叩きつけられてそのまま沈黙した。火花を散らすその手元からは、レタリアの予知通り、鈍く光る実体ブレードが宇宙空間へと虚しくこぼれ落ちていく。

 

 それと同時に、周囲のレーダーアラートが一斉に鳴り響き、センサーが隠れていた複数の動く機影を捉えた。最初から投降などする気はなく、一機を囮にして奇襲を仕掛けるつもりだったのだ。

 

『やはりな。小細工を好む連中だ』

 

 最初から敵の嘘を見抜いていたグレインが、想定通りだとばかりに低く呟いた。

 

「グレイン!後8つありますわ!」

 

 レタリアは端的に述べた。

 

 そしてはコックピットで魔力を噴出させ、黄金の輝きを瞳に宿す。

 待ち伏せしていた敵機のうち、素早く動き出した塊――3機の場所へと、アーデンは迷うことなく真っ先に飛び出した。

 

『よし、俺はこっちの3機を受け持つ。ステシアは後ろから回ってくる2機をやれ!』

 

 グレインは的確に指示を出しながら、試作型フォトンライフル「アルシアン」を構えた。一瞬のブレもない流れるような動作から放たれた鋭い光条が、暗がりに紛れて接近しようとしていた敵機の一角、その頭部を正確に撃ち抜いて文字通り一撃で粉砕した。

 

『わ、わかりましたっ! やります!』

 

 ステシアも遅れじとラスタの出力を上げ、後方から回り込んできた残りの2機へと向かい合っていく。

 

『な、なんだコイツらは……っ!? ただの地方の警備兵の動きじゃねえぞ、おい!』

 

 一瞬にして形勢を逆転され、待ち伏せていたレイダーたちの通信に明確な恐慌が広がっていくのが分かった。

 

 光り輝く紫紺の愛機を駆り、怯む敵陣のド真ん中へと斬り込んだレタリアは、不敵な笑みをその唇に浮かべた。

 

「さあ、お覚悟なさいませ!」

どういうお話が好きですか?

  • キャラクターの日常
  • 戦闘
  • 政治的な駆け引き
  • 技術系
  • 主人公の活躍
  • レタリアがかわいい!
  • いや、ミレアがかわいい!
  • 他のキャラが良い!
  • その他(自由記入欄欲しい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜(作者:織雪ジッタ)(オリジナルSF/冒険・バトル)

そこは未来都市。▼何年も放置していたVRMMORPGに久しぶりにログインしてみた青年、ショウ。▼すっかり人のいなくなったそのゲームの世界に、懐かしさと哀愁を覚えながら、特にすることもなくログアウトする――はずだった。▼しかしショウは、ゲーム内のアバターであるおぞましくも禍々しい「魔族」の姿のまま、現実世界に出てきてしまう。▼魔族の見た目のせいで自分の意志とは…


総合評価:105/評価:6/連載:146話/更新日時:2026年06月19日(金) 09:17 小説情報

ロボゲー世界でロボに乗りたいので色々と画策してみる。(作者:裁縫セット)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼ 全然ロボットに乗せてくれないし乗る機会のないファンタジーロボゲー世界に転生した少年『アキ』▼これは、彼がですわですわ煩い悪役令嬢を利用してロボット作ったり。▼ パイロット技術化け物の主人公と決闘したり。▼「こんな事もあろうかと」でわけわからんアイテム取り出したり。▼ 物のついでにラスボスの計画狂わせたりしてロボットに狂うお話。


総合評価:244/評価:8/連載:3話/更新日時:2026年07月18日(土) 17:06 小説情報

産廃スキル『性転換』で魔法少女になったら戻れなくなった(作者:ぷに凝)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 スキルが一人につき一つしかない世界で、小林大翔が引き当てたのは『性転換』。▼ 性別を変えるだけの戦闘向きではない産廃スキル――のはずだった。▼ だが、女性専用装備『魔法少女のドレス』との組み合わせにより、その常識は覆る。▼ ドレスの力で圧倒的な戦闘能力を手に入れた大翔は、正体を隠したまま謎の魔法少女『プリムノヴァ』として活動を開始。▼ 少女の体と魔法少女の…


総合評価:934/評価:7.42/連載:67話/更新日時:2026年08月04日(火) 18:46 小説情報

極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して(作者:kohet(旧名コヘヘ))(原作:ガンダムSEED)

詰め込み教育の賜物で見事ブルコス系思想家の家から三行半を突きつけられた私。▼可哀想な私は月のコペルニクスに追放された。▼極めて可愛そうな私はほんの少しだけ優秀なせいで幼年学校でコーディネイターのクラスに分類されてしまった。▼キラキラした名前の少女とアスなんたら君と出会い楽しい楽しい学校生活を送る健気な私は極めて善良な少年であったと言えよう。▼〜コズミック・イ…


総合評価:7240/評価:7.99/連載:169話/更新日時:2026年08月03日(月) 13:33 小説情報

【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~(作者:パンダプリン)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

【美人で最強、なのに俺の前ではうざかわポンコツな魔王様】▼女神さまにハズレ扱いされた俺は、ラスボスの魔王が超高難易度で有名なとあるゲームの世界へ転生させられてしまった。▼スキルはダンジョンマスター。種族は魔族。どう見ても主人公側ではなく、敵側としてだ……。▼途方に暮れていたところ、明らかに格上の存在と出会ってしまったが、あなたが魔王……?▼勇者たちを倒したは…


総合評価:1892/評価:8.2/連載:309話/更新日時:2026年08月05日(水) 17:50 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>