悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~!   作:エスカド

108 / 108
107話:一体何のためにこんな場所を徘徊していますの

「……?」

 

 突如、紫紺のアーデンがピタリと動きを止めた。

 

『どうした、レタリア?』

 

 並走していたリーズのコックピットから、グレインの警戒を孕んだ声が飛ぶ。

 

「いるはず……なのですが、目の前には何も見えませんわ」

 

 レタリアは困惑した様子で答えた。研ぎ澄まされた彼女の魔力は、すぐ目の前にある「異物」の存在を確かに察知している。にもかかわらず、アーデンのメインモニターにも、視界の先にも、ただ暗い宇宙とデブリが広がっているだけだった。

 

『なに……?』

 

 グレインは短く呟くと、思考を巡らせる。

 レタリアの魔力がこれほど近くに何かを捉えているにもかかわらず、リーズのセンサーすら何一つ反応を示していない。

 

『なるほどな。――レタリア、君の感覚で「そこに居る」と思う場所を攻撃していい。俺が許可する』

 

「……? 分かりましたわ、ではっ!」

 

 グレインの言葉に一瞬首を傾げつつも、レタリアはすぐさまアーデンを前方へ加速させた。巨大なデブリの傍へ肉薄し、何も存在しないはずの空間へ向けて、アーデンの裏拳を勢いよく繰り出す。

 

「っ……!」

 

 何もない虚空を殴りつけたはずのアーデンの腕に、手応えのある強い衝撃が跳ね返ってきた。

 その感触を確認したグレインは、素早くリーズをアーデンの側へと寄せた。

 

『やはりな』

 

 アーデンの拳が直撃した空間がジジジ……と歪み、空間にノイズが走るような感覚と共に、一機の小型機械が姿を現して漂っていた。

 

「なんですの、これは……? 隠匿の魔法の類かしら?」

 

 目の前に突如現れた謎の機体に、困惑を深めるレタリア。

 虫の様な四脚の機械、以前対峙した小型機を思い出す。

 

『光学迷彩だ。光の屈折を誤認させて姿を消す技術だよ。……すぐに向こうの信号パターン解析に入る。少なくともセルディア管理局や、シンセ社の規格じゃないな』

 

「こーがくめーさい? よく分かりませんけれど……とりあえず、この感覚は、他にもたくさんありますわよ!」

 

 レタリアの言葉に、グレインは不敵な笑みを浮かべた。

 

『良し、片っ端から叩きのめしていいぞ。俺も解析が終わり次第、すぐに手伝う』

 

「ええ!」

 

 レタリアは強く頷くと、自らの魔力が示す場所へとアーデンを向けた。

 視界には相変わらず何も映らない。だが、確かにそこに「こーがくめーさい」を使って潜んでいる敵がいる。そして――その動きは、アーデンの機動性に比べればあまりにも鈍い。

 

「見えなくても、位置さえ分かれば十分ですわよ!」

 

 レタリアはアーデンのマニピュレーターで近く漂う小さなデブリの破片を掴むと、魔力を示す空間へ向けて勢いよく投げつけた。

 空間を滑るように飛んだ石が、何もない虚空で弾け、ジジッ……とノイズを上げて新たな小型機体が姿を現す。

 

「ふむ……人が乗っている気配はありませんわね。これは無人機ですわ」

 

 レタリアが敵の性質を見抜きかけたその時、アーデンのメインコンソールが一斉にアラートを鳴らし、暗闇のあちこちに複数の赤い光点が浮かび上がった。

 

『解析が終わった。アーデンにもデータを共有したぞ。これからは視界でもセンサーでも、はっきり見渡せるはずだ』

 

 グレインからの心強い通信が入る。

 光学迷彩のカラクリを破られた無人機群は、もはやただの標的に過ぎなかった。ここからアーデンとリーズの二機による、周辺の小型無人機群の掃討戦が始まった。

 

 隠れ潜んでいた無人機群は、以前対峙したエスカドの小型機に比べればやや劣るものの、決して遅くはない俊敏な機動で襲いかかってくる。

 しかし――

 

「その程度の間延びした動きでは、このわたくしには遠く及びませんわよっ!」

 

 レタリアは一閃のもとにフォトンセイバーを振るい、迫る無人機をまとめて真っ二つに両断した。

 少し離れた宙域ではグレインのリーズが戦っているが、通信モニターに映る敵の光点が次々と消滅していることから、あちらも一切の苦戦なく撃破を進めているのが分かった。

 

「持っている武器も実体剣だけ。一体何のためにこんな場所を徘徊していますの……?」

 

 手応えのなさに首をかしげた、その瞬間。

 レタリアの魔力が、何かを捉えた。

 

(……上!?)

 

 頭上。これまでの小型無人機とは異なる何かが迫っている。

どういうお話が好きですか?

  • キャラクターの日常
  • 戦闘
  • 政治的な駆け引き
  • 技術系
  • 主人公の活躍
  • レタリアがかわいい!
  • いや、ミレアがかわいい!
  • 他のキャラが良い!
  • その他(自由記入欄欲しい)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜(作者:織雪ジッタ)(オリジナルSF/冒険・バトル)

そこは未来都市。▼何年も放置していたVRMMORPGに久しぶりにログインしてみた青年、ショウ。▼すっかり人のいなくなったそのゲームの世界に、懐かしさと哀愁を覚えながら、特にすることもなくログアウトする――はずだった。▼しかしショウは、ゲーム内のアバターであるおぞましくも禍々しい「魔族」の姿のまま、現実世界に出てきてしまう。▼魔族の見た目のせいで自分の意志とは…


総合評価:105/評価:6/連載:146話/更新日時:2026年06月19日(金) 09:17 小説情報

ロボゲー世界でロボに乗りたいので色々と画策してみる。(作者:裁縫セット)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼ 全然ロボットに乗せてくれないし乗る機会のないファンタジーロボゲー世界に転生した少年『アキ』▼これは、彼がですわですわ煩い悪役令嬢を利用してロボット作ったり。▼ パイロット技術化け物の主人公と決闘したり。▼「こんな事もあろうかと」でわけわからんアイテム取り出したり。▼ 物のついでにラスボスの計画狂わせたりしてロボットに狂うお話。


総合評価:245/評価:8/連載:3話/更新日時:2026年07月18日(土) 17:06 小説情報

産廃スキル『性転換』で魔法少女になったら戻れなくなった(作者:ぷに凝)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 スキルが一人につき一つしかない世界で、小林大翔が引き当てたのは『性転換』。▼ 性別を変えるだけの戦闘向きではない産廃スキル――のはずだった。▼ だが、女性専用装備『魔法少女のドレス』との組み合わせにより、その常識は覆る。▼ ドレスの力で圧倒的な戦闘能力を手に入れた大翔は、正体を隠したまま謎の魔法少女『プリムノヴァ』として活動を開始。▼ 少女の体と魔法少女の…


総合評価:927/評価:7/連載:70話/更新日時:2026年08月09日(日) 21:53 小説情報

極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して(作者:kohet(旧名コヘヘ))(原作:ガンダムSEED)

詰め込み教育の賜物で見事ブルコス系思想家の家から三行半を突きつけられた私。▼可哀想な私は月のコペルニクスに追放された。▼極めて可愛そうな私はほんの少しだけ優秀なせいで幼年学校でコーディネイターのクラスに分類されてしまった。▼キラキラした名前の少女とアスなんたら君と出会い楽しい楽しい学校生活を送る健気な私は極めて善良な少年であったと言えよう。▼〜コズミック・イ…


総合評価:7228/評価:7.97/連載:171話/更新日時:2026年08月10日(月) 16:00 小説情報

【TS】兄だった人は姉になりました。(作者:R884)(オリジナル現代/文芸)

私の兄だった人が、ある日突然姉になった。別にトルコに旅行に行ったわけでもないし、そんな素振りもなかったし本当にいきなりの事だった。▼姉になった兄は、お世辞抜きで美人さんで私の彼氏も親友も、ついでに兄の会社の上司もメロメロだ、おい彼氏よそれで良いのか?▼これはこの前代未聞の出来事に立ち向かう、私と兄だった者の物語である。▼兄だった人が姉になっていた。TS病なん…


総合評価:1108/評価:8.59/連載:83話/更新日時:2026年08月10日(月) 12:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>