悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~!   作:エスカド

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133話:ふふ、お褒めにあずかり光栄ですわ!

 シミュレーターの駆動音が静まり返り、ハッチがゆっくりと開放される。白熱の模擬戦を終え、レタリアがシミュレーターポッドから外へと足を踏み出した。

 

 同時に、すぐ隣のポッドからプリシラもまた姿を現す。

 

「大変有意義なお時間でした。ありがとうございます、レタリアさん」

 

 プリシラは穏やかな笑みを浮かべ、レタリアに向かってすっと右手を差し出した。

 

「こちらこそ、素晴らしい戦いでしたわ、プリシラさん!」

 

 レタリアは額に汗を光らせながら、その手をしっかりと握り返した。

 

「おおーっ!」「やったぞーっ!」

 

 観客席やポッドの周囲に集まっていた自警団の面々から、一斉に歓声と拍手が巻き起こる。仲間たちの勝利を喜ぶ声と、本国軍の精鋭たちの戦いぶりを称える声が交錯していた。

 

「本当にお強かったです。これでも私たちは特務部隊ですのに……」

 

 プリシラは互いの健闘を称えるように視線を巡らせ、レタリア、グレイン、イーサン、そしてメリーへと視線を向けた。

 

(私が早く脱落しちゃったから、足を引っ張っちゃったかな……)

 

 どこか苦笑いを浮かべて小さくなっていたメリーに対し、ランセスが声をかける。

 

「良い腕でしたよ。こちらの武器も潰された。あなたの制圧型の狙撃スタイルと、こちらの完全支援スタイルでは相性が悪かっただけですな」

 

「えっ……あ、ありがとうございます……!」

 

 ランセスの言葉に、メリーは照れくさそうに笑みをこぼした。

 

 そんな雰囲気の中、アデリナが少し意地悪な笑みを浮かべてプリシラを覗き込む。

 

「プリシラさんの悲鳴、初めて聞きましたよ〜! 案外可愛い声を出すんですねぇ?」

 

 にしし、と悪戯っぽく笑うアデリナに対し、プリシラは満面の笑みを絶やさないまま言葉を返した。

 

「ふふ……あー、急にアデリナ軍曹と『個人的に』じっくりお話ししたい話題が浮かんできました」

 

「……っ!?」

 

 プリシラの目が笑っていないことに気づき、アデリナの笑顔が一瞬で引きつる。

 

「うふふ、わたくしも少し同じことを思いましたわ」

 

 レタリアが援護するように微笑むと、アデリナが頷き、今度はプリシラが少しだけ頬を朱に染めてそっぽを向いた。

 

◆

 

 

 緊張感が解けたシミュレータールームで、自警団と特務部隊の面々はしばらく楽しそうに戦術や機体についての感想を語り合った。

 

「機体のスペックはこちらの中では私のマキナが一番高かったはずなのに、どうしてあそこまで追い詰められたのか分かりませんでした」

 

 アデリナがイーサンに歩み寄り、不思議そうに問いかける。

 

 アデリナの特殊仕様ラデュールは、誰の目から見ても規格外の超高性能機だった。それに対するイーサンのルードカスタムは、どれほど改修されているとはいえ元は汎用機。エース用の本国軍機と比べたスペック差は圧倒的だ。

 

「いやあ、まあ……単なる経験の差ですかね」

 

 少し困ったように頭をかくイーサン。その様子を少し離れた場所から眺めていたランセスが、ふと何かに思い当たったように口を開いた。

 

「……もしかしてあんた、『イーサン・ブロー曹長』ですかい?」

 

 その名が出た瞬間、イーサンが気まずそうに苦笑いを浮かべた。

 それを何よりの肯定と受け取ったランセスが、深く納得したように頷く。

 

「なるほどねえ……軍にいた頃のお噂は聞いていましたよ。教導隊メンバーのお一人だったと」

 

 ランセスの言葉に、アデリナだけでなくプリシラまでもが驚きで目を丸くした。

 

「そうだったのですね……! 道理でこの私が圧倒されたわけです! 次は絶対に負けません、再戦を強く希望します!」

 

「ははは……勘弁してください、またそのうちにね」

 

 アデリナの鼻息荒い宣言に、イーサンは参ったというように笑って受け流した。

 

 そんなやり取りの傍らで、プリシラはふとミレアへと視線を移した。

 

「……グレイン団長の機体は、シンセ社のプロトタイプ……ですか?」

 

 鋭い指摘に、ミレアは苦笑いを浮かべた。

 

「はい、そうですね……。まだ機密段階のものですが……」

 

 それ以上は立場上答えられないというミレアの微妙な表情を察し、プリシラは頷いた。

 

「グレイン団長の卓越した操縦技術と合わさり、非常に高い戦闘力を発揮していました。これは本国の開発部もうかうかしていられませんね」

 

「そう言っていただけると助かりますが……俺自身は一本取られてしまいましたからね」

 

 グレインが肩をすくめて言うと、横からレタリアが即座に口を挟んだ。

 

「そうですわよ! 自警団のリーダーなのですから、次はビシッと勝っていただかなくては困りますわ!」

 

「はいはい、善処しますよ」

 

 レタリアの小言をグレインは軽やかに受け流す。

 

「いいえ、あの勝負は本当に際どいものでした。グレインさんの機体が本来想定されている完全な出力データであれば、きっと私が敗れていました」

 

 謙遜ではなく、本心からそう語るプリシラ。そして彼女はレタリアへと向き直った。

 

「アーデンもまた、素晴らしい機体でした。ランセス中尉を下し、この私まで打ち破るなんて……。レタリアさんも、本当に素晴らしいパイロットです」

 

 真っ直ぐな称賛を向けられ、レタリアは誇らしげに胸を張りつつも、少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。

 

「ふふ、お褒めにあずかり光栄ですわ! ですが、わたくしたちの力はこんなものではありませんのよ?」

 

 互いの健闘を称え合う温かな拍手が再びシミュレータールームに響き渡り、模擬戦は晴れやかに幕を閉じたのだった。

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  • キャラクターの日常
  • 戦闘
  • 政治的な駆け引き
  • 技術系
  • 主人公の活躍
  • レタリアがかわいい!
  • いや、ミレアがかわいい!
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