悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
特務部隊の3名がセルディアに滞在し始めてから、早くも一週間が経過していた。
「ふふふ、私の勝ちですね!」
自警団のシミュレータールームに、アデリナの勝ち誇った高らかな笑い声が響き渡る。
「ぬああーっ! また負けちゃいました~!」
ポッドから出てきたステシアが、頭を抑えながら悔しそうに声を上げた。
「……4人がかりでかかってもダメなのか~……」
最早あきらめ混じりの苦笑いしか出てこないレッタ。
「つええなマジで……本国の軍人は伊達じゃねえわ」
ラジェルも呆れ半分、感心半分といった様子で溜め息をつく。
「機体の性能差どころの話じゃないよ。アデリナ、本当に強いなあ」
褒めつつも隠しきれない悔しさを覗かせるヘルタ。
「でも、みなさんも凄く強いですよ! 正直、毎回私が驚かされているくらいなんです」
勝利の余裕を見せつつも、一切の嫌味を感じさせない本心からのトーンで語り、アデリナは手にしたジュースを口につけた。
「いいなあ、アタシもアデリナみたいな自分専用のマキナほしいなあ」
ヘルタが羨ましそうに呟くと、ラジェルが目を丸くして横やりを入れた。
「ヘルタ、お前さ……相手は本国の軍曹殿だぞ? よくそんな馴れ馴れしく話しかけられるよな」
いつもの意地悪な煽り合いではなく、心底から感心したようにラジェルが呟く。
「私が『お互いタメ口で良いですよ』って言ったんですよ! ラジェルさんやレッタさんも、もっと気さくに話してください」
アデリナの呼びかけに、ラジェルとレッタは顔を見合わせた。
「いやぁ……流石に現役の軍人さん相手にそれは……ねえ?」
レッタが困ったように肩をすくめる。
「もー、堅苦しいなぁ。気にしなくていいのに」
不服そうに唇を尖らせつつも、アデリナは楽しそうに笑った。
そんな中、ヘルタがふとステシアに視線を向けた。
「そういえばアンタ、せっかく最新鋭の『ラスタ』に乗ってるんだから、真っ先に墜とされるんじゃないわよ。一番最初にやられてたじゃない」
「だってぇ……! でも、次は私一対一でもアデリナさんに勝つから! 絶対勝つからね!」
意気込みとも言い訳とも取れるステシアの威勢の良い宣言に、一同からどっと笑いが巻き起こる。
「そう言えば、イーサンさんは今日お休みですか?」
アデリナの問いかけに、レッタが思い出したように答えた。
「副団長なら、今日は終日外周宙域の哨戒任務ですね」
「え〜、またですか……」
あからさまに残念そうな顔をするアデリナ。
「アデリナ、この一週間何度も副団長に再戦の声をかけてたけど、ずっとうまく逃げられてるよねぇ」
ヘルタの指摘に、アデリナは深く頷いた。
「そうなんですよ〜! 絶対次は私が勝つのに〜!」
「ふふ、なんだかその言い方ステシアみたい」
ヘルタの言葉にラジェルとレッタは笑い、ステシアは不服そうな表情をしていた。
◆◆◆
賑やかなシミュレータールームとは対照的に、静けさに包まれたセルディア管理局の会議室。
「どうですか、セルディアの環境には慣れましたか?」
グレインの問いかけに、向かいに座るプリシラとランセスが柔らかくほほ笑んだ。
「ええ、とても過ごしやすい良い場所ですわ。ミレアさんたちシンセ社の技術も実に見事なものです。私たちの機体も、常に完璧なコンディションに保たれています」
「特殊武装の互換パーツまで揃えてくれるみたいで助かってますよ。自警団の施設も充実していますし、自由に使わせてもらえるのは本当にありがたい」
ランセスも満足そうに頷く。
「それは良かったです。私としては、コルーシェの件に関わらず、好きなだけ滞在していただいても構わないと思っているくらいですよ」
グレインはそこで一度言葉を切り、表情をわずかに引き締めて一息ついた。
「……本国から、連絡が来ましたね?」
その言葉に、プリシラは目を細め、静かに頷いた。
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