悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
「はい、コルーシェを内偵している部隊から連絡がありました」
プリシラは静かに頷くと、デスクの上に端末からホログラムマップを展開し、グレインへの説明を始めた。
◆◆◆
翌日
セルディア宙域の外縁部――無数の小惑星やデブリが漂う静寂の暗闇の中を、レタリアとグレイン率いる自警団のマキナ群が進んでいた。メンツはステシア、レッタ、アランドたちを含むメンバーだ。
「プリシラ中尉からの情報によると、この近辺……ちょうどセルディアとコルーシェの自治宙域の中間に位置する中立区域内に、所属不明の建造物があるとの連絡を受けた」
通信越しに届くグレインの説明を聞き、レタリアが自機のコックピットで首を傾げる。
「その場所に、先日の不埒な輩どもがおりますの?」
「まあ、その認識で間違ってはいない。だが正しくは、アーグリアの実験部隊……という情報だ。新兵器の実験を行っている可能性が高いらしい」
その言葉に、レッタが怪訝そうに反応した。
「プリシラ中尉たちは一緒に行動しないんですね。心強い味方だと思っていましたけど」
「ああ、本国軍の部隊がセルディアで直接動いているとコルーシェ側に察知されるわけにはいかないからな。彼女たちは当面、後方からのバックアップに徹してもらうことになっている」
グレインがレッタの疑問に答える。
「向こうからの依頼案件なのに、実際に身体を張って動くのは俺たちなんですか」
アランドがやや不満げに肩をすくめて呟く。グレインは苦笑交じりに返した。
「コルーシェ……いや、アーグリアの連中はすでに俺たちの宙域へちょっかいを出してきている可能性が高いからな。これは自衛の一環だ。それに、今のうちに本国軍へ大きな恩を売っておけるだろ?」
「なるほど……言われてみれば確かにそうですね」
アランドも納得したように頷く。
「わたくし、難しいことはよく分かりませんけれど……先日の無礼者どもや、賊たちにマキナを渡していた元凶だと言うのであれば、一切の容赦はいたしませんわよ!」
そう言って気合を入れるレタリアの感情に呼応するかのように、アーデンのスラスターが蒼い光を増し、自然と機体の速度が上がっていく。
「おいおい落ち着けレタリア、勝手な先行はダメだぞ!」
グレインは慌ててリーズの出力を上げ、アーデンの速度に追いつかせながら宥めた。
そのまま警戒を厳にして暗闇を進むこととしばらく――メインモニターの広域センサーが、突如として巨大な構造物の影を捉えた。同時に、その周辺を周回する複数の機体反応が点滅を始める。
――その瞬間。
レタリアの内に秘められた魔力が、遠方から放たれた気配を察知した。
「気づかれましたわ! こちらへ向かって来ます!」
「分かった、各機、即座に戦闘態勢を取れ! だが仕掛けるのは指示を出してから――」
グレインの言葉が終わりきる前に、彼方から高出力フォトンの光条が雨のように降り注いできた。
「おいおい、挨拶代わりに先制攻撃かよ! 各機、回避しろ!」
グレインの叫びに合わせ、自警団のマキナたちが左右上下へ散開し、空間を切り裂くフォトンの雨をすり抜けていく。
「問答無用かよ!そのあたりのレイダーよりタチが悪いぜ!」
アランドが叫ぶ。
「これはやるしかないんじゃないですか!?」
ステシアがアランドに続いて話す。
「良い度胸ですわね、ならばこちらも遠慮なく行かせていただきますわよッ!」
アーデンのトレースモードを跳ね上げ、レタリアは敵機群の真ん中へ向けて一気にスラスターを全開にした。
「あっ、こらレタリア! ……むむむ、仕方がない! 各機、レタリアに続け! 行くぞ!」
グレインのリーズを先頭に、自警団のマキナたちもアーデンの残光を追うように疾走し、不穏な建造物を背景とした新たな戦いの火蓋が切られたのだった。
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