悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
建造物の地下搬入口へと連なる暗がり。そこから弾かれたように飛び出し、直進してくる機体。
急接近するその紺色のシルエットを目に焼き付けた瞬間、レタリアの脳裏に鮮明な既視感が走った。
「あれは……あの時の不埒者の機体……!?」
記憶が急速に呼び覚まされる。かつて民間輸送船を急襲し、自警団と交戦したあのならず者レイダーが駆っていたマキナ。
通常のマキナの倍近い圧倒的な巨体、耐弾性を高めた重厚な装甲。装甲の色こそ赤から濃い紺色へと変わっているものの、その全体的なシルエットはまさに酷似していた。
――しかし、決定的に異なる点があった。そのあり得ざる「速度」である。
一見すれば鈍重そのものに見える巨大な機躯。しかし、背部および脚部に増設された高出力スラスター群がけたたましいエネルギー粒子を撒き散らし、重厚な外観からは到底想像もつかないほどの恐るべき高機動で、直線的にアーデンへと肉薄してくる。
「くっ……ですが、そんな大振りな攻撃、当たりませんわよッ!」
紺色の重装機が右腕から繰り出した、質量感溢れる大型の実体ブレード。レタリアは研ぎ澄まされた集中力でその初動を見切り、アーデンを滑らかに横滑りさせて回避してみせた。
大剣が虚空を切り裂き、巨躯が目の前を通り過ぎる――その刹那。
レタリアの背筋に、プレッシャーが駆け抜けた。
(……背中からっ……!)
すれ違いざま、紺色の重装機の背部ブロックが展開し、超高速のレールガンが死角から撃ち出された。
「っ……!」
レタリアは感覚を研ぎ澄まし、即座に見切って機体を斜め後方へと退避させる。
だが、相手の狙いは単なる直接打撃ではなかった。
すり抜けたレールガンの高耐圧弾丸は、後方に浮遊していた複数の空間機雷を正確に撃ち抜いた。
連続する機雷の誘爆。眩い爆光と強烈な衝撃波が空間を埋め尽くす。
しかし、紺色の重装機はその爆煙の隙間へと滑り込むように素早く潜り込み、爆風を遮蔽物として利用しながら再びアーデンの死角へと回り込んできた。
「機雷を盾にするなんて……やりづらいですわね……!」
敵機は暗闇に散りばめられた機雷の位置を完全に把握しているかのように、躊躇のない高速機動を繰り返している。
「フン、敵機が場所を把握しているというのであれば……わたくしだって!」
レタリアは深く息を吐き出し、胸の奥にある魔力を一気に集中させた。
アーデンシステムを介して、レタリアの魔力が波紋のように全方位の空間へと広がり、周囲の情報をダイレクトに脳内へと伝達してくる。
「――見つけましたわ、あそこです!」
機雷が一切配置されていない安全な旋回エリア。レタリアはその「道」を瞬時に見出し、アーデンを滑り込ませた。
――その時だった。
「……っ!? な……なんですの、今の……?」
機雷の配置と空間の歪みを感知するために広げた感覚の網。
その端に、強烈な違和感が引っかかった。
暗く不気味なプレッシャー。まるで――人の小さく、そして粗い「息づかい」のような気配。
機械の駆動音でもなく、電子的なノイズでもない。人間めいた気配が、目の前の紺色の重装機から確かに放たれているように感じられたのだ。
「これは、アナタは一体……」
レタリアが戦慄を覚えたその瞬間、紺色の重装機が牙を剥く。
両肩部および両脚部の装甲が開き、内蔵された高出力フォトンレーザーが一斉に眩い光条となってアーデンを穿ちにかかった。
「その程度の狙撃、届きませんわッ!」
迫り来るレーザーの弾幕を、アーデンは最小限の機動でスイスイと回避していく。
しかし敵機は、回避した先を完璧に予測していたかのように、左腕の大型ハンドキャノンを咆哮させた。
「くっ……どこまでも嫌らしいですわね!」
直撃の直前、アーデンはフォトンセイバーでキャノン弾の弾頭を掠めさせ、軌道を強引に逸らして爆炎をすり抜ける。
「距離をとって射撃戦に徹し、近づいてくるつもりはないということですのね……。――ならば、こちらから引きずり出してみせますわ!」
レタリアはコンソールを操作し、右手のフォトンライフルを敵機そのものではなく、敵機の周囲を取り囲む空間機雷群へ向けて連続掃射した。
連鎖的に巻き起こる大爆発。広範囲に広がる火炎と衝撃波が、安全圏に隠れていた紺色の重装機を飲み込んでいく。
爆風に煽られ、隠れ場を失った重装機。
だが、その爆炎を切り裂くようにして、敵機の両腕部から超高出力の広幅フォトンが巨大な光の刃となって展開された。
青白い高エネルギー粒子を激しく撒き散らしながら、巨大な光刃を掲げた重装機が、アーデンを破砕せんと正面から突撃してくる。
「あなたが何者なのか、分かりませんけれど……わたくしたちの領域を侵すというのであれば、お覚悟なさることですわッ!」
アーデンのメインスラスターが限界突破の光を放ち、空間を歪めるほどの出力を叩き出す。
レタリアは両手にフォトンセイバーをしっかりと握り直し、紫紺の閃光となって、迫り来る紺色の巨躯へと真っ直ぐ突き進んだ。
アーデンと紺色の重装機の互いの刃がぶつかる。
敵機のフォトンセイバーをいなし、蹴りで一撃を入れる……
レタリアが行動しようとした瞬間、重装機の足から鈍く光る実体の刃が繰り出された。
どういうお話が好きですか?
-
キャラクターの日常
-
戦闘
-
政治的な駆け引き
-
技術系
-
主人公の活躍
-
レタリアがかわいい!
-
いや、ミレアがかわいい!
-
他のキャラが良い!
-
その他(自由記入欄欲しい)