悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
レタリアたちを乗せた輸送船は、警戒を避けるためコルーシェへの直行を避け、途中のステーション「クラネア」とステーション「ディエリオム」を経由する回り道のルートをとっていた。
今回の潜入調査において、セルディア自警団からの参加はグレイン、メリー、そしてレタリアの3名。
あまり人数が多すぎると目立ってしまうこと、そして何よりメリーはかつてフリーとして各ステーションを渡り歩いていた経歴があり、旅の手慣れとしてこれ以上ない適任だったからだ。
そしてウィステルム本国軍からはプリシラ、アデリナ、ランセスの3名。
少数精鋭、必要最小限の動員である。
いま一同が搭乗している輸送船は、一見するとどこにでもあるごく普通の民間貨物船だ。しかしその内部には、強固なラミネート装甲と隠蔽された高出力の武装を備えた、実質的な戦闘艦に近いスペックが隠されていた。
「これ……ただの民間船じゃないですね?」
船内の精巧な内装や配管の配置を見回しながらグレインが尋ねると、プリシラは悪戯っぽく微笑んだ。
「お見事です、流石は目ざといですね。……ここだけのお話ですが、この船は本国軍が偽装会社を通じて運営している極秘の輸送会社のものなのです」
その明かされた事実にグレインが「なるほど」と感心している横で、隣に座っていたメリーが静かに視線を逸らした。
「ふふ、メリーさんにも聞こえてしまいましたわね」
「……聞いちゃいけない本国の機密を、もらい事故で聞いちゃった気がするんだけど……」
冷や汗を流すメリー。一度踏み込んでしまった以上、もう後戻りはできない。
対照的に、グレインはまったく気にした様子もなく肩をすくめた。
「まあ、今のところ本国は俺たちに好意的だ。知ったところで問題ないさ」
「ええ、その通りです」
プリシラが柔らかく微笑む。
「凄いですわ……星々がまるで流れる光の線のようですわね……」
一方、レタリアは輸送船の展望窓にべったりと張り付き、流れる星々をいつまでも眺め続けていた。一向に飽きる気配がない。
「趣がありますわね……キアラにもこの景色を見せてあげたいですわ……」
ポツリとそんな呟きが漏れる。
「そういえば、レタリアがこうして輸送船に乗って長時間を過ごすのは初めてだったな」
後ろからグレインが声をかける。
「ええ。マキナのコックピット越しには見慣れていましたけれど、こうして窓からじっくり覗き込むのは新鮮な気分になりますわ。……途中で立ち寄るステーションに降りて探検する時間が無いのは少し残念ですけれど、目的はあくまでコルーシェですからね」
そう言いながら、レタリアは渡されていた果汁ジュースを美味しく一口飲んだ。
「到着まではまだもう少し時間がありますからね。いまのうちにリラックスしておきましょうぜ、お嬢様」
そう言って軽口を叩くランセスは、アデリナと小型端末でカードゲームに興じている。
「あっ、ちょっとランセスさん! 負けそうになったからってそうやって話しかけて、負けた時の言い訳にしようとしてますね!?」
「ははは、何のことやら?」
抗議するアデリナの声を、ランセスはのらりくらりと受け流していた。
「……私、フリーだった頃でもこんなに緊張感のない移動なんてしたことないわよ……」
二人のやり取りを呆れ顔で見つめるメリー。
「ふふ、私たちにとっても、これは束の間の羽を伸ばせる貴重な時間ですから」
プリシラも窓の外の暗闇を見つめながら、静かに言葉を添えた。
「現地で潜伏していた内偵部隊も、そろそろコルーシェでの滞在許可期間が切れる頃合いです。私たちが交替要員として滑り込むには、まさに絶妙なタイミングでした」
◆◆◆
そんな穏やかな移動時間を経て――数日後。一行を乗せた輸送船は、ついに目的地の巨大ステーションへと接近した。
その大きさは35kmへ達している。
全長15kmを誇るセルディアを遥かに上回る圧倒的なスケール。継ぎ接ぎのように拡張が重ねられた無骨な外殻が遠くの恒星光を照らし返し、その姿は圧巻の一言だった。
管制の誘導に従い、輸送船は一般ドックへと滑り込んでいく。
周囲には無数の大型輸送船や戦闘艦、果ては作業用マキナが隙間なくひしめき合う、活気と混沌に満ちた雑多な一角に着陸した。
「ここが、宇宙自治区コルーシェです。――さあ、参りましょうか」
プリシラのその言葉を合図に、一行は足元を確かめながら、コルーシェの地に第一歩を踏み出した。
どういうお話が好きですか?
-
キャラクターの日常
-
戦闘
-
政治的な駆け引き
-
技術系
-
主人公の活躍
-
レタリアがかわいい!
-
いや、ミレアがかわいい!
-
他のキャラが良い!
-
その他(自由記入欄欲しい)