悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
漆黒の宇宙空間において、セルディア自警団の先鋒部隊とコルーシェ侵略部隊が交錯する直前。
セルディア側の長距離索敵センサーに敵部隊の光点がくっきりと浮かび上がった、まさにその瞬間だった。
『長距離砲撃――斉射!!』
自警団副団長を務めるメリーの鋭い叫びが、暗号通信回線を突き抜けた。
合図と共に、メリー率いる自警団長距離砲撃部隊が一斉にトリガーを引く。
重装砲撃仕様に換装された10機ほどのルードから解き放たれた長距離フォトンキャノンの眩い光条と、空を埋め尽くすミサイル群。それらは漆黒の暗闇を鮮やかに切り裂き、圧倒的な密度の弾幕となってコルーシェ部隊へとなだれ込んだ。
暗黒の宙域に幾重もの壮絶な爆炎が咲き誇る。
不意を突かれたコルーシェ側の先鋒陣営は大混乱に陥り、回避が間に合わなかった旧型汎用機やグリド数機が一瞬で塵へと変わった。
『相手方も撃ち返してきた! メリーたちの露払いが完全に終わるまで、俺たちは手出しするな! 回避行動に専念しつつ、このまま一気に距離を詰めろ!』
敵陣からも混乱に紛れて無数のフォトン弾が飛び交ってくるが、グレインは冷静に指示を出す。
ミレア率いるシンセ・フィブラ社の技術者達が総出で大幅な機体改修を施された自警団のルード群は、従来の性能を上回る高い運動性能を発揮していた。迫り来るフォトンの光条を、スラスターワークで次々と回避していく。数機にかすり傷程度の被弾が発生したものの、セルディア側は一機たりとも戦闘不能機を出さずに突撃を継続していた。
対するコルーシェ部隊の損害は小さくなかった。メリーたちの先制攻撃による制圧射撃は効果を上げており、敵陣の隊列は大きく乱れ、各所で損傷した機体が推進力を失って漂っている。
『よし、敵の陣形が乱れた! 各員、隊列を崩すな! 一気に突入するぞ!』
グレインの声と共に、セルディア自警団は小隊ごとに分散し、雪崩のように敵陣へとなだれ込んだ。
「わたくしが向かう先は……強化人間部隊! あの大型機たちを突破いたしますわ!」
レタリアは全身を前に傾け、愛機アーデンを限界まで加速。赤く不気味に発光する大型機『ゴード』の群れへ向かって一直線に駆け抜けた。
◆◆◆
「やはり……パイロットの練度と機体性能の差が大きい……」
コルーシェ側の後方に位置する青緑色のマキナ『ウェーレ』のコックピットで、キャロルは次々と真っ赤に染まっていく味方機体の被害状況モニターを見つめながら歯噛みした。
両軍の距離は既に目と鼻の先。本格的な乱戦への突入は目前だった。
「マレイ! 相手の主力部隊はあなたに任せます! ここであなたの力を見せてやりなさい!」
アクイタスを駆るマレイへ向けて、キャロルは叱咤の通信を送る。
『分かってる! おいお前ら、脚引っ張ったら後ろから撃ち落とすぞ!』
マレイが前衛を展開するゴード部隊へ荒々しく声をかけるが、無機質な強化人間たちの乗る機体からまともな音声の返信はない。
『ちっ……! 本当に使い物になるのかよ……』
マレイが吐き捨てるように毒づく。
その言葉を聞いたキャロルは思案した。
(R1は明確に拒否の意志を示した。この場面だが投入するのは難しい、待機にする)
先ほどのフィンドレーの言葉。
「R1など居なくても私は、フィンドレー……あなたのために……!」
彼は自分を誰よりも評価し、重用してくれた。
キャロルは、自らの機体の『インペラティヴシステム』を起動した。
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