悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
『ラジェル先輩っ!!』
セルディア自警団のヘルタとラジェルは、立ちふさがる1機のゴードと対峙を続けていた。
『直撃じゃねえ! まだだ、まだやれる……!』
ラジェルの搭乗機は装甲から激しい火花を散らし、機体各部を損傷、半壊状態だった。
『このっ! 当たって、このぉっ!!』
ヘルタ機が死に物狂いでフォトンライフルをゴードへ向けて連射するが、重装甲の巨体からは想像もつかない機動力でそのことごとくを回避される。
『あの図体で……どうしてそんなに速いの……!?』
戦慄するヘルタに向かって、ゴードの三連フォトンライフルが向く。
『ヘルタ! 無茶をするな!!』
ラジェルが叫ぶ。
ヘルタは傷ついたラジェルの機体から注意を逸らすため、あえて1対1の不利な戦闘を引き受けていたのだ。
どう考えても分が悪すぎる。
『くそっ……!』
ヘルタを援護すべく、ラジェルも残された右腕のハンドキャノンを連射するが、機体システムの損傷が激しく照準が追いつかない。回避されるまでもなく、ゴードのスピードに全く追従できていなかった。
『くうぅぅっ……!?』
ヘルタ機にフォトンライフルの光弾が直撃。爆煙と共に下半身が丸ごと吹き飛ばされた。
ゴードは追撃で引導を渡すべく、光輝くフォトンセイバーを抜刀し、無力化したヘルタ機へと一気に突進する。
『やらせるかよぉぉっ!!』
ラジェルは叫び、ハンドキャノンを放つが、ゴードの機影を捉えることすらできない。
『あ……やられる……っ!?』
ヘルタは、メインモニターいっぱいにアップになって迫るゴードを鮮明に捉えた。
直後――。
凄まじい勢いで、ゴードの頭上から「何か」が超高速で激突した。
一機のカスタムルードが、ゴードの頭部へ向けて右腕の大型シールドを力任せに突き刺していたのだ。
『そ、曹長……!?』
ラジェルが驚愕の声を上げる。
『ふぅ……間一髪だったな』
ルードカスタム『リバスト』を駆るイーサンが、静かに呟いた。
イーサンは右腕のシールドに内蔵された小型ミサイルを一斉斉射すると同時に、刺さったシールドそのものを手放して瞬時に後方へ跳躍、距離を取った。
『サービスだ、持っていけ!』
シールドの引火とミサイルの全弾着弾により、ゴードの上半身が凄まじい爆風と炎に包まれる。
しかし――大きくダメージを受けながらも、その赤い巨躯は未だ撃破に至らず健在だった。
『堅い、速い、隙が無いな……』
イーサンのリバストを即座に「最大脅威」と判断したゴードが、半壊しながらも三連フォトンライフルの銃口を向けてくる。
しかし、その瞬間にはすでに、リバストの両肩に懸架された大型レールキャノンがゴードの腹部を一直線に捉えていた。
『これならどうだっ!!』
機体骨格に凄まじい反動がかかるのをものともせず、連射された超高速実体弾がゴードの重装甲を貫通した。
連続した金属破壊音が響き、動きを完全に止めたゴードは、内部からの引火により激しく爆散した。
『ラジェル、ヘルタ。よく持ちこたえたな。……だが機体が限界だ。無理をせず、機体を放棄して戦場から撤退しろ』
イーサンが、ボロボロになった部下二人へ力強く声をかけた。
『了解です……! イーサンさんも、どうか気を付けて!』
『すみません、先に離脱します……!』
ラジェルとヘルタは速やかに脱出ポッドを起動。戦闘不能となった機体を放棄し、無事に戦場からの離脱を開始した。
イーサンはリバストの撃ち尽くした両肩のレールキャノンをパージする。
この機体の改修は、この一戦限りの使い捨てと言っても過言ではない、飛躍的な性能強化。イーサンは初めから、すべての兵装を撃ち尽くすつもりで運用していた。
『こちらの被害も出始めている……強化人間の相手を、グレインとお嬢様だけに任せるわけにはいかんな』
イーサンは残された武装の残弾を確認すると、激しい火花が散る味方機の援護へと向けて機体を加速させた。
◆◆◆
『くそっ……! 全体の戦況が良くねえのか……?』
緑の大型機『アクイタス』のコックピットで、マレイは忌々しそうに歯噛みした。
前方に立ちふさがるセルディア自警団のルードが放ってくるフォトンライフルを、左腕のフォトンシールドで激しい火花を散らしながら防ぎきる。
『ちょこまかと……邪魔をするな!!』
マレイはそう叫ぶと、アクイタスの掌底部に内蔵された高出力フォトンビームを解き放ち、ルードの右腕を一瞬で撃ち抜いた。
右腕を失い、即座に戦闘継続不可能と判断したルードは、素早い手際で後方へと後退していく。
『……判断が早いな。いや、俺を最初から警戒しているのか……?』
マレイはいらだちを覚えながらも、冷静に戦況を分析する。
セルディア部隊はこのアクイタスの脅威度を正確に把握しており、無闇に深追いしてこないのだ。だが、だからと言ってこの機体を放置・無視できるはずもない。ならば――
『相手の主力機を俺が直接ぶっ潰して、この力を証明してやればいいだけだ……!』
マレイはスラスターを全開にし、アクイタスを激しく加速させる。
その視線の先には、先ほどゴードを撃破したばかりの2機のラスタ、そして半壊したルードの姿があった。
あのラスタはセルディアの最新鋭機であり、自警団の主力の一角だろう。目的のレタリアではないことは残念だったが、肩慣らしの獲物としては丁度いい。
『まずはお前たちからだ……墜ちろッ!!』
マレイは咆哮と共に、高出力フォトンビームを解き放った。
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