悪役令嬢の私が追放された先の世界で機械人形に乗って無双しますわ~! 作:エスカド
不意に胎動する廃工場。
暗黒の廃工場に、赤黒い警告灯が点滅する。
そして、ステシアの目の前にあった「スクラップの山」が、不気味に蠢き始めた。
『えっ、ちょっと!? 嘘でしょ、これ動いてるんですか!?』
ステシアの悲鳴と共に、三機の無人機が立ち上がった。
それは、今までのならず者たちが使っていたマキナとは一線を画すデザインだった。四つ足の小型のメカ、マキナとは異なるものだった。
「なっ……! なんですの、その不愉快な見た目は! わたくしのアーデンの方が、百万倍は優雅ですわ!」
『油断するな、異常な機動をしているぞ!』
無人機の一機が、物理法則を無視したような加速でステシアの機体へ肉薄した。
『うわぁっ! この、ちょこまかと……っ!』
ステシアが応戦するが、無人機の計算された機動に翻弄され、防戦一方になる。
小型機の四肢から繰り出される光の刃をかろうじて盾で受け流す。
グレインが即座に反応した。
『ステシア、無理するな! ……テストしてやる、コイツをな!』
グレインの『シュエル』が試作フォトンライフルを構える。
瞬間、ラボの精密機械を思わせる高周波音が鳴り響き、極太の光条が宇宙を貫いた。
無人機の一機の胴体を、光が易々と消し飛ばす。
しかし
胴体を半分失いながらも、無人機は止まらなかった。欠損箇所からバチバチと放電しながら、なおもグレインへ向かって突進を続ける。
『冗談だろう、今の直撃を受けて……!?』
グレインが冷静に二射目を放つ。至近距離からの追撃によって、ようやく無人機は爆散した。
「……しぶとい方々ですわ。ならば、これならどうかしら!」
レタリアがアーデンを加速させる。
レタリアはアーデンの脚部装甲に全出力を集中させた。
「邪魔ですわよ! ひれ伏しなさいな!」
強力な破砕音。
アーデンの重い蹴りが、無人機の関節部へと叩き込まれた。
無人機以上の加速を生むアーデンが生み出す絶大な衝撃力。無人機の装甲が歪み、そのまま廃工場の壁へと深々とめり込む。
レタリアはそのまま体の重心をステシアの方向に向ける。
防戦一方となっているステシアの援護に回り、レタリアは右手を握りしめ集中する。
「『ふぉとんせいばー』! ですわーーーっ!!」
光の刃が暗闇を切り裂き、ステシアに迫っていた最後の一機を、一刀両断に斬り捨てた。
「ステシアさん、無事ですの!?」
『レ、レタリアさん! 助かりますー!』
直後、断続的な爆発が廃工場全体を襲う。
休眠していたシステムが無理やり稼働し、戦闘の衝撃に耐えきれなくなったのだ。
『施設が崩壊するぞ! 二人とも、全速で脱出しろ!』
グレインの号令と共に、三機は瓦礫をすり抜けながら外へと飛び出した。
背後で廃工場が音もなく(真空のため)砕け散り、宇宙の塵へと還っていく。
◆◆◆
安全な宙域まで脱出した三機。
ふぅ、と一息ついたレタリアは、グレインの機体が「妙なもの」を回収していることに気づいた。
「……グレイン。そんなもの、何に使いますの?」
シュエルの腕に抱えられていたのは、先ほどレタリアが蹴り飛ばし、行動不能にした二機目の無人機の残骸だった。
『……いや。こいつらの動き……。ただの警備用とは思えん。何かわかるかもしれんと思ってな』
グレインの声は、どこか重かった。
◆◆◆
帰還後、セルディアの格納庫にて。
運び込まれた無人機の残骸を、ミレアが食い入るように見つめていた。
「……これは」