「サダメェェェ?!」
「ん゛、ん゛ん゛っ?!」
「いてててててて……」
地面に叩きつけられ、顔面を強打。鼻に鋭い激痛が走る。
これは確実に鼻血が出ているだろう。起き上がろうとするも、上から落ちてきた何かに押し潰されたまま身動きが取れない。一体何が起こっているんだ?
それに、この弾力と柔らかな感触……なんだか妙に既視感がある。
「ふぅー、まさか脱出した瞬間に空中転移させられるとは思いもよらんでござった。勢い余りすぎて、上手く着地できなんだなー」
「……」
自分の上で人の声がする。
ひょっとして、誰かが自分に乗っかっている? しかもこの声、明らかに女の子の声だ。
ということは、この弾力の正体は……。
「しかし、どういうわけか思いのほか痛くも痒くも……って、おろ? 拙者、浮いておる?」
「……あのー……」
徐々に状況が飲み込めてきた。
今、自分の上にいるのは明らかに人間だ。おそらく同じ試験の合格者で、最後に脱出した子。そして間違いなく女子。
何故か侍口調なのは若干気になるが、今はそんな些末な問題ではない。問題は、自分を地面に叩きつけた“凶器”の正体だ。
弾力がありつつ絶妙に柔らかく、温かみのある二つの膨らみ。一見すると下の方の何かにも思えなくはないが、それにしては小さすぎるし、凹凸の弾力が柔らかすぎる。
これらの条件を総合すると、答えは一つしかあり得ない。
「下、下……」
「ん?」
おっぱいだ!間違いない。
エリカさんに何度も抱き潰されてきたこの身体が覚えている限り、他の可能性はゼロに等しい。
今現在、自分は女の子のおっぱいの下敷きにされているのだ。周囲のざわめき方から察するに、相当な視線を浴びているに違いない。
そりゃそうだ。女の子が人の上に落下してきて、そのまま顔面騎乗のような珍事が目の前で起これば、誰だって注目する。
どうしよう。死ぬほど恥ずかしい。もうしばらく顔を上げられない。一応ミオが彼女に「自分が下敷きになっている」と伝えてくれたらしく、ようやく彼女も事態に気づいたようだ。
「おっと、すまぬすまぬ! 拙者としたことが、ご仁に気がつかぬとは……?!」
「んぐむっ?!」
「サダメェッ?!」
慌てて起き上がろうとした彼女だったが、足がもつれたのかバランスを崩し、再び自分の胸を――今度は後頭部に――全力で叩きつけてきた。
ちょうどこちらも起き上がろうとしたタイミングと完全に重なり、またしても顔面から地面へ。
鼻に再び強烈な痛みが走る。拝啓、中学生時代の自分へ。
来世では君が夢にまで見た、あの伝説のラッキースケベを体験する機会に恵まれました。
しかし実際のところ、それは強烈な痛みと羞恥心と鼻血を伴うものでした。
正直、あまり良いものではありません。
どうか淡い期待など抱かず、健全で真っ当な生活を送ってください。
サダメ・レールステンより