転生勇者が死ぬまで10000日   作:慶名 安

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第6章ー3

 話は、初任務まで残り九日のところまで遡る。

 

 いつも通りの走り込みを終え、軽く息を整えていたその時だった。どこからともなく現れたコールスタッシュ先生が、再び生徒たちを集め始めた。

 

 昨日、あれだけ空気を重くしておいて、今度は何の話だというのだろうか。

 

 ざわつく中、先生は腕を組み、短く告げた。

 

 「昨日、理事長から任務の内容が正式に発表された。というわけで、今からお前たちには五人一組でチームを作ってもらう」

 

 「五人一組、ですか?」

 

 誰かの問いに、先生は頷く。

 

 「ああ。全員を同じ任務に行かせれば、どうせサボる奴が出る。かといって、一人一人別の任務を受けさせるのも不安が残る。だから安牌を取った。五人一組で動いてもらう」

 

 なるほど、と内心で納得する。

 大人数で一つの依頼を受ければ、依頼主にとっては過剰戦力だろうし、逆に単独行動はまだ危険すぎる。五人という人数は、確かに妥当だ。

 

 「人数的にも丁度いい。その方がお前たちとしても、多少は気が楽だろう」

 

 「まあ、たしかに……」

 

 反論の余地はなかった。

 

 「というわけで、さっさと決めろ。自分たちでチームを組め」

 

 「自分たちで決めていいんですか?」

 

 「その方が手っ取り早い。どうせ俺が決めたら文句言うだろ? ああ、それと――友達がいない奴もちゃんと仲間に入れてやれよ」

 

 教室のあちこちで、苦笑や乾いた笑いが漏れる。

 

 自分たちで決めていい。

 その言葉を聞いた瞬間、ほぼ結論は出ていた。

 

 「じゃあ、俺たち四人は確定だな」

 

 ギリスケが迷いなく言う。

 

 「うむ。やはり気心の知れた友人と組むのが一番でござる!」

 

 マヒロも頷き、ミオはちらりとこちらを見た。

 

 「サダメ、それでいいの?」

 

 「ああ。もちろんだ」

 

 俺、ミオ、マヒロ、ギリスケ。

 この四人は自然とまとまった。ここまでは何の問題もない。

 

 「問題は、あと一人だよな」

 

 ギリスケが腕を組む。

 

 「そうでござるな。拙者はあの者以外なら誰でもよいでござるが……」

 

 「ああ。それには俺も同意見。ぼっちはともかく、あいつだけは絶対入れねぇ」

 

 言外に指している人物は一人しかいない。

 

 視線が、自然とアラガの方へ向いた。

 

 実力は間違いなくクラス随一。彼が加われば、初任務の成功率は格段に上がるだろう。だが、俺たちと彼の間には微妙な因縁がある。互いに譲らない気質も相まって、同じ班になれば揉め事になる可能性は高い。

 

 正直、俺自身も気が進まない。

 

 しかし、問題はそこではない。

 彼は今、一人で立っている。

 

 周囲の連中は次々と班を決めていくが、アラガは動かない。いや、動けないのか。

 

 このままでは、余り物同士という形で、俺たちの班に入る流れになる可能性が高い。

 

 ――それは避けたい。

 

 ならば、先にもう一人確保するしかない。

 だが、俺には心当たりがない。ギリスケたちも同じだろう。

 

 ダメ元で誰かに声をかけるしか――

 

 「……あ、あの。ちょっといい?」

 

 予想外の声に、全員が振り向いた。

 

 「ミオ? どうした?」

 

 普段あまり前に出ない彼女が、珍しく手を挙げている。

 

 少しだけ緊張した表情で、それでもまっすぐこちらを見た。

 

 「私、一人誘ってみたい子がいるの」

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