「ここには任務の詳細が書かれている。内容で揉められると面倒だ。公平にクジで決める。ほら、さっさと代表者を決めて前に出ろ」
なるほど。先生の手にある四枚の紙――あれが、それぞれの任務内容というわけか。
つまり、どれを引くかで自分たちの初任務が決まる。
……代表者の“運”に、かなり左右されそうだな。
「じゃあ、うちはサダメだな」
「はっ?」
間の抜けた声が出た。
「うむ、異議なしでござるなー。ひゅーひゅー」
「ちょ、ちょっと待て」
「ワタシもそれでいいとオモウ」
『異議なし』
「……」
話し合いの“は”の字もなかった。満場一致で、俺に決定である。
しかもギリスケ、明らかに下手くそな口笛を吹いて目を逸らしている。マヒロも妙に自然な顔で同意しているあたり、こいつら、いつの間にか結託してやがったな。
こんな短時間で意思統一するとは、逆に感心する。
どれだけ責任を負いたくないんだ、お前らは。
「おい! さっさとしろ!」
「は、はい!?」
先生に怒鳴られ、結局俺が代表として前に出ることになった。気付けば他の班はすでに代表を決め終えている。残っているのは俺たちだけらしい。
……マジで、どんな内容でも文句言うなよ。
「好きなのを選べ。ただし一度触れたやつにしろ。早い者勝ちだ。同時ならじゃんけん」
露骨に面倒くさそうな顔で先生が言う。四人の代表が横一列に並び、机の上に置かれた四枚の紙を見下ろした。
白い紙切れが四枚。
たったそれだけなのに、妙に重く感じる。
念のため、紙が透けたりしないか角度を変えてみるが、当然ながら中身は見えない。透視魔法でもない限り、内容を事前に知るのは不可能だ。
分からないものに時間をかけても仕方ない。
俺は一つ息を吐き、右端の紙に手を伸ばした。
「……これで」
指先が触れた瞬間、他の代表も一斉に動く。
「じゃ、じゃあ僕はこっちで」
「なら俺はこれだ」
「最後は俺か」
あっという間に四枚はそれぞれの手に収まった。
「決まりだな。仲間にだけ見せろ。他言無用が暗黙のルールだ。覚えとけ」
「はい」
「明日、それぞれの班でミーティングだ。場所は教室。忘れるなよ。今日は解散!」
先生の号令と同時に、場が解ける。
俺は紙を持ったまま、仲間の元へ戻った。
周囲も、内容を見せ合わないようにしながら、ひそひそと確認している。
さて――。
俺はゆっくりと紙を開いた。
そこに書かれていた文字を目で追い、
「……ッ!?」
思わず息を呑んだ。
「なあサダメー、俺たちの任務ってなんだよ? 見せろ見せろー」
「あ、ああ……」
驚きのあまり固まっていたらしい。ギリスケたちが身を寄せてきて、紙を覗き込んだ。
任務内容。
『レルトという集落に自生するタリスターの花の処分』