転生勇者が死ぬまで10000日   作:慶名 安

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第6章ー5

 「ここには任務の詳細が書かれている。内容で揉められると面倒だ。公平にクジで決める。ほら、さっさと代表者を決めて前に出ろ」

 

 なるほど。先生の手にある四枚の紙――あれが、それぞれの任務内容というわけか。

 

 つまり、どれを引くかで自分たちの初任務が決まる。

 

 ……代表者の“運”に、かなり左右されそうだな。

 

 「じゃあ、うちはサダメだな」

 

 「はっ?」

 

 間の抜けた声が出た。

 

 「うむ、異議なしでござるなー。ひゅーひゅー」

 

 「ちょ、ちょっと待て」

 

 「ワタシもそれでいいとオモウ」

 

 『異議なし』

 

 「……」

 

 話し合いの“は”の字もなかった。満場一致で、俺に決定である。

 

 しかもギリスケ、明らかに下手くそな口笛を吹いて目を逸らしている。マヒロも妙に自然な顔で同意しているあたり、こいつら、いつの間にか結託してやがったな。

 

 こんな短時間で意思統一するとは、逆に感心する。

 

 どれだけ責任を負いたくないんだ、お前らは。

 

 「おい! さっさとしろ!」

 

 「は、はい!?」

 

 先生に怒鳴られ、結局俺が代表として前に出ることになった。気付けば他の班はすでに代表を決め終えている。残っているのは俺たちだけらしい。

 

 ……マジで、どんな内容でも文句言うなよ。

 

 「好きなのを選べ。ただし一度触れたやつにしろ。早い者勝ちだ。同時ならじゃんけん」

 

 露骨に面倒くさそうな顔で先生が言う。四人の代表が横一列に並び、机の上に置かれた四枚の紙を見下ろした。

 

 白い紙切れが四枚。

 

 たったそれだけなのに、妙に重く感じる。

 

 念のため、紙が透けたりしないか角度を変えてみるが、当然ながら中身は見えない。透視魔法でもない限り、内容を事前に知るのは不可能だ。

 

 分からないものに時間をかけても仕方ない。

 

 俺は一つ息を吐き、右端の紙に手を伸ばした。

 

 「……これで」

 

 指先が触れた瞬間、他の代表も一斉に動く。

 

 「じゃ、じゃあ僕はこっちで」

 

 「なら俺はこれだ」

 

 「最後は俺か」

 

 あっという間に四枚はそれぞれの手に収まった。

 

 「決まりだな。仲間にだけ見せろ。他言無用が暗黙のルールだ。覚えとけ」

 

 「はい」

 

 「明日、それぞれの班でミーティングだ。場所は教室。忘れるなよ。今日は解散!」

 

 先生の号令と同時に、場が解ける。

 

 俺は紙を持ったまま、仲間の元へ戻った。

 

 周囲も、内容を見せ合わないようにしながら、ひそひそと確認している。

 

 さて――。

 

 俺はゆっくりと紙を開いた。

 

 そこに書かれていた文字を目で追い、

 

 「……ッ!?」

 

 思わず息を呑んだ。

 

 「なあサダメー、俺たちの任務ってなんだよ? 見せろ見せろー」

 

 「あ、ああ……」

 

 驚きのあまり固まっていたらしい。ギリスケたちが身を寄せてきて、紙を覗き込んだ。

 

 任務内容。

 

 『レルトという集落に自生するタリスターの花の処分』

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