転生勇者が死ぬまで10000日   作:慶名 安

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第6章ー6

 翌日。

 

 本来なら魔法学の授業がある時間だが、今日は中止となり、各班ごとの任務ミーティングが行われることになった。

 

 任務内容は他言無用。よって、一組ずつ教室に入り、コールスタッシュ先生と直接打ち合わせを行う形式らしい。残りの班は別室で待機だ。

 

 順番は昨日と同じくクジで決まり――そして運の悪いことに、俺たちは最後だった。

 

 「おっ、次俺たちの番じゃね?」

 

 ギリスケが立ち上がりながら言う。

 

 「そうみたいだな」

 

 三組目の班が戻ってきたのを確認し、俺も席を立つ。待機時間はおよそ一時間弱。長かったような、短かったような微妙な時間だ。

 

 「それじゃあ行こうか」

 

 俺が促すと、全員が立ち上がり、揃って教室へ向かった。

 

 

 

 「さて、お前らで最後だな。任務の概要を確認するぞ」

 

 教室に入ると、先生はすぐに扉へ顎をしゃくった。俺が鍵をかける。

 

 この学園の教室は、施錠と同時に特殊な魔法が発動する仕組みになっている。完全防音。どれだけ大声で叫ぼうが、爆発音を鳴らそうが、外には一切漏れない。

 

 ……これ、普通にライブ会場として使えそうだよな。

 

 くだらないことを考えつつ席に着くと、先生は黒板に一枚の紙を貼り出した。

 

 「今回の任務は、レルトという集落に自生しているタリスターの花の処分、だったな?」

 

 「先生。タリスターって、魔物除けの花ですよね?」

 

 ミオが即座に反応する。

 

 「ほう。よく知ってるな。なら話は早い」

 

 タリスターの花。昔、ラエルから聞いたことがある。魔物を遠ざける効果を持つ特殊な植物で、女性用の香水にも加工されていたはずだ。

 

 「その花を処分するんですか? 回収じゃなくて?」

 

 俺が疑問を口にする。

 

 「ああ。いいところに気づいたな。今からそこを説明する」

 

 珍しく、先生が素直に褒めた。

 

 ……今日は煙草も吸っていない。機嫌がいいのか?

 

 「まず、サダメの言う通り、タリスターは魔物除けの効果を持つ特殊な花だ」

 

 「先生、ようやく生徒の名前覚えてくれたんっすね?」

 

 ギリスケが茶々を入れる。

 

 「アホか。俺を誰だと思ってる。生徒の名前くらい覚えてるわ」

 

 即座に返され、教室に微妙な沈黙が落ちた。

 

 ……いや、以前は“赤髪”とか“そこの目つき悪いの”とかで呼ばれてましたよね?

 

 心の中だけで突っ込んでおく。

 

 「話を戻すぞ」

 

 先生は軽く咳払いをした。

 

 「タリスターは各地に自生しているが、最近になって騎士団が全面的に処分する方針を打ち出した」

 

 「全面的に……?」

 

 マヒロが眉をひそめる。

 

 「何故ですか?」

 

 俺もすぐに問いかけた。

 

 つい最近まで香水として流通していた花を、今さら“全部”処分するなど、どう考えても不自然だ。

 

 何かが起きたに違いない。

 

 先生は一瞬だけ視線を伏せ、それから淡々と告げた。

 

 「それはな――タリスターの花が『魔薬《マラッグ》』だと判明したからだ」

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