「ぐああああああああああっ!?」
投げつけられた小刀が腹に突き刺さった瞬間、全身に雷撃が奔った。
筋肉が強制的に収縮し、指一本すら動かせない。意識はあるのに、身体がまるで自分のものじゃない。
――この俺が、二度も同じ手を食らうだと。
「……くそ、が……」
信じられなかった。
あんなガキ共に、負けた。
ドーピングまでして手に入れた力だ。命を削って、外道に堕ちて、それでもなお掴み取った強力な魔法だったはずだ。
なのに――何故だ。
何故、俺が負ける?
「あの野郎……俺の魔法を、攻略したってのか……?」
騎士団ですら、あと一歩のところまでしか辿り着けなかった術だ。それを、あんな未熟そうなガキ二人が、あっさりと打ち破る?
理解が追いつかない。
いや――理解したくなかった。
「これが……才能、ってやつかよ……」
喉の奥から、かすれた笑いが漏れる。
俺がどれだけ足掻こうと、どれだけ汚れようと、最初から持っている奴には敵わない。
そういうことか。
「あ、あぁ……あぁぁっ……」
ふざけるな。
結局この世界は、才能のある奴だけが生き残る仕組みか。
努力も、覚悟も、罪すらも――何一つ意味なんてなかったっていうのか。
「……くそ、が……ぁ……」
視界が揺れる。
小刀から流れ込む雷のせいで、意識が徐々に削り取られていく。
部分魔力強化《パージング》で耐えられたのは、一度きり。
そもそも最初の一撃の時点で、かなり削られていた。二度目を凌ぎ切る余力など、残っているはずがない。
だからこそ、あの手に出た。
――だが、その策すら破られた。
このザマだ。
「……は、はは……」
笑えない冗談だ。
視界が暗くなる。輪郭が崩れ、世界が遠のいていく。
このまま意識が落ちれば――終わりだ。
奴らに捕まれば、騎士団に引き渡される。
その後は裁判だ。よくて終身刑。悪ければ――死刑。
しかも、この世界の裁判は甘くない。
記憶操作の魔法による尋問。隠し事など一切通用しない。
俺がこれまで積み上げてきた罪のすべてが、白日の下に晒される。
――人を犯し、殺し、踏み躙ってきた。
数えきれないほどの罪。
どれだけ言い訳を並べようと、許されるはずがない。
ああ、なんで、こうなった。
掠れた声が、虚しく漏れる。
どこで道を間違えた?
いつから、こんな所まで堕ちた?
少し前までは――俺だって魔法学園の、生徒だったはずだろ。
そこで、ふと疑問が浮かぶ。
――何故、俺は学園に行こうと思った?
誰かに誘われた気がする。
だが、その顔が思い出せない。
闇に沈みかけた意識の中で、記憶が断片的に浮かび上がる。
まるで走馬灯のように。
思い出したくないはずの過去ほど、鮮明に蘇る。
逃げようとしても、逃げられない。
夢の中で何度も繰り返される悪夢のように。
――そうだ。
きっかけは、三年前。
あの時からだ。
俺の人生が狂い始めたのは。
なぜなら――
三年前。
俺の姉は、魔物に殺された。