転生勇者が死ぬまで10000日   作:慶名 安

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第7章ー2

 「期末試験、ですか?」

 

 「ああ。二週間後から三日間にわたって行われる、今学期の集大成だ。中間試験よりも範囲は広い。今日からでもしっかり予習しておけよ」

 

 期末試験――中間試験があった時点で、いずれ来るとは思っていたが、いざ改めて告げられると気が重くなる。前世の自分は大の勉強嫌いで、試験というものに真面目に向き合った記憶はほとんどない。中間は範囲が狭い分、少し手を付ければどうにかなったが、期末となると話は別だ。ほとんどの教科を半ば投げていた記憶すらある。

 

 とはいえ、今は状況が違う。前回の中間試験では一応真面目に取り組み、全教科で落第を免れることができた。精神的にも以前ほど勉強を苦痛に感じることはなかったが――それでも、範囲の広い期末試験となると話は簡単ではない。日々の鍛錬に加えて勉強量も増やさなければならないとなれば、かなり厳しい日々になるのは間違いないだろう。

 

 「それと、もう一つ重要なことを言っておく。期末試験は中間と違って、筆記と実技の両方があるからな」

 

 「えっ?! じ、実技ぃ~?!」

 

 思わず素っ頓狂な声が教室に響く。

 

 「詳細はまだ言えんが、実技は魔法と身体能力の両方を使う、やや実戦寄りの内容になる。魔法の鍛錬だけじゃなく、体力づくりも怠るなよ」

 

 「「えええええええええええええ!?」」

 

 「うへー、マジかよ……」

 

 『むむむ……勉強だけでも大変なのに、また走り込みも増えるのか……』

 

 「拙者は実技だけで十分だと思うのだが……」

 

 「はあ……これじゃあ寝る時間も削られそう……」

 

 教室中から一斉に悲鳴と不満の声が上がる。自分も例外ではなく、あまりの負担の大きさに言葉を失っていた。普通に考えて、勉強と魔法訓練、さらに体力づくりを同時にこなすなど、相当な覚悟が必要だ。特に精神的な負担は計り知れない。

 

 筆記試験に関しては、ある程度出題範囲が見えている分、赤点回避の目処は立てられる。だが、問題は実技だ。評価基準がどこにあるのかも分からない。単なる点数制なのか、それとも課題をクリアしなければならないのか――どちらにせよ、鍛錬を疎かにするわけにはいかない。

 

 (……これは、なかなか厄介なことになったな)

 

 心の中でそう呟きながら、思わず頭を抱えそうになる。

 

 「はいはい、静かにしろお前ら。話はまだ――」

 

 先生が制止を試みるも、絶望に打ちひしがれた生徒たちは誰一人として耳を貸そうとしない。あちこちで愚痴が飛び交い、教室内は完全に収拾がつかなくなっていた。正直、自分も今は先生の話どころではない。

 

 「……はあ。これじゃ埒が明かねぇな」

 

 諦めたようにため息をついた先生は、次の瞬間、机を叩かんばかりの勢いで声を張り上げた。

 

 「野郎共! 絶賛絶望中のてめぇらに朗報だ! よーく聞け!!」

 

 「ッ?! 朗報?」

 

 その一言に、騒がしかった教室がぴたりと静まる。皆一斉に先生へと視線を向けた。どうやら“朗報”という言葉には、さすがに反応せざるを得なかったらしい。

 

 先生はニヤリと口角を上げ、ゆっくりと告げた。

 

 「期末試験――筆記と実技、どちらも無事に合格した者にはな……一ヶ月の夏休みをくれてやる!!」

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