転生勇者が死ぬまで10000日   作:慶名 安

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第7章ー67

 『おらァッ!!』

 

 私は飛来してきた氷塊を拳で叩き砕き、そのまま元いた場所へ向かって駆け抜ける。

 

 だが、戻ろうとするたびに、アラガの氷魔法が執拗に襲いかかってきた。

 

 『ちっ……!』

 

 氷を弾きながら前進するものの、あの魔法は想像以上に厄介だ。

 

 攻撃は複数方向から飛んでくる上、妙な追尾性能まで備わっている。

 

 一度、確認のために高速移動してみたが、それでも氷弾はしっかり私を追尾してきやがった。

 

 足を狙うように軌道を変えてくる辺り、かなり精密に制御されている。

 

 ……面倒くせぇ。

 

 撃たれ続けるうちに、私は次第に違和感を覚え始めていた。

 

 遠距離から、高速で動く相手を正確に狙い続ける。

 

 そんな芸当、並の魔法使いにできることじゃない。

 

 しかも、攻撃地点がバラバラだ。

 

 あちこちから氷弾が飛来してくるせいで、位置を特定しづらい。

 

 恐らく――。

 

 『……自動砲台か?』

 

 私は小さく呟いた。

 

 氷魔法で砲台のようなものを設置し、自動で狙撃させている可能性が高い。

 

 使い魔という線もゼロじゃねぇが、ここまで高精度な射撃性能を持つ使い魔なんざ聞いたことがない。

 

 ましてや、氷魔法を扱える個体なんてそうそう存在しねぇ。

 

 そこまで考えると、やはり可能性が高いのは前者だ。

 

 『はぁ……はぁ……くだらねぇ手、使いやがって……!』

 

 氷弾を捌き続けるうちに、徐々に息が上がってくる。

 

 無駄に体力を使わされるし、迎撃のために炎魔法も消耗させられている。

 

 ……クソ。

 

 地味にイラつく。

 

 『だが――そんなモン、私には関係ねぇッ!!』

 

 そしてついに、私は元の場所まで戻ってきた。

 

 視線を巡らせると、案の定。

 

 氷壁の陰に隠れるように、二つの氷製砲台が設置されていた。

 

 『……はっ。やっぱりか』

 

 どうやら、私がここへ戻ってきた瞬間を狙えるよう配置していたらしい。

 

 しかも、恐らく魔力感知機能付きだ。

 

 近づいた瞬間、即座にこちらへ照準を合わせてきやがった。

 

 さらに腹立たしいことに、二つとも端へ分けて設置されている。

 

 壊すにもわざわざ動かなきゃならねぇ。

 

 ……ほんと、面倒くせぇ野郎だ。

 

 だが同時に、私は感心もしていた。

 

 ここまで明確にイメージを固めて魔法を構築できるとは。

 

 アラガの奴、見た目に反して随分と芸が細かい。

 

 やはり、あいつの魔法の才能は本物だ。

 

 『ちっ――【火球《フレール》】!!』

 

 私は右側の砲台を拳で粉砕すると、続けざまに左側へ火球を放った。

 

 爆炎が炸裂し、砲台が吹き飛ぶ。

 

 こんなもん、わざわざ大技を使う必要もねぇ。

 

 下手すりゃ素手だけでも全部壊せる。

 

 移動するのすら面倒だったが、まあこれで片付いた。

 

 『さて……』

 

 私は肩を鳴らしながら周囲を見渡す。

 

 『野郎共、どこに隠れてやがる?』

 

 口元が自然と吊り上がった。

 

 『私にここまで手間取らせた罰だ。せめて一発くらい、ぶん殴らねぇと気が済まねぇよなぁ?』

 

 そう言いながら、近くの建物へ拳を叩き込む。

 

 轟音。

 

 一撃で巨大な亀裂が走り、そのまま建物全体が崩壊していった。

 

 私をここまでイラつかせたガキは久しぶりだ。

 

 だったら、これくらいの威力で殴ったところで文句は言えねぇだろう。

 

 見つけ次第、問答無用でぶん殴る。

 

 そうでもしなきゃ、この苛立ちは収まらない。

 

 『オラァ!! とっとと出てこいやァァァァァ!!!』

 

 私は怒声を撒き散らしながら、次々と建物を破壊していく。

 

 拳で。

 炎で。

 蹴りで。

 

 目につくものを片っ端から叩き壊しながら、二人を探し回った。

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