俺の名はギリスケ・アンドリューズ。ソワレル魔法学園一年。容姿端麗、頭脳明晰、成績優秀――学園内でも将来を有望視されるエリート中のエリートである(自称)。それ故に友人達からは絶大な信頼を寄せられ(嘘)、女子からは毎日のように告白されるほどのモテっぷりを誇っている(大嘘)。
これは、そんな俺の日常を描いた物語である(本当)。
あれは一学期終了まで残り一週間ほどとなった頃の出来事だ。
俺は親友のサダメ・レールステンと連れ立ってトイレに来ていた。いわゆる“連れション”というやつである。
「おっ、サダメ。お前、意外とちっさいんだな?」
「はあ!? お前、何見てんだよ!?」
並んで小便器に向かっていた時、ふと隣のサダメのブツが気になった俺は、上から覗き込むようにしてサイズを確認した。
するとどうだ。普段の鍛え上げられた逞しい肉体からは想像もつかない慎ましやかなサイズ感に、思わず笑いが込み上げてくる。
サダメもまさか覗かれるとは思っていなかったのだろう。驚きのあまり、小便のキレまで止まりかけていた。
「まあまあまあ。こればっかりは鍛えようがないし、仕方ねーよ」
「仮に鍛えられたとしても鍛えたくねえわ。ったく、急に見られたらションベンしづらくなるだろうが」
「ふっ。それはつまり、自分のモノに自信がない証拠だな。見てみろよ、俺のこの堂々たる放尿を!」
「……お前はもう少し羞恥心ってものを覚えろ」
小さいと言われたのが癪に障ったのか、サダメはそれ以上見られないよう便器にぴったり張り付くような姿勢で小を続けていた。
一方の俺はというと、腰に手を当て、さも誇らしげに堂々と放尿を続行。
自慢じゃないが、俺のブツは同年代の中ではそこそこ立派な方だという自負がある。風呂場などで偶然他人のを見かける機会もあるし、比較対象には困らない。
「おっ?」
「……」
そんなくだらない張り合いをしていると、トイレの入口からアラガの奴が姿を現した。
そういえば、こいつのはまだ確認したことがない。
――その瞬間、俺の脳内に電流が走る。
「……なんだ?」
「いや、別に?」
よし。こいつのブツ、見てやろう。
普段あれだけ冷静ぶってる奴が、こういう状況でどんな反応をするのか気になる。もし覗かれた瞬間に慌てたりしたら最高だ。
だが、いきなり「見せろ」なんて言えば確実にキレるだろう。だからここは慎重にいく。
奴が小便を始めたタイミングを見計らい、さりげなく接近。そして無防備になったところを――
ギィィ……。
「……は?」
予想外の音に、俺の思考が止まる。
なんとアラガの野郎、小便器ではなく個室トイレへと入っていったのだ。
「そっちでやるタイプかよ!?」
思わずツッコミが口を突いて出る。
俺の叫び声は、静かな男子トイレの中に虚しく響き渡っていた。