「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
ミオ達と合流した瞬間、ギリスケが盛大な雄叫びを上げた。
朝っぱらから無駄にテンションが高いし、とにかくうるさい。しかも真横で叫ばれたせいで耳がキーンとなってしまった。鼓膜が破れるかと思ったぞ。
「へへへ。どう? みんな可愛いでしょ?」
ミオは少し照れくさそうに笑いながら、自分達に感想を求めてきた。
そんな彼女が着ているのは緑色のワンピース水着。細身の体型によく似合っており、すらりとしたシルエットが綺麗に際立っている。普段とは違う雰囲気に思わず目を引かれてしまった。
「お、おお。いいんじゃないか?」
昨日の反省も踏まえ、感想はできるだけ短めにまとめる。
だが、やはり女の子を褒めるというのは妙に気恥ずかしい。単純に自分がそういうことに慣れていないだけなのだろう。
「あれー? サダメおにいちゃん、てれてるのー? おにいちゃんってばかわいいー!」
「……」
それを見逃さなかったソンジさんが、わざとらしく妹口調でからかってくる。
思わず顔を背ける自分。
花柄のフリル付き水着を着たソンジさんは、いつもの白衣姿とは随分印象が違った。正直、水着の上から白衣でも羽織って来るのではないかと思っていたので、意外と普通の格好だったことに少し驚く。
『意外とサダメって初心なんだね』
さらに追い打ちをかけるようにフィーが会話へ加わった。
彼女は赤と黒を基調としたキャミソール付きのビキニを着用しており、日差し対策なのかキャップまで被っている。普段の服装を見ても思っていたが、どうやら赤黒系のファッションが好みらしい。
「……いや、そんなことないって」
「ほんとにー? あっ! ひょっとして、わたしたちの水着姿でコーフンしてるのー?」
「してないですから!?」
あまりにも執拗にからかわれ、思わず大声で否定してしまった。
しかしソンジさんはというと、
「サダメおにいちゃんがおこったー!」
とだけ言い残し、そのまま逃走。
反省する気はまるでないらしい。
駄目だ。この人に変な反応を見せたら最後、徹底的に遊ばれてしまう。今後はもっと冷静でいなければ。
「うっひょー! みんな最高じゃねーか!? いやぁ、俺、男に生まれてきて本当に良かったぜー!」
「大袈裟だなお前」
ギリスケはギリスケで、女子達の水着姿を見てからというもの、ずっと興奮状態だった。
隣で騒ぎ続けられるこちらの身にもなってほしい。
こいつ、本当にこのテンションのまま一日過ごすつもりなのだろうか。下手をすれば興奮し過ぎて倒れるんじゃないかと本気で心配になってくる。
「あっ、そういえばマヒロちゃんがまだ来てねぇな?」
「たしかに。何かあったのか?」
マヒロの姿が見当たらないことに気付いたギリスケが、ようやく少しだけ冷静さを取り戻した。
言われてみれば確かにおかしい。
女性陣は全員一緒に着替えていたはずだ。一番楽しみにしていたであろうマヒロだけがいないというのは不自然だった。
「いや? 着替えは私が手伝ったし、途中までは一緒に来てたはずだけど」
ソンジさんの話では、着替え自体は既に終わっているらしい。
だとすると、途中で何かあったのだろうか。
昨日はかなり食べていたし、まさか腹痛でも起こしたのか?
「俺、一回様子見てくる――」
少し心配になった自分は、マヒロを探しに行こうとした。
その時だった。
「うーむ。やはり水着というものは、どうにも着慣れぬものでござるな」
聞き覚えのある声が背後から聞こえてくる。
「マヒロ!?」
振り返ると、そこには当の本人が立っていた。
まさに探しに行こうとしていたタイミングだっただけに、自分達は思わず目を丸くする。
どうやら無事だったらしい。
ひとまず胸を撫で下ろしながら、自分はマヒロの方へと視線を向けるのだった。