『うぅぅ……寒いぃぃ……』
「まだ【
『ありがとぉ、ミオぉ……』
無事に着地したのも束の間。
辺りを見渡せば、視界に映るのは氷、氷、氷。
地面も壁も天井も、すべてが白く凍り付き、この地下空間そのものが巨大な氷の洞窟になっていた。
これも魔障の影響なのだろうか。
【
試しに炎魔法で身体を温めてみた。
確かに一瞬だけ暖かくなる。
だが、それも束の間。
すぐに魔障の冷気へ飲み込まれ、熱は跡形もなく消え去ってしまった。
これでは魔力を無駄遣いするだけだ。
素直にミオの魔法へ頼った方が賢明だろう。
「んー……」
「? どうかしました、ソンジさん?」
身体を温め直してもらっている最中、ソンジさんが再び地図を広げていた。
眉間には深い皺が刻まれている。
嫌な予感しかしない。
「今、落下地点を確認してたんだけど……」
一度言葉を切り、地図と周囲を見比べる。
「どこにも一致する場所がない」
「え……?」
「つまり私達が今いる場所は、騎士団ですら地図を作れなかった区域ってことさ」
その一言で空気が凍り付いた。
「騎士団でも調査を断念した……禁止区域ってわけ」
「そんな……」
思わず息を呑む。
経験豊富な騎士達ですら立ち入ることを諦めた場所。
そんな危険地帯へ、自分達は落ちてしまったというのか。
薄々嫌な予感はしていた。
だが、現実は予想以上だった。
ギリスケの奴……とんでもない場所まで落ちてくれたもんだ。
「あっ!」
その時、ようやく本来の目的を思い出す。
「そういえば、ギリスケとマヒロは!?」
全員で周囲を見渡す。
しかし、人影はない。
気配も感じられない。
「おかしいな……」
ソンジさんが腕を組む。
「途中で分岐はなかったし、落下中に二人が軌道を変えた様子もなかった。同じ場所へ落ちても不思議じゃないはずなんだけど。」
確かにその通りだ。
あの空洞は一本道だった。
途中で横穴へ入れるような場所もなかったし、落下中に二人の姿が見えなくなるような出来事もなかった。
それなのに、姿だけが消えている。
まさか――。
嫌な想像が頭をよぎる。
いや、落ちてすぐ命を落としたとは考えにくい。
周囲に遺体らしきものも見当たらない。
なら、一体どこへ……。
『ねぇ?』
フィーの声が思考を遮った。
『これ、何だろ?』
「ん?」
「何か見つけたのかい?」
自分達は慌ててフィーのもとへ駆け寄る。
『ほら、これ』
フィーが指差した先へ目を向ける。
「……これは……」
白銀の地面を一直線に走る一本の切れ目。
自然にできた亀裂とは思えない。
まるで鋭利な刃物で、大地そのものを一刀のもとに断ち切ったような――。
そんな異様な痕跡が、氷の大地に静かに刻まれていた。