周りはド派手なのにどうして俺だけこんなに地味なんですか!!   作:メルクーリさんウッス

2 / 2
どうしよ

 俺はド派手な魔法をド派手に使いたかった。

 目立ちたいとかそういう次元なんてとっくに過ぎてて、ただ、幼い頃に見たあの目を細めても尚眩しいような輝きを、俺の手でやってみたかったんだ。

 

 

「君は……!?」

 

 

 とりあえず状況の説明が欲しい。

 なぜ俺の目の前に、俺の友人である優城(ゆうじょう)ナギがいるのか。

 そしてどうして……

 

 

「……」

 

 

 どうしてあんなに傷付いているんだ。

 あいつは、そこらのチンピラとか魔法犯罪者なんて歯牙にも掛けないくらいの魔法を持ってる筈で。

 ……その辺りまで考えて、何やら自分の足元からぶよっとした感触がしていることに気が付いた。

 

 

「ん」

 

 

 視点を足元に移すと……赤、そしてなんかピンクっぽいナニカ。

 ……。

 

 ……え、お肉? 生?

 

 

「き……」

 

 

 きっしょ、と言いかけて。

 俺の目の前には、あいつらがいることを忘れてはならない。

 

 

「足から、翼……? えっと、本当に君は誰なんだ」

 

「……」

 

 

 すぐさま言いかけた言葉を噛み潰して表情を無に変える。

 ……いやいや、ほんとに何してんのさナギ!?

 

 

「服も、すごいボロボロだし」

 

「?」

 

 

 そう言われて己の服を……うっわ!?

 え、何でこんなボロボロなの何があった!?

 

 あ、つむじ風とあれか、最後の加速。

 

 

「ちょ、ナギあんまり見ちゃダメ!」

 

「わぶっ!?」

 

 

 あ、ナギの幼馴染が制した。

 あんなにわかりやすくないアピールもないと思うな、ナギも大概だけど。

 

 ってそんなこと話してる場合じゃない。

 今すぐここを離れないと……!

 

 

「っ……!」

 

 

 足に、思い切り力を込めて跳躍する。

 お、ナギたちがあんなに小さくなってる。

 すっごい跳躍力というか速度だなぁ、男のままだったらどう頑張ってもこうは行かないよな。

 

 ……ってそうだ男! 性別! えおじさんどこよ!?

 

 

「うわ、汚れてる……きったね」

 

 

 余程さっきの肉塊に勢いよくぶつかったのか、それともあの肉が柔かったのか。

 俺の身体はボロボロになった制服と飛び散った血でとんでもないことになっていた。

 しかも裸足だし。

 

 

「……カバンと靴回収して家帰ろ」

 

 

 つっかれた。

 我ながら魔法に一喜一憂し過ぎた1日だったし、というかこのまま街探索したら間違いなく警察のお世話になる。

 

 

「どこ行った、あのおっさん」

 

 

 全てはあのおっさんのおかげというか所為なんだけど……どうしよ、元に戻してもらうか?

 でも俺魔法使いたいんだよなぁ。

 

 

「……全ては、風呂の後だ」

 

 

 ベタベタして気持ち悪ぃよこれ、血液どろっどろじゃんか。

 納豆とかニンニクちゃんと食えよな。

 

 

 

 

 

 

「彼女は、一体……」

 

「消えちゃったね」

 

「見たことのない魔法でしたが、どこの誰なんでしょうか?」

 

「わからない、けど尋常じゃない威力を帯びることができるのは確かだと思う」

 

 

 現場に残されたクレーターと、敵だったものの残骸を眺めながらナギ……そう呼ばれる青年は判断する。

 

 

「あの怪人、すっごく硬かったよね?」

 

「ああ、僕やサキたちの魔法でもほとんど手応えがなかったのに……それを、一撃であんな風に」

 

「う、あっちをあんまり意識させないでください……」

 

「あ、ごめんね」

 

 

 強力な怪人だったものは、今や凄惨な事故現場と言われても信じてしまうような現状になってしまっていた。

 血は飛び散り、その強靭だった肉体は無惨にも散らばってしまっている。

 

 

「それに、あの……」

 

「あの?」

 

「……ああ、あの子、肉塊の方を見て一瞬、表情を変えたんだ」

 

「え、そうだったんですか?」

 

「ああ、き、とかそんな感じの口の形してた。あれって歯軋り……だよね?」

 

「歯軋り……つまり?」

 

「それほどまでにあいつらを憎んでる……ってことになる、のかな」

 

 

 

 

 

 

「……っ〜!?」

 

 

 お、俺の無駄に鍛えた筋肉がっ!?

 う、嘘だよな、唯一の取り柄がぁ……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TS巻き込まれ召喚勇者 (作者:ななば)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼いじめられっ子の主人公くんがクラス転移に巻き込まれて主人公ちゃんになる話▼なお転移先の異世界は過酷で、授かったスキルも不穏すぎる模様。▼カクヨムにも投稿しております。


総合評価:103/評価:7/連載:6話/更新日時:2026年05月26日(火) 07:08 小説情報

吸血幼女の食事係(作者:桃羽玉箱)(オリジナル現代/冒険・バトル)

 ▼日本でただの男子大学生だったはずの青年。しかし、彼は気がつけば500年後の世界で女の子に成っていたのだ!▼彼が目を覚ました500年後の日本には魔力、魔法、魔法少女、魔物──そんな物が当然のように存在していた。▼そんな不思議な世界で、彼……いや、彼女は記憶の殆どを喪失した状態で目を覚ましたが、運良く最強の幼女の食事係として雇われることに。▼最強幼女に懐かれ…


総合評価:131/評価:7.67/連載:10話/更新日時:2026年05月31日(日) 01:25 小説情報

TSしたけど美少女じゃなかったのでVtuberになる事にした(作者:ぷりん)(オリジナル現代/日常)

TSしたら無条件で美少女になれると思うな


総合評価:18/評価:-.--/連載:1話/更新日時:2026年05月23日(土) 19:20 小説情報

主人公くん、ちょっと生き様見せてくれない?(作者:キウイ%)(オリジナル現代/日常)

Q.憧れの世界に転生できたら何をしますか?▼A.最推しの主人公くんを近くで鑑賞したい▼そんな感じのお話。


総合評価:52/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年05月20日(水) 13:15 小説情報

天笠キヤは親友君を堕としたい 〜親友君ガチ恋勢TSっ娘によるマッチポンプヤンデレ育成計画〜(作者:ゆきゆき@TSっ娘)(オリジナル現代/恋愛)

「この天笠キヤには夢がある! TSし、親友君にドロドロ依存してもらうという大いなる夢が!」▼メス堕ち希望のTSっ娘が親友君とイチャイチャしたり誘惑したりするお話▼そのためには手段を選ばない。たとえ親友君が傷つこうとも……!(巨悪)


総合評価:104/評価:7.2/連載:10話/更新日時:2026年06月10日(水) 20:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>