周りはド派手なのにどうして俺だけこんなに地味なんですか!! 作:メルクーリさんウッス
俺はド派手な魔法をド派手に使いたかった。
目立ちたいとかそういう次元なんてとっくに過ぎてて、ただ、幼い頃に見たあの目を細めても尚眩しいような輝きを、俺の手でやってみたかったんだ。
「君は……!?」
とりあえず状況の説明が欲しい。
なぜ俺の目の前に、俺の友人である
そしてどうして……
「……」
どうしてあんなに傷付いているんだ。
あいつは、そこらのチンピラとか魔法犯罪者なんて歯牙にも掛けないくらいの魔法を持ってる筈で。
……その辺りまで考えて、何やら自分の足元からぶよっとした感触がしていることに気が付いた。
「ん」
視点を足元に移すと……赤、そしてなんかピンクっぽいナニカ。
……。
……え、お肉? 生?
「き……」
きっしょ、と言いかけて。
俺の目の前には、あいつらがいることを忘れてはならない。
「足から、翼……? えっと、本当に君は誰なんだ」
「……」
すぐさま言いかけた言葉を噛み潰して表情を無に変える。
……いやいや、ほんとに何してんのさナギ!?
「服も、すごいボロボロだし」
「?」
そう言われて己の服を……うっわ!?
え、何でこんなボロボロなの何があった!?
あ、つむじ風とあれか、最後の加速。
「ちょ、ナギあんまり見ちゃダメ!」
「わぶっ!?」
あ、ナギの幼馴染が制した。
あんなにわかりやすくないアピールもないと思うな、ナギも大概だけど。
ってそんなこと話してる場合じゃない。
今すぐここを離れないと……!
「っ……!」
足に、思い切り力を込めて跳躍する。
お、ナギたちがあんなに小さくなってる。
すっごい跳躍力というか速度だなぁ、男のままだったらどう頑張ってもこうは行かないよな。
……ってそうだ男! 性別! えおじさんどこよ!?
「うわ、汚れてる……きったね」
余程さっきの肉塊に勢いよくぶつかったのか、それともあの肉が柔かったのか。
俺の身体はボロボロになった制服と飛び散った血でとんでもないことになっていた。
しかも裸足だし。
「……カバンと靴回収して家帰ろ」
つっかれた。
我ながら魔法に一喜一憂し過ぎた1日だったし、というかこのまま街探索したら間違いなく警察のお世話になる。
「どこ行った、あのおっさん」
全てはあのおっさんのおかげというか所為なんだけど……どうしよ、元に戻してもらうか?
でも俺魔法使いたいんだよなぁ。
「……全ては、風呂の後だ」
ベタベタして気持ち悪ぃよこれ、血液どろっどろじゃんか。
納豆とかニンニクちゃんと食えよな。
「彼女は、一体……」
「消えちゃったね」
「見たことのない魔法でしたが、どこの誰なんでしょうか?」
「わからない、けど尋常じゃない威力を帯びることができるのは確かだと思う」
現場に残されたクレーターと、敵だったものの残骸を眺めながらナギ……そう呼ばれる青年は判断する。
「あの怪人、すっごく硬かったよね?」
「ああ、僕やサキたちの魔法でもほとんど手応えがなかったのに……それを、一撃であんな風に」
「う、あっちをあんまり意識させないでください……」
「あ、ごめんね」
強力な怪人だったものは、今や凄惨な事故現場と言われても信じてしまうような現状になってしまっていた。
血は飛び散り、その強靭だった肉体は無惨にも散らばってしまっている。
「それに、あの……」
「あの?」
「……ああ、あの子、肉塊の方を見て一瞬、表情を変えたんだ」
「え、そうだったんですか?」
「ああ、き、とかそんな感じの口の形してた。あれって歯軋り……だよね?」
「歯軋り……つまり?」
「それほどまでにあいつらを憎んでる……ってことになる、のかな」
「……っ〜!?」
お、俺の無駄に鍛えた筋肉がっ!?
う、嘘だよな、唯一の取り柄がぁ……。