ダンジョンから帰ったら五十年経ってたんだが。~え?昔の仲間が今や大手ギルドの代表?なにそれ知らん……こわ……~   作:蝉時雨

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蝉には五体投地することしかできない!!!


第十二話は狂人と共に

 まったく、どうしてこうなってしまったんだろうな。

 

 耳元の機械を触り、目の前に表示されていたコメントを切る。細かい設定やらはわからんが、電源を落としておけばいいだろう。

 

 なにせ――。

 

「誰かと思えば時を超えし者じゃないかっ! ひはっはっ! ボクはツイてるね!」

 

 ――ここからは単純に視界の邪魔になる。

 

「時を超えし者、か。以前にも言われた覚えがあるが、なぜ知っているのか聞いても?」

 

「ん? なぜってそりゃ――おっと、変な動きはよしてもらおうか?」

 

 会話の合間に踊り場の隙間から抜け出そうとしたが、すぐそばに雷が迸ることで強制的に動きを止められる。

 地面を抉っているのも見て取れることから、威力も申し分無さそうだ。

 

 やれやれ、一筋縄ではいかなそうだ。

 

「で、なんの話だっけ。あっ、なんで時を超えし者って呼んでるかって話だっけ!」

 

 姫野と自分を指していた彼女は、両手で魔法陣をそれぞれ展開したまま楽しそうに語る。

 

「それはねー、神サマが言ってたからだよっ! まあ、厳密には総主教サマがだけどねっ!」

 

「ほう。その神様だか総主教様というのはなんなのだ?」

 

「いひひ、ボクから情報を取ろうとしてるなー? んー、でもどうしようかなー? 話してあげてもいいけどなー?」

 

 ふむ、この女はあれだな。

 狂人とでもいう部類の、頭のネジが外れた人間なのだろう。

 ある意味、似たもの同士――いや、まだオレのネジは外れきっていないだろうから違うと思いたい。

 

「いいや、話しちゃえ! んひひー、ボクたちの指導者サマってヤツだよ! 道を教えてくれるんだーっ!」

 

「道ときたか。どんな道なんだ?」

 

「ひっひひひ、正しい道だよっ! 時を超えし者もわかるでしょ!?」

 

 まるでわからん。

 正しい道など、人それぞれだろうに。

 そもそも、正しい道がわかるというのは人生において損をしているのではなかろうか。

 オレの通ってきた道が正しいとは言えんが、数多あるものから選ぶからこそ、意味があると思う。

 

「ふむ、オレにはわからんな」

 

「えー? なんでわかんないのかなー? 間違いを起こさないでいいんだよ? ボクもそのおかげで本当の自分に気づいたんだっ!」

 

 実は洗脳をされているのではないかと少し疑ってはいたが、今の言葉を聞く限りどうやら違いそうだ。

 配信がしっかりとされていれば良いのだが、見えていたコメントを切った影響でどうなっているかはわからん。

 背後でダンホーが浮いていてくれることを祈ろう。

 

「ボクは元々って、ほら動かない! 今から良い話をするんだからさっ!」

 

 やはり、ダメか。

 今度は炎が雷が命中した場所とは真逆に落ち、またもや地面を抉る。

 魔法の才だけに飽き足らず複数属性まで操るとは、天才という言葉もあながち間違いではないのかもしれない。

 だが、幸いなことにオレの右手にはエイギスがある。魔法主体であるならば、事前に装備した鎧も粗方防御をしてくれるだろう。

 軽く撃って地面を抉る魔法の最大火力が飛んで来たら、完全に防ぎきれるかどうかはわからないところだ。

 

「そう、それでいいんだよっ! ボクって天才だからさ、元々話が合う人が全然いなくてね」

 

 姫野は語る。

 

「それで寂しいなー、つまんないなーって思ってたらさっ! ある日総主教サマに会ってね! 正しい道を教えてもらったんだ!」

 

 楽し気に。

 

「そこからヤーナクンに会って、趣味部屋をあちこちにたっくさん作ってもらってねっ!」

 

 心底愉快そうに。

 

「――今はたくさんの子供たちをいじれて、毎日がすごく楽しいんだよっ!」

 

 ここから見える彼女の顔は、どこか上気しているようにも見える。

 だが、手元の魔法陣にも、オレを見るその目にもどこにも油断はない。

 

 彼女はきっと、どこにでもいるような女だったのだろう。

 しかし、周囲の理解を得ることができず、垂らされた蜘蛛の糸が教団という悪意の糸であった。当時の彼女には選択肢がなく、縋るようにそれを辿ってしまったのかもしれない。

 同情の余地は、たしかにある。

 オレ個人としては、なにか運命なり、彼女の言う道が違っていれば今こうして相対していることはなかったのかと考えてしまう。

 

 それでも、今こうして明確に敵対している以上――。

 

「そうなのか。では、なぜオレにこうして話をしてくれるんだ?」

 

 ――どんな理由があろうが、敵に他ならない。

 

「あ、それ聞いちゃう? んっひひ……それはねぇ――」

 

 彼女の顔が、さらに歪む。

 口角は耳にまで届くのではないかというくらいに湾曲し、彼女自身の言っていた天才とは程遠いような下卑た笑い声と共に言葉が吐き出される。

 

「――キミを捕まえて、ボクの子供たちの一人にして可愛がるからだよぉぉぉおおお!!!!」

 

「――やはりこうなるかっ! マジックシールドッ!」

 

 対魔法にはもってこいのスキルを発動し、屈んだ姿勢を維持しながら彼女のほうへと突進する。

 盾に魔法が直撃しているが、この程度は問題ない。

 まだ本気を出していないのか、それともオレを捕まえるために加減しているのか定かではないが、それが命取りだということを教えてやろう。

 

 魔法使いなど、大抵は近づかれてしまえば脆い。

 よくローズもアリアも、他の魔法使いの仲間たちも苦慮していたものだ。

 この辺りに他の気配がしないことは確認済み――。

 

「おっと、さすがだねぇ! でも、天才ってのは対策を講じているものだよ! 助っ手クーンっ!」

 

 ガラスの割れる音と共に、急接近する敵意。

 位置は右。

 急停止で流れる体を無理やりに繋ぎ止めながら、エイギスでそれに対応する。

 

 鉄と鉄を殴りつけあった時のような不快な音が響き、手に衝撃が残る。

 受け流し損ねた。

 意識の範囲外からの攻撃ではあったが、やはりオレもまだまだらしい。

 

「どう!? ボクの可愛い可愛い助手クンナンバー四十一は!? 頑張って調整したんだよねぇ!」

 

「――ギ、ガガ……グギ……」

 

 盾越しに見れば、背丈はオレより少し上くらい。

 縫い付けられた目と、白い涎のようなものを垂らしている継ぎ接ぎのゴブリン種を思わせる顔。

 盾に打ち付けられているのは、蟷螂型の腕だろうか。そこかしこから黄緑色の液体が垂れているのを見るに、先程まで培養液に浸かっていたことがわかる。

 

「良い趣味をっ! しているなっ!」

 

 エイギスで押し返しながら、ウルティマを一閃する。胴体を両断するつもりであったが、表皮を裂くのみで回避をされたらしい。

 間髪入れずに放たれた雷を回避する。

 わざわざ全てを受けてやる必要などない。相手に前衛がいるのがわかった以上、無理に攻めたり受けたりすればこちらが不利になる。

 

「おおっ! すごいね、さすが時を超えし者だっ! データが取れないのが残念だよ」

 

 どうにかして隙を作り出せないだろうか。

 視線を移動させると、パネル類やらがあったデスクが丸々なくなっている。

 あの指鳴らしで共に移動させたのだろうとは予測できるが、そのような魔法は――『黒い扉』関連か。

 

 ここは逃げる算段ではなく、如何にしてこの場を切り抜けて姫野椿という女を無傷で確保することに思考を割くほうが良い、か。

 

「ほらほらっ! ボクと助手クンのモーコーにいつまで耐えれるかな!?」

 

 襲い来る魔法を避けながら、斬りかかってくる異形――人工キメラ種とでも呼べばいいのか馬鹿馬鹿しい――をいなす。

 まったく、病み上がりだというのに随分と激しい運動をさせるものだ。

 

 彼女は、幹部であろうヤーナと繋がっている。

 なにより、口ぶりからしてその上の情報も握っている。

 

 まずは前衛の無力化――否、排除から手をつけるべきか。

 今のように分断される分、思考を巡らせながらの戦闘はあまりしたくないのだがな。

 

「もー、さっきまでお話してくれてたのになんで黙るんだい? ほらほら、お話しよーよー!」

 

「ギアアッ!」

 

 こちらは貴様の放つ魔法と助手なる人工キメラ種の攻撃を捌くので手一杯だというのに、話をする余裕でもあると思っているのか。

 いや、思考を回しながら戦闘をしているだけ余裕はあるにはあるのだが。

 というか、そもそも攻撃を放ってきたのはお前の方からだろうが。

 まったく、これだから狂人というやつは始末に負えん。

 

「随分とっ! 楽し気だなっ!」

 

「ひゃはっ! 話す気になってくれた!? えー、うれしーっ!」

 

 人工キメラ種の両腕を使った同時振り下ろしをエイギスに角度をつけて地面へと逃がすと、敵味方諸共を燃やし尽くさんばかりの炎を飛び退くことで間一髪避ける。

 攻撃を受け流された彼、あるいは彼女は広がった炎の中心で丸焼けになりながらも、腕を引き抜こうとしている。

 

 こちらとしては好都合ではあるが、仮にも子供ではないのか。

 

「……味方諸共とはな」

 

「ひひっ、なに言ってるのー?」

 

 オレの呟きが聞こえたのか、姫野の嘲笑めいた声が届く。

 

 

 

「味方なんかじゃないよー?」

 

 

 

 その声はやはり下卑たもので、同時に――。

 

 

 

「――ボクの助手クンで、ボクの可愛い可愛い子供で――」

 

 

 

 ――ひどく、狂気に呑まれている。

 

 

 

「――ボクの役に立ってに死ぬのが一番なんだよー?」

 

 

 

 本当に、なんなのだイアヌス教団は。

 このような狂人の集まりなのか。

 理解が全く出来んし、したくもない。

 

「『展開』」

 

 エイギスを五つに分ける。

 あの竜種と戦った時、魔力操作の応用で指を介さなくても操れることがわかった。

 ならば、今回も同じようにすればよいだけだ。

 

 意識を一部エイギスの操作に回し、腕を引き抜いて炎に包まれながらもこちらに襲いかかろうとしている人工キメラ種を足止めする。

 竜種の時は不帰ノ遠征を使っていたから良いものの、これはこれでかなりの魔力を持っていかれる。なんせ、視線すら外しているのだ。人工キメラ種の位置も魔力での探知で補わなければいけない。

 魔力操作は人並み外れているが、内蔵魔力は人並み程度なのだぞオレは。

 

「わわっ! なにそれー! えっ、すごーいっ!」

 

「っ、お褒めに預かり光栄だなぁ!」

 

 姫野に肉薄しようと地面を蹴る。

 飛来する魔法はかする程度は致し方なしと、ギリギリで避ける。

 

「んもーっ! 助手クン使えないし、近づいてくるのやだなー!」

 

 避けきれない程の広範囲を薙ぎ払う火炎が襲い来る。

 恐らくオレを遠ざけるのが目的だろう。わざわざそんなことに乗ってやる必要性も感じない。

 ならば、己の鎧を信じて突っ切るのみ。

 

 護るべきものはいないが、オレは盾だ。

 

 決して倒れず突き進むのがオレの思う盾であるならば。

 

 竜種の熱線に比べればお遊び同然のこの程度、越えられない理由がない。

 炎の中で視界は最悪だが、耐えられない程ではやはりない。なけなしの残った魔力を全身に纏った上で、魔力防御に優れた鎧を身につけているのだ。

 

 炎の海の先には――。

 

「いひっ! やっぱりボクって天才だよねっ!」

 

 距離を取っているであろうと予測していた彼女が、炎と雷を合わせたような魔法の塊を浮かべて笑っていた。

 合成魔法か、使い手を見るのはローズ以来だな。

 

「面白いの見せてくれたから、ボクもお返しね! 死んでも使うから安心してねっ!」

 

 今日はツイてるのかツイてないのか、わからん日だ。

 貴重な複数属性持ちに、合成魔法の使い手に会うとは思わなんだよ。

 敵であり、病み上がりであることを考慮すれば、どちらかと言えばツイてない日か。

 

 エイギスは未だ人工キメラ種の対応で使っている。

 嫌になるな、本当に。

 

「――火雷の一矢っ! いひひひはははははっ!」

 

 両手で構えたウルティマを、上段から振り下ろす。

 どこまで斬り裂けるかわからないが、やってみる他ない。

 

「ぐぅ……ぬ……っ!」

 

 体が押され、足を踏ん張るも徐々に後退し始める。

 威力自体は思っていたよりも低いが、貫通力が想像以上だ。

 

「えっ!? 斬り裂いてるのっ!? 本当にすごいね、やっぱり、データ取っておけばよかった!」

 

 腹が立ってきたな。

 こちらは持てるものを振り絞っているというのに、なんだその余裕のある口調は。

 この際叩き斬って――いやダメだ。今はなによりも情報が必要なんだ。生け捕り以外を考えるな。

 

「ありゃっ、助手クン?」

 

 魔法を斬り裂く傍ら、人工キメラ種の両腕を叩き折って壁にめり込ませたエイギスを魔力操作で集めて目の前に展開する。

 

 これで貴様の合成魔法の貫通力も意味をなさなくなるぞ。

 

「あっちゃー、まだ調整不足だったかなぁ」

 

 まだ余裕があるのか。

 本当にそのままでいいのか?

 オレは、着実に近づいて――。

 

「まっ、いっか! あとでやろっ! えいやっ! ボクの魔力はまだまだあるもんねーだっ!」

 

 貫通力がさらに上がる。

 これだから魔法の才に恵まれたヤツは嫌になるんだ。

 ローズや他の仲間の魔法使いと模擬戦をした時もそうだが、盾で受けたらそのまま押し切ろうとしてくるヤツばかりだ。

 

 だが、だからこそ。

 悪いな、自称天才の狂人よ。

 生憎ではあるが、慣れているんだ。

 

 一歩、踏み込む。

 それと同時に、目の前に浮かせているひとつに纏めたエイギスを手に取って直接操作しやすいようにする。

 

 魔法、特に一直線に飛んでくるものであるならば、軸をズラしてやればいい。

 剣を受け流すのと大して差はない。

 

 盾を少しばかり傾け、横に流れるような角度を取る。

 そうすれば感じていた圧力は多少なくなり、前に進む速度が上がる。

 

 さあどうする、お前の首まですぐだぞ。

 

「むぐぐぐぐっ! 生意気! でも天才は二手先三手先の策を用意してるものだよっ! ボクの可愛い子供たちーっ!」

 

 熱線の中、さらにガラスを破る音と共に、複数の敵意を感じる。

 

「まだ完璧じゃないのに起こしてごめんねっ! でもボクの役に立てるからいいよねっ!!」

 

 合成魔法の波がなくなると同時、エイギスを右手で持ったのを後悔した。

 五体の人工キメラ種と思われる異形が、左右と背後からそれぞれオレを固定しようとする。

 なんとか抵抗しようとするも、全身を使ってオレの動きだけを阻害しようと力いっぱい組まれてしまう。

 

 まずいな、魔力もそれほど残っていないんだぞ。

 

「いひっひっ! これでよし! みんな良い子だねぇっ!」

 

 少し離れた位置で手を叩きながら嗤う女。

 その頭上には禍々しい魔法の塊。

 あれを放つつもりか。

 

「……オレを捕まえるんじゃなかったのか?」

 

「あはっ! やっと話してくれたっ! うん、そのつもりだったよ?」

 

 女のメガネが魔法を反射し、怪しく光っている。

 

「でも、生意気だし死体でもいいかなって思ったんだーっ!」

 

 「だから、殺すね?」、とどこまでも甘い声が響き。

 

 魔法が、放たれた。

 

 四方から、異形たちの絶命の叫びが轟く。

 

 全身が熱く、そして寒い。

 いったい何属性を組み合わせた合成魔法なのか、理解が及ばない。

 

 しかし。

 

 しかしだ。

 

 威力が随分と、優しいな?

 

「ぬぐぐ……う……っ!」

 

 耐えろ。

 とにかく耐えろ。

 

 耐えた先にこそ、勝機が見えるのだ。

 

 オレなら大丈夫だ。

 なんせ、この程度の魔法――。

 

 圧力が消え去り、その場に崩れ落ちる――フリをする。

 よかったな、オレは倒れたぞ。

 ここから、どうするんだ。

 

「はー、つっかれたー。んもー、ボク肉体労働苦手なのにさー」

 

 魔力探知を使われればすぐにバレてしまうだろう。

 しかしこの女ははじめ、この空間にオレの存在がいることに気が付かなった。

 なんせ、最初に気づいたのはヤーナのヤツだ。

 

 つまり、お前は――。

 

「……んー、息はしてるんだ。頑丈だねぇ、すご――」

 

 オレの近くに、しゃがんだな?

 

 瞬時に体を起こし、目を見開く女を組み伏せる。

 首に手を回し、そのまま締めていく。

 

「ぐっ……ぐひっ、いじぎ……あっだのね……っ」

 

「――悪いが」

 

 首に回した腕を掴んでいた女の手から、力が抜けていく。

 

「――あの程度の魔法、過去の仲間たちの技に比べれば可愛いものだ」

 

「……ほん、ど……ずご……っ」

 

 腕が落ちる女を、冷めた目で見つつその場に横たえる。

 

「ふぅ……なんとかなったか……」

 

 一息つき、耳元の機械の電源をつける。

 目の前にホログラムが表示され、配信が問題なく続いていたことが怒涛の速度で流れるコメントでわかる。

 

「ははっ、子供らよ。オレは勝ったぞ」

 

 そう画面に向かって呟けば、心配しただの、無理をするなだの、優しい言葉が次々と流れていく。

 さて、この姫野とかいう狂人を運んで拘束する算段を立てなくてはな。

 

「誠一郎、配信を見ているだろうか。外では騒ぎになっているだろうが、見ているなら――」

 

「――呼ばれて飛び出て誠一郎よ。旦那――」

 

 踊り場の上から扉の開く音と、複数の足音。

 顔を上げれば、そこには――。

 

「――たく、まーた無茶しやがって」

 

「誠一郎、そして皆も」

 

 ――最近見慣れていたスーツ姿ではなく、共に『NY・第八扉』を攻略していた際のものに似ている装備を身につけた誠一郎と、清吾をはじめとした『Snow』の精鋭部隊。

 そして――。

 

「田中次郎殿だな。お初にお目にかかる」

 

「ふむ……?」

 

 戦国時代の武士のような鎧を身につけ、腰に刀を佩いた男。

 

「葛城昌也と申す。此度は救援が遅れ、誠に申し訳なし」

 

「旦那の配信を見て諸々ほっぽり出して急いで来たってのに、到着したら終わってるんだ。頼むから自重して欲しいんだがね」

 

 頭を下げる武士姿の男と、誠一郎の指示を受けて四方に散らばる者たち。

 

 さて、オレはどう反応すれば良いのだろうか。




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