ダンジョンから帰ったら五十年経ってたんだが。~え?昔の仲間が今や大手ギルドの代表?なにそれ知らん……こわ……~ 作:蝉時雨
――斬る。
ただ、目の前の群れる継ぎ接ぎだらけのキメラを。
一体は、首を付け根から断ち斬る。
一体は、袈裟懸けの要領で真っ二つに。
一体は、返す刃で上半身と下半身を泣き別れさせる。
統率しているものでもいるのかと思っていたが、中央正面以外は烏合の衆のようなもの。
己が望んでいた戦闘というよりかは、ただただ作業を繰り返しているような気持ちになる。
「……なんだ、もう少しばかりの歯ごたえを期待していたのだが」
己の魔力を吸い、青く光り輝く刀――北海道の山奥にある『扉』を踏破した際の戦利品だ――を無心で振るう。
最悪なにかの修行に繋がるかとも考えるが、このような雑魚をいくら斬り捨てたところで雀の涙にすらならない。
強いてあげるなら、己の型稽古とでも思えば良いのだろうか。
キメラの集団の中に飛び込んでから、ずっとそのことばかりを考えている。
耳に飛び込んでくるのは、キメラどもの言葉とも取れぬ様々な叫び声、あるいは鳴き声、断末魔と、己の刀が空気と肉を切り裂く音。
刀を振るう才能しかない己ではあるが、ある意味では音楽を奏でているのかもしれない。
「そうだな。普通に戦うのも飽きてきた頃合い、少々普段とは異なることをするのも一興か」
キメラ――恐らくはオーク種の上半身と蜘蛛種の下半身を合わせたであろうモンスター――を斬った刀を拭きつつ、鞘に仕舞いこむ。
そのままアリア殿を守る炎の手前に飛び退きながら、体の重心を下げ、いわば抜刀術のような構えを取る。
「刮目せよ、といったところでござるな」
刀にさらに魔力を流し、普通であれば暴れるであろうものを鞘の中で押しとどめる。
下げた左足に体重を預けながら、これから斬る先を見据える。
「――フッ!」
流れるように、鞘を引きながら刀を抜刀する。
それと同時に、全身に魔力による強化を行いつつ刀に宿した魔力を剣圧と共に解放する。
横一文字に解放された剣圧と魔力が、物理的な鎌となって正面にいたキメラたちを薙ぎ倒していく。
一部のキメラは他より知能があるのか飛んで避けていたが、大部分は今の一撃で持って行けたようだ。
「ふぅむ、つまらん」
やはり防衛とは言ったものの、歯ごたえがないのは心が躍らない。
もちろん、安全に越したことはないが、もう少しばかり強くてもよかったのではないだろうか。
師の手伝いで何度か教団とやらの拠点を潰して回ったこともあったが、ここまで弱い連中ではなかったはずだ。
「主要戦力が雑兵のキメラしかいない、とも考えられるのやもしれぬか」
疎らに残った数体のキメラ――遠隔タイプは先程の斬撃に巻き込めたようだ――を眺めつつ、どうしたものかと考える。
ここから剣圧を飛ばして斬り捨てるも良し、はたまた直接斬り結ぶも良し。
多少なりとも己の成長につなげるならば――。
「……む?」
キメラどもの奥、壁際にいくつもの『黒い扉』が現れる。
「――『扉』は開かれり。我らがイアヌス、導きの神よ」
そこから合唱をしながら現れたのは、ふたつの扉に挟まれた人の姿を象ったシンボルを、赤い糸で縫い付けた白い頭巾の集団。
「異端者に鉄槌を。迷いし者には正しき導きを」
「ふむ。狂信者ども、教団の私兵といった様子」
ここに出てきたということは、他の箇所でも投入されていることだろう。
奴らを手短に始末して、加勢に行くが先決か。この空間の出入口側――炎の壁を中心にして南側を守るコア嬢はSSランクといえど、経験値としては未だ未熟とジェイ殿が話していたのを思い出す。
しかし、なんだ。
「『扉』の先にこそ救済あり。受容せよ、享受せよ。我らがイアヌスこそ至高の導き手なり」
「――ちょうど、人型との戦闘経験に飢えていたところだ」
ゴブリン種やオーク種、アンデッド種含め、『扉』の先に人型のモンスターも確かにいる。
しかし、どれもこれも意志を持っているようで、なにかに操られているのか一定の行動しかしないのだ。
『扉』最奥のボスや、特別禁忌のような異例はあるが、意志持つ人との戦闘は実がある。
たとえそれが、狂信者とはいえど、な。
「我ら導かれ、最果ての救済へと至らん。異端者よ、加護なき敗北者よ。汝が道の先に最果てはないと知れ」
「……むっ!?」
巨大な氷の塊――魔法が、集団から放たれた。
見える範囲でも数人が手をかざしていたのもあり、複数人で魔力を併せたのだろうと考えられる。
魔力の起こりなど――そもそも、奴らから魔力を感じられなかったというのに。
「――わからないことばかりであるが、拙者に対して氷の魔法で本当によかったのか?」
大方、回避させた上で背後の炎を冷やそうとでも考えたのだろうが、あまりにも嘗めている。
刀を正眼に構える。
向かってくる氷を見据え、ゆっくりと振り上げてから、同じ要領で振り下ろす。
瞬間。
氷に幾筋も線と罅が入り、粉々に砕け散りながら散逸していく。
「――実体のある魔法ほど、容易く斬れる」
水であったなら話は変わるが、ローズ殿が構築した炎であれば問題はなかっただろう。
このまま好き勝手に魔法を連射される前に、制圧あるのみ。
幾許か前から、規則正しく中央の炎から響く鉄を切ったかのような音。
作戦は順調、ならばこちらはこちらの役割を全うする。
平時であるならば対話をするのが常であろうが、不法侵入に誘拐未遂――いや、姫野嬢を誘拐したのはこちら、どうでもいいか――狂信者を生み出す洗脳にモンスターの改造。
他にも挙げればキリがないだろうが、見える範囲だけでもこれだ。
なにより――。
「――拙者が心から尊敬する師と、それに連なるお方々に手を出したのだ」
俺は――拙者は難しいことがわからん。
難しい話はそういったことが得意な者たちに任せてきた。
なにより、困った時は大抵顔を歪ませた師――誠一郎殿が、無所属の己のために骨を折ってくれていた。
教団の者らの宣うことなぞ知ったことでは無いし、心底どうでもいい。
これが私刑になるのすら、今の己にはどうでもいい。
考えるべきことでも、思考に置いておくような事でもない。
雑魚をいくら狩ったところで、なにかの足しになるわけでもない。
己に唯一、わかることは――。
己をここまで育ててくれた大恩がある。
『Snow』から脱退した不義を、笑って赦して頂いた大恩がある。
今も変わらず――小言は言われるが――目をかけて頂いている大恩がある。
故に。
これがどれ程の恩返しとなるかは、わからない。
――ただただ役割を全うし、奴らの首を挙げる。
ただ、それだけだ。
そのお釣りとして、己に戦闘という名の経験が蓄積するなら、これ以上望むことなぞないだろう。
「征く――」
背後で轟音と、シュウッとなにかが溶ける音がした。
頭と視線を動かす。
「――抜かれた、か」
己の箇所ではなく、南側。
そこから広がる白い蒸気が、今いる東側からでもわかる。
コア嬢の身になにかがあったか、はたまた先程の魔力の起こりがない魔法の奇襲を受けたか。
どちらにせよ、救援に向かうほかないだろう。
「すまぬが、時間が無いようだ」
一息で集団に取り付き、前面にいた数人を残ったキメラと共に斬り捨てる。
問いただしたいことは多々あるが、それは終わった後に生きている者を尋問でもすればいいだろう。
――さて、未だ私兵を吐き出すあの『黒い扉』は斬れるだろうか。
■■■
「くそっ! くそっ!」
じじ様から任せられて、慢心していた。
キメラ達が想定より弱くて、油断していた。
なにより、この程度の教団の戦力に負けるわけがないと、高を括っていた。
なにが史上最年少の最高ランクだ。
なにがアメリカの未来だ。
なにがクロフォード家の麒麟児だ。
魔力の起こりを感じなかっただけで、足をすくわれるなんて。
父様の、じじ様の顔に泥を塗ってしまった。
アリア様を守る炎に、手を出させてしまった。
「あたしは――くそっ!」
次から次へと襲いかかってくる気持ちの悪いキメラを、両手に握る魔力を纏わせた短剣で細切れにしていく。
あんなに弱いと感じていたキメラが――最短距離を塞ぐ障害物でしかない奴らが、どこまでも鬱陶しい。
今はとにかく、魔法を放った連中を無力化しないといけない。
次また同じ魔法を放たれて、それを止められなければ――。
「――あぁ……」
自身の上を、氷が通っていく。
聞こえてくるのは、氷が溶ける音。
また、あたしは――。
「――ああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!! 一騎駆けえええぇぇぇぇぇぇ!!!」
スキルも使って、行く先を邪魔するキメラをその推進力で突破していく。
数えるのも億劫になるほどのキメラの先に、白いフードの一団が目に入る。
「貴様らあああぁぁぁぁ!」
「哀れな迷い子よ、己が無力を思い知るがいい」
「だまれえええぇぇぇぇえええ!」
再度氷の魔法を展開しようとしている連中に、正面から突っ込もうとした瞬間だった。
「なっ、右――!?」
衝撃、そこから訪れる焼け付くような痛みと浮遊感。
微かに見えたのは、燃え盛る炎の魔法。
「――ぐぅ!?」
吹き飛ばされた先で、脇腹をキメラの持つ刃が背後から貫いてくる。
無理やりに振り向いて首を断ったが、脇腹からは熱を伴った痛みと、被弾したであろう右半身も悲鳴を上げている。
ここの守りを上層に残った兄弟、従兄弟たちじゃなくて、あたしを指名してくれたのに。
みんなに背中を叩かれて、コアなら安心だって言ってもらえたのに。
なんだ、このザマは。
油断して、焦って、不意打ちを受けて。
結果、見てみろ。
氷が――。
三度、氷の溶ける音。
「――なめるなぁ!!」
周囲に群がってきたキメラを、回転しながら細切れにする。
あたしが任されたんだ。
あたしに、託してくれたんだ。
じじ様が、ばば様が、父様が、兄弟従兄弟たちが。
母様は心配していたけど、最後は一緒に背中を押してくれたんだ。
この程度の痛みが、傷が、なんだと言うんだ。
コーデリア・クロフォードは――クロフォード家に連なる戦士が、この程度で倒れてどうするというのだ。
そうだ、あたしは栄えあるクロフォード家に生まれたんだ。
偉大なじじ様とばば様が築き、数多の探索者の頂点に位置する、アメリカという大国を支える一家なんだ。
じじ様もばば様も、クロフォードの名なんてデカイものじゃないとよく笑う。
でもあたしも家族も、その家名に誇りを持っている。
『扉』が出現した黎明期から、常に最前線で戦い続けた戦士であるおふたり。
世界各地に渡って『扉』を閉じてきたおふたり。
アメリカという国に、モンスター蔓延る世界に、貢献し続けてきたおふたり。
好きでやってきたことだと、おふたりは笑うけれど。
散っていった命がいくつもあると、おふたりは語るけれど。
出来ることなら、探索者とは縁遠い所で暮らして欲しかったと、おふたりは望まれたけれど。
その背中を、あたしは――あたしたちは憧憬を、敬愛を――渇望を持って見上げているのだ。
彼らの直系の孫――その名を、背中を受け継ぐ人間なんだ。
クロフォードの家に生まれたあたしは、それに相応しい自分で――戦士であらないといけない。
「この程度で! あたしを――コーデリア・クロフォードを!! 殺ったと思うなあ!!」
その誇りに、応え続けなければならない。
その誇りに、魂を刻まなければならない。
その誇りを、越えていかなければならない。
短剣――じじ様に連れられて行った『扉』の先で貰った宝物――にありったけの魔力を纏わせる。
じじ様、ばば様が胸を張っていられるように。
父様、母様に誇らしいと頷いてもらえるように。
この先、自分に連なるであろう血族に――。
「旋風螺旋っ!!!」
――笑って託せる、己であるために。
キメラを片しながら助走をつけ、思いっきり飛び上がると同時にスキルを発動して体を捻じる。
視界がぐるぐると回転し、敵の塊ごと穴を開けるように貫いていく。
さながらドリルのようにすべてを巻き込みながら突き進み、再度白フードの集団の上部。
そこに四度展開された、氷の魔法へと向かう。
「――愚かな」
「四回目が、あると思うなぁ!!!」
氷を削る音と、風を切る音のみが聞こえる。
今のあたしの姿を見て、兄弟たちは、従兄弟たちは、父様に母様、じじ様、ばば様はどう思ってくれるだろうか。
さすがはクロフォードの娘だと、自慢の孫だと、褒めてくださるだろうか。
それとも、まだまだ精進が足りないと怒られるだろうか。
どちらでも、構わない。
あたしは、あたしに任されたことを。
失敗は、したけど。
最後まで、全うするだけだ。
「――あああぁぁぁぁぁああ!! つらぬけえええぇぇぇぇ!!!」
ナニカが砕ける音。
次いで訪れるのは、微かな浮遊感。
「……ぁぐうっ!?」
そして、硬いものに衝突した衝撃。
どこか霞む視界を動かせば、すぐ近くに炎の壁が見える。
どうやら、かなりの距離を吹き飛ばされたらしい。
「……ま、だ……あた、し……は……っ!」
氷が割れたかどうか、わからない。
音はしたが、あれは短剣が砕けた音かもしれない。
握っていた短剣は、手の中にないのだ。
うつ伏せになってしまって、痛みと寒さで震える体を腕と足を支えにしながら起こそうとする。
しかし、こちらも震えているのか言うことを聞いてくれない。
「まかさ……れ、たの、に……! うご、いて……っ!」
頭を動かせば、まだ残ったキメラの大群と、小さな氷の塊が見える。
どうやら、完全には砕けなかったらしい氷。
いや、砕いた上で、五度目を放とうとしているのだろうか。
立ち上がって、再度砕かなければ。
これ以上、炎の壁にあの氷を放たせるわけにはいかない。
視界の端に、短剣が見える。
あれを拾って、もう、一度――。
「――大事な孫娘に何してくれてんだゴラァ!!!」
目の前をキメラごと横切る衝撃波と共に、二本の大剣を持った人影が現れる。
「おう、コア! よぉく頑張ったな!」
「――じ、じ……さま……あたし、は……っ!」
「まだ戦えるとか言うなよ? 大丈夫だ、鉄の音は鳴り続けてる」
横向きに抱き上げられ、さらに炎に近い場所に移動させられる。
あたしのせいで、正面――北側で戦っていたはずのじじ様の手を煩わせてしまった。
やっぱり、はやく立ち上がらないと――。
「――スティィィィィィィィブッ!!!」
「――円環ノ碧壁!!」
あたしを横たえたじじ様が離れながら、父様の名前を叫ぶと目の前――炎の壁の先に、もうひとつ青く透き通った壁が現れた。
「そこで大人しくしてな。あとでアリアに癒してもらわねえとな。説教はそのあとだ」
あたしが最後に見たのは、満面の笑みを浮かべたじじ様だった。
■■■
「――さぁて」
右手に握った大剣で、左から右へとひと薙ぎする。
そうすれば、俺の魔力を無作為に吸い続けるユニーク武器――アグリアの剣――が呼応する。
刀身が繋がりながらも分かれ、いうなれば蛇腹剣のように蓄えた魔力でもって暴れ狂う。
己の得物で対抗しようとしたキメラもいたが、そのものごと真っ二つに断ち切られていた。
俺のユニーク武器は、魔力で繋がっている部分もよく斬れるのだ。
あまり、甘く見てもらっちゃ困る。
これで前線に残っていたキメラの大半は――。
「ん?」
俺の剣が暴れる中を、横から巨大な魔力と剣圧が載った斬撃が通り過ぎていく。
「――ひと足遅かったでござるか」
「おうマサか! そっちはよかったのか?」
鎧の大部分を様々な色の液体で染め上げた男――誠一郎の弟子であり、日本で最強の戦闘力を有する男が歩み寄ってくる。
「残念ながらあの『黒い扉』は斬れなんだ」
「おいおい、バカやってんじゃねえよ」
魔法は斬れないもの、その程度誰でもわかる。
実体のある氷などは別であるが――。
「いや待てよ? たしかに実体あるな、あの『黒い扉』」
「うむ。しかし、斬れなんだ。未だ精進が足らぬ証拠であった」
「いいねぇ、修行なら俺らも付き合うぜ。よけりゃ俺の孫娘も付き合わせてやってくれ」
「願ってもないこと。見るに――コア嬢は無事な様子で安心した」
振り返りつつ、背後のコアを見れば、血を流してはいるものの眠っている様子だ。
生憎と手持ちにポーションがなかったのが災いして、傷を癒してやることが出来なかったのが心残りだ。
あとで家族にしこたま怒られそうだが、俺の失態だから仕方ない。
「作戦も順調のようで、アリア殿にお会いするのが楽しみでござる」
「おう、みたいだな。にしても、お前うちの孫娘の勇姿見たか?」
戦場には常に鉄を切ったかのような規則正しい音が響き続けている。
その中マサに問いかければ、力強い頷きが返ってきた。
「将来が実に楽しみな――」
「ジジイとしては肝が冷えたんだが、良ーい娘だぜほんと! 嫁にゃやらんぞ!? まだ十六なんだからな!?」
「……なにも言ってござらん」
本当に、よく育った。
スティーブの教育の賜物だが、コアには――スティーブを筆頭に、子供らには平穏な生活を送って欲しかったのが本心だ。
こんな血と汗が漂う狂った場所に、足を踏み入れて欲しくはなかった。
だが、なにの因果か産まれてくる子らは皆探索者になりやがる。
俺たちの親心をちっとも理解せず、我先にと走り始めやがる。
だからこそ、そんな子らが少しでも長生きできるような場所を――安心できる場所を、作ってやらなきゃならない。
「さて」
「うむ」
飛来する氷の魔法を左手の大剣から衝撃波を飛ばして砕く。
奴らは馬鹿の一つ覚えのようにこれしかできないのだろうか。
「東側の『黒い扉』は消滅、拙者は西側へと遊撃に行こう」
「おう、頼むわ。スティーブはスキル使って動けねえからよ」
「承知。北は――」
「そっちはイチローがいる。対多なら、あいつひとりで十分よ」
駆けていくマサの背中を見つつ、若いってのはいいものだなと思う。
俺も昔は同じように走り回っていた。
今も出来るが、如何せん疲れが溜まってしまうようになった。
魔力で補強はできるとはいえ、歳はとりたくないものだな。
なあ、ジロー。
お前はアリアと一緒に、ゆっくり走れよ。
どっちにしろ、俺もローズもイチローも、先に逝っちまう。
向こうで先にどんちゃん騒ぎしているであろう、アイツらと俺らも先に楽しんでるだろうからよ。
お前らは、ゆっくりと今を楽しんでよ。
それに飽きたら、向こう側に行くんだぞ。
これでもかと、面白おかしい土産話を持ってな。
「異端者よ――」
「――うるせぇなぁ」
左手に握る大剣に魔力を通す。
こっちのは俺の言うことをよく聞く、良い子だ。
「こっちは機嫌が悪いんだよ。お礼参りしてやるから覚悟しな」
ユニーク武器、イグワイアの剣――魔力を通すことで、重量はそのままに巨大化するもの。
右のアグリアで掃討し、左のイグワイアでとどめを刺す。
俺の孫娘を可愛がってくれた礼だ。
存分に、味わっていきな。
コアとジローとアリアが生きる未来に。
お前らがいっちばん邪魔なんだよ。
感想、評価、お気に入りなど痛み入ります。
非常にモチベーションにつながっております。
次回更新は、8/9を予定しております。