◾︎レジェンダリア首都アムニール
「ここがレジェンダリアか……。なかなか自然豊かな場所じゃねえか。」
見上げると天を覆い尽くす程巨大な世界樹があり、目の前にはエルフや獣人など様々なティアンで一杯だ。
「さて、まずは何したらいいんだ?エンブリオが産まれるのを待つか。
それともジョブとやらに就いてみるか?ジョブも多すぎて何に就けばいいんだか。とりあえず散策するか。」
気がむくままにぶらぶら歩いてみることにした。このゲームは本当にリアルだ。まるで道を歩いているティアンが生きているみたいだ。
「ほんとにゲームなのか?気味が悪いな。」
リアルすぎるゲームも考えものかもしれん。少々歩いていると色んな露店がある。武器防具やアイテム、ひいては家具やご飯、モンスターなども売っている。
「欲しいものはあるが金がねえな。ぱっぱと金策したいものだがまずはジョブにつくか。近接の戦闘職はめんどくせえし魔法職にでもつこうかな。」
ジョブを決める理由が怠惰な辺りホントに救いようがねえがまあ通常運転だ。
調べてみたところ【魔術師】という下級職が初心者にはオススメらしい。
「まさかリアルよりもゲームで先に職業に就くとはなー。」
無事【魔術師】につけた。いちよ片手剣もあるし。狩りに行くか。回復アイテムとかないがまあいいだろう。慎重に立ち回れば大丈夫なはずだ。
◾︎レジェンダリア南の森 ザランの森
「はぁはぁ……やべぇおもしれぇ…。」
さっそく魔法を使いゴブリンを倒した。日々の生活で体験できない迫力感のある戦闘は俺の鼓動を速くした。魔法というものも楽でいい。
だがレベルが低いせいでMPが足りずファイアボールは連発できない為、今は休憩中だ。
「あー近接戦闘がダルいと思ったけど。MPを回復するのを待つのもダルいな。どうしたもんか。」
「とりあえず片手剣で狩りをするか。」
そこから数時間狩りを繰り返しレベルが13になった。MPもだいぶあがり狩りの効率が段違いだ。
調子に乗ったんだろう。かなり森の奥深くまで来てしまった。
「やべ、さすがに深く潜りすぎたか?」
辺り1面真っ暗で空気が何となく重い気がする。その時奥からデカイ影がヌルッと見えた。
「ん?なんだ今の熊か?」
すると木の奥から馬鹿みたいにでかい紅い熊がでてきた。
「なんじゃこりゃ!これ絶対ヤバいやつだろ!」
体感2m50はありそうな全身真っ赤の熊が涎を垂らしながらこっちを見ていた。
「これは死んだかもな……。死んだフリでもするか?でも涎垂らしながらこっち見てるしな。
左後ろの奥に沼地があるし沼にわんちゃん掛けて飛び込むか」
おれは素早く振り向きダッシュして沼に飛び込んだ。ギリギリ間に合うかどうか分からんがそれは神のみぞ知るだろう。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
間一髪沼地にジャンピングアウェイに成功した。水は汚く濁っていたが熊はあまり泳ぐのが得意ではないのか沼地には入ってこなかった。
「あっぶねぇ!!!クソ熊がざまあみろ!」
おれは悪態をつき熊から逃げるように反対岸に泳ぐ。
そして気づいたら周りに白い霧がモクモクとでてきて俺を包んできた。
気づいたらさっきとは違う森にいた。
「何処だよここ……」
外はかなりの雨がざあざあと降っているため、周りを見渡しとりあえず近場の洞窟に入ることにした。
地面に寝転び溜息を吐く。
「もう嫌だ。疲れた。ここどこだよ。熊にも襲われるしどうなってんだよ……。ここに一生住もうかな。結局引きこもるのが1番正解な気がしてきた」
疲れからかすぐ眠りについた。朝起きると外は雨が止んでおり虫が鳴いている。
「ふう。雨が止んだか。だけど帰るのクソめんどくせえな。どうしたもんか……。ん?」
ふと左手の甲をみるとエンブリオが孵化していた。
「《迷宮地核 クノッソス》?なんだこりゃ」
紋章から取り出してみると光を放った玉がフヨフヨと浮かんでいる。
メニューで見てると
【迷宮地核 クノッソス】
TYPE:キャッスル・テリトリー
到達形態:I
能力特性:迷宮創造
ステータス補正:ALLG
スキル
《迷宮置換》
クノッソスを設置した地点を中心に、周囲空間を50メテル迷宮領域へ置換する。
《迷宮創造》
クノッソス内のリソースを徴収し、DPにする。DPを消費して迷宮を拡張できる。アイテム、モンスターも範囲対象。
「ダンジョンを創れるエンブリオか?これは。めちゃくちゃ面白そうじゃねえか。ステータス補正はねえが戦闘するのはたまにでいいし最高かもなこのエンブリオ。」
「せっかくなら世界最強のダンジョンでも作ってやるか!よろしくなクノッソス!」
俺の声に反応してクノッソスが光輝いた。
引きこもりながら世界最強を目指す。それでいいじゃねえか。
俺こそが世界最強の引きこもりになるんだ!