《ヘリオス》中央部が赤黒く発光。
戦場全域へ衝撃波のようなサイコミュ波が放たれた。
「ぐっ……!」
スタークジェガン・ライズが激しく振動する。
警告表示。
サイコフレーム強制共鳴。
シンラの脳へ、無数の感情が流れ込む。
恐怖。
絶望。
怒号。
悲鳴。
敵味方の区別なく、人々の感情が直接脳を焼いていく。
「くそっ……!」
周囲ではサイコミュ搭載機が暴走を始めていた。
味方同士で撃ち合うMS。
錯乱するパイロット。
宇宙が混沌へ飲み込まれていく。
アムロが叫ぶ。
『シンラ! 一度下がれ!』
だが、その時だった。
シンラは別の“光”を感じる。
暖かい光。
優しく包み込むような感応波。
そしてもう一つ。
荒々しく、それでいて真っ直ぐな獣のような光。
「この反応……!」
遥か彼方から二機のモビルスーツが接近してくる。
純白の機体。
虹色に発光するサイコフレーム。
そして漆黒の機体。
黄金の光を宿す獅子。
通信回線が開く。
『聞こえますか、シンラさん!』
若い男の声。
『そのサイコミュ波、俺たちも感じています!』
シンラの瞳が揺れる。
「まさか……!」
次の瞬間。
純白のモビルスーツが戦場へ降り立つ。
ユニコーンガンダム。
虹色のサイコフレームが空間を照らし、周囲の暴走ビット群を停止させる。
その隣では、黒き獅子が咆哮を上げていた。
バンシィ。
高出力スラスターを噴射しながら敵陣へ突撃。
アームド・アーマーVNが敵機を引き裂く。
通信モニターへ二人の顔が映る。
バナージ・リンクス。
そして――
リディ・マーセナス。
リディがニヤリと笑う。
『まったく……また厄介事かよ』
『お前らニュータイプってのは、どうして毎回世界規模なんだ?』
バナージが苦笑する。
『リディさんも来てるじゃないですか』
『放っておけるかよ』
そう言いながら、バンシィが敵MSを蹴り飛ばす。
一方、ユニコーンは静かにサイコフィールドを展開。
暴走していた連邦機の動きが徐々に安定していく。
シンラは驚愕した。
「感応波を……抑えてるのか?」
バナージが答える。
『完全には無理です』
『でも、このままじゃ皆の心が壊される』
その言葉を聞いた瞬間。
シンラは改めて理解する。
《ヘリオス》は兵器ではない。
人の心そのものを戦場へ変える装置だ。
アムロが静かに言う。
『だから止める』
『人の意思は、誰かに支配されるためのものじゃない』
その時。
ヘリオス周囲のハッチが開放される。
内部から大量の無人兵器が出現した。
黒い機械群。
サイコミュ制御型ドローン兵器《ゴーストビット》。
数百。
いや、数千。
暗礁宙域を埋め尽くす。
リディが舌打ちする。
『冗談だろ……!』
アムロの瞳が鋭くなる。
『来るぞ!』
次の瞬間。
無数のゴーストビットが一斉突撃を開始した。
戦場は、新たな混沌へ飲み込まれていく――。