2週目の2回目は、弟と行って奏ちゃんと緑輝ちゃん。
中々、みぞれちゃんと麗奈には会えない我らです……
「久美子ってさあ、トロンボーンの塚本と付き合ってんの?」
季節は6月に入り、夏に向けて熱くなりつつも、梅雨の季節もあってか気温はそこまで上がり切らない中途半端は季節、昼食時、葉月ちゃんから発せられた言葉に、僕と久美子は呆気に取られた。
「付き合ってる?塚本?って、秀一のこと?」
「そう」
「どうなんですか?」
「久美子、秀一と付き合ってんの?」
僕もそんな話を聞いてないので、葉月ちゃん、緑ちゃんに混ざって久美子をつい詰める。
「いや、付き合ってないけど」
久美子から返ってきた言葉は、分かっていたけどそういう答えだった。
まず、付き合ったんなら秀一から一言くらいは来る筈だし
「本当に?」
「うん」
「よかったー」
久美子の言葉に、ホッとする緑ちゃん。
「というか、なんで久美子と秀一が付き合ってるって話になってるの?」
「そう、なんでそんな話になってるの?」
「いや、ほら、二人ちょくちょく一緒に帰ってるみたいだったからさ」
葉月ちゃんの言葉に、僕は「あー」と返す。
「みどり安心しました。葉月ちゃん、行きましょう」
「待ってよ。だから昨日も言ったけど私、別に塚本が好きとかいうんじゃなくて」
なるほど、そういう訳か。
「葉月ちゃん、秀一の事が好きだったりとか?」
「えっ!?秀一を!?葉月ちゃんが!?」
久美子は、驚きのあまり大声を出し、葉月ちゃんに咎められる。
「そういえば、縣祭り近いし、誘ったら?秀一なら断らないと思うしさ」
あがた祭りと言うのは毎年6月5日に行なわれるお祭りの事。
この時期になると、みんながみんなソワソワし始める。
「そうですよ、葉月ちゃんは、一緒に行きたいなーなんて思ってたりしてませんか?」
「まーちょっとはね」
「恋ですよっ!」
「うん、恋だね」
「なんでそんなに積極的なんだよー」
「それはもちろん、全ての音楽は恋から始まるからです。愛と死は音楽にとって永遠のテーマ。全ての曲はそのためにあると言っても過言では無いのですよ?葉月ちゃん!」
僕が言うのもなんだけど、緑ちゃんはなんでそこまで積極的なんだろうか。
友達の恋は最後まで応援したいとかそんな感じなんだろうか。
「なんか論点が微妙にずれてない?」
「さあ、行きましょー」
「わ~ッ 待って待って! 考えるから! 少し考えるから!…みどり~」
緑ちゃんによって、連行されていく葉月ちゃん。
誘うだけだから、多分大丈夫…の筈。
「浩輔は、梓ちゃんと行くの?」
「ううん、梓から何も連絡無いし、今年は家でゆったりとしようかなって」
「去年もそう言って、結局祭りに行ってなかった?」
「あれは、梓が急にやってきて無理やり連れだしたからなぁ…」
練習が終わって、家に帰ってゆっくりとしていた時に、梓がやってきたのを思い出す。
ま、楽しかったから良かったんだけどさ
「梓ちゃん、忙しそうだし、今年は大丈夫なんじゃない」
「そう思ってるよ僕は。でもあの祭りの雰囲気は好きなんだよな…大吉山の展望台にでも行って夜景でも見ようかな」
「夜に山道歩くの危ないよ」
「知ってる」
「でも、誰かが誘ってくれたら行こうかな」
「いいんじゃない」
なんて会話をしたその日の放課後。
「工藤君、良かったらなんだけど、縣祭り一緒に行かない?」
高野さんからお誘いを受けてしまった。
特に断る理由はないし、どうしようかと思っていると植田さんまで混ざってきて
「私も行く行くー!」
なんか断りにくい雰囲気になってきたな。
因みになんだけど、鳥塚先輩と島先輩は既に約束をしており、先輩達で回るつもりらしい。
「高久さんと松嶋さんもどう?」
高野さんは、同じクラリネットの一年生の二人にも声を掛けた。
「私はいいかな…」
「うん、私は加瀬先輩と行くから」
二人はそう言って、高野さんのお誘いを断った。
「誘ってくれて嬉しいんだけど…僕もいいかな。ごめんね」
「ううん、気にしないで」
高野さんと植田さんには申し訳ないけど、ここは断る事にした。
やっぱり、家でゆっくりとしたかった。
そして、縣祭りの日がやってきた。
「もう一度言っておくぞ。祭りといえども高校生らしく楽しむこと。わかったな」
松本先生からしつこい注意が飛んできて、
「では、本日の練習はこれまでにします」
『ありがとうございました』
今日の練習は早く終わりを告げた。
部員達は、あっという間に帰っていく。
僕は、家に帰って私服に着替えて、大吉山に向かっていた。
「あれ?工藤君じゃん」
「牧さんと吉沢さん、祭りに向かってるの?」
「そう」
サックスパートの牧さんとトランペットの吉沢さんと会った。
部員達と会わないように回ってたんだけど、二人はこっちだったか
「工藤君、この辺りだったんだね」
「うん、すぐそこ家だから」
「そっか、工藤君は一人?」
「うん」
なんか気まずい…二人とは接点がないので、話す事がないんだけどな
「そうだ!工藤君、暇だよね」
「随分と決めつけた言い方…」
「良かったら、私たちと回らない?」
「へっ?」
「私、実は工藤君の事が気になってて…ほら、高坂さんがよく話してるから」
「あーなるほど」
同じ楽器パートなら、そういう話題も上がるか。
でも、良い事を話してくれてると嬉しいけどね。
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結局、牧さんと吉沢さんと回る事になり、屋台を一通り回って、神社の近くで一休み。
吉沢さんに気になっていた事を聞く。
「そういえばさ、麗奈、パートではどんな感じ?」
「うーん、高坂さん。いつも一人で練習してる」
「流石…麗奈」
「何々、工藤君って高坂さんの事、名前呼びなの!?もしかして、そういう関係なの!?」
「牧さん…違うからね?両親が仲良くて、知り合いなだけだからね」
期待して貰っておいてなんだが、そういう関係ではない。
「そうだ、工藤君」
「ん?」
「ここで会ったのも、何かの縁だしさ。下の名前で呼び合おうよ」
牧さんがいきなり、そんな事を言ってきた。
「へっ?まともに話したの今日が初めてだよ?」
「うん、知ってる。部長がさ工藤君の事、話してたからさ。私も気になってたのは本当」
「あー晴香先輩か」
「そう、だから、おちかくのしるしさ。ね?」
「そうは言っても、なんて読んだらいいの?」
二人にそう聞くと、とりあえずさん呼びは辞めてという所から始まり、最終的には_ちゃん付けで許してもらえた。
「えっと…吉沢と牧で許して」
「仕方ないなー許してあげる」
「ありがとう牧」
「じゃあさ、連絡先交換しとこ。また、遊びたいし」
「私もいいかな?」
「オッケー」
新しい友達を作れて終わったそんな縣祭りだった。
余談ではあるが、家に帰ると明らかに不機嫌な梓が居たのは言うまでもない。
はいって事で、クラリネットの高野ちゃんと植田さんよりも、牧ちゃんと秋子ちゃんが一歩リードに。
梓から本当に刺されるんじゃないか……
次回はいよいよオーディション回。