元野球部が過ごすクラリネットパートにようこそ   作:桜紅月音

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この作品は、卒業旅行書いて卒業式書いてで終わる予定にはしてます。

いつになるか分からないですけど。

でも、来年には書ききれそうですけどね。


16.不穏な空気と告白

 

 

「三分二十五秒です」

 

 

Aメンバーによる練習が始まった。

僕とララちゃんは、今日はAメンバーのサポートとして、音楽室に居た。

 

 

「課題曲は今のペースがいいでしょう。コンクールの演奏時間は12分。もちろんその時間をオーバーしてはいけませんが、焦って曲を台無しにしてしまうのはもっといけません。今のペースを忘れずに行きましょう。十分時間内に収まります」

 

 

先生がそう言い、今日の練習は終了となった。

僕とララちゃん以外のもなかのメンバーも集合し、先生は口を開けた。

 

 

「みなさん、家にある使ってない毛布を貸してほしいんです」

 

 

確か、家に余った毛布があったような気がする。

持ってくるか。僕と同じことを思っていた生徒達からもそう声が漏れていた

 

 

「ねえねえ、工藤君って高坂さんと知り合いだよね」

 

 

練習が終わり、後は帰るだけになった時、ララちゃんがそう言って僕のそばまでやってきた。

 

 

「高坂さんって滝先生と知り合いだったというのは知ってる?」

 

 

えっ?そうだったの。

というか、どこからその情報を拾ってきたんだ。ララちゃんは

 

 

「それについては知らない」

 

 

「工藤君でも知らないのか」

 

 

「ララちゃん…?」

 

 

「何々?二人で何の話してるの?」

 

 

僕達に近寄ってきたのは、確かホルンの先輩。岸部先輩だったかな。

 

 

「実は_」

 

 

ララちゃんは、さっきの言葉をそのまま先輩に話す。

 

 

「高坂ってラッパの?」

 

 

「はい。ララ聞いちゃいました」

 

 

「へー知らなかった」

 

 

僕の周りには、人が集まるというが、ここまで集まってくるとは思ってなかった。

今回の場合は、また違う気がするが

 

 

「それじゃあ、先輩方お疲れ様でした。ララちゃんもまた明日ね」

 

 

ホルンの先輩方とララちゃんにそう言って、音楽室を出て、階段を降りようとした時だった。

 

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

 

明らかに僕の事を呼ぶ声が、声のする方を見ると、そこにはリボンを頭に付けた青色のリボンを付けた先輩が居た。確か、麗奈と同じトランペットの吉川優子先輩だったはず。

 

 

「今から、時間貸してもらってもいい?」

 

 

吉川先輩にそう言われて、やってきたのは学校近くの公園。

 

 

「だから、高坂にソロを降りるように言って欲しいの!」

 

 

「無理ですって」

 

 

何を言いだすのかと思ったら、麗奈にソロを降りるように言えという事だった。

無理に決まってるでしょうが…麗奈に言える訳がない。

 

 

「あんたと高坂の関係は知ってる。だから。こうして頼んでるのよ」

 

 

「そうは言っても…麗奈に言える訳が…」

 

 

「……先輩、香織先輩…最後のコンクールなの…」

 

 

「…」

 

 

なるほど、そういう事か…

吉川先輩は、香織先輩に最後のソロを吹いて貰いたいって事か。先日、晴香先輩から聞いた話とも関係あるのだろうか。

 

とそこに…

 

 

「優子ちゃんと、工藤君?そこで何してるの?」

 

 

「香織先輩!?」

 

 

「こんにちは香織先輩」

 

 

「うん、こんにちは」

 

 

現れたのは、香織先輩だった。

 

 

「所で、二人は何の話をしてたの?もしかして…恋愛話とか?」

 

 

「違いますよ!」

 

 

吉川先輩、よく突っ込んでくれました。

本当に違いますからね。どっちかというと巻き込まれた側なんですけど僕。

 

 

「香織先輩、実は_」

 

 

吉川先輩は、そう切り出して、麗奈の事、オーディションの事を話した。

 

 

「だからきっとそのせいなんじゃないかって 絶対そうです」

 

 

「そうかなそんなことないよ」

 

 

吉川先輩の言葉に、香織先輩はそうやって返す。

でも、吉川先輩も反発するが

 

 

「私はもう納得してるから」

 

 

香織先輩はそう言うが、どこか遠く諦めきれていないような、そんな気がした。

 

 

「先生は私より高坂さんの方がソロにふさわしいと判断した。それがオーディションでしょ?」

 

 

香織先輩が言う通りオーディションはそういうものである。

そこに、個人的感情などもってのほかだ。もちろん、納得のいかない吉川先輩の口からは不満の言葉が出てくる。

 

 

「だからそのオーディションが」

 

 

「優子ちゃんもコンクールに出るのよ。これからは全員で金賞目指して頑張る。ちがう?」

 

 

香織先輩は、吉川先輩の頭に手を乗せてあやす様に言う。

この言葉は、文句は言えない正論。

 

 

「その話は口外しないでって他の子にも言っておいて。じゃあね」

 

 

「香織先輩あきらめないでくださいっ 最後のコンクールなんですよ あきらめないで 香織先輩は 香織先輩の夢は絶対にかなうべきなんです。じゃなきゃ…」

 

 

「ありがと」

 

 

香織先輩は、一旦足を止めてこちらに振り向き、そう言ってこの場を後にしてしまった。

 

 

「…香織先輩…」

 

 

そんな香織先輩を見て、吉川先輩の目からは涙が溢れそうになっていた。

 

 

「先輩…使います?」

 

 

先輩にハンカチを手渡すと、先輩はハンカチを手に取って目を拭き始めた。

 

 

「香織先輩…口ではあー言ってますけど、心の中では諦めてないかもですね」

 

 

「えっ?」

 

 

「いや、違うな…満足していないんでしょうね。結果ではなくて、満足したいんだと思います」

 

 

でも、本音は…コンクールで吹きたいはずだ。

 

 

「吉川先輩、それ、洗って返してくださいね。じゃあ、また明日です」

 

 

「あっ、ちょっと!?」

 

 

僕の事を止める先輩を無視して、僕はその場を後にして、家に帰った。

 

 

「浩輔~」

 

 

「何やってんだ…麗奈は…」

 

 

家に帰えると、何故か床にぐたりとなっている麗奈の姿が…いや、なんでこうなってるし…

 

 

「吉川先輩があーだこーだ言ってきてーああーーむかつくーーー!!!」

 

 

荒れてんな…麗奈も…

 

 

「僕は、このオーディションに不正は無いって信じてる。滝先生と麗奈が知り合いだったのは驚きだけど」

 

 

鞄をソファーに置いて、寝転がっている麗奈の頬をツンとしながら言う。

 

 

「浩輔ならそう言ってくれるって信じてた」

 

 

「麗奈と滝先生が知り合いなのって、やっぱり音楽関係?」

 

 

「そう。浩輔は知ってると思うけど、私のお父さん、プロのトランペット奏者なの。滝先生のお父さんは吹奏楽の有名な先生で、それで二人は知り合いなんだけど」

 

 

麗奈の説明で、辻褄が合った。

 

 

「なるほどね。って事は、麗奈は滝先生が北宇治に来ることを知ってた訳だ」

 

 

「うん、お母さんに無理やり聞いて、推薦蹴って」

 

 

「そこまでするとは…もしかしてだけど…滝先生の事好きだったり?」

 

 

「うん、好きって言ってもLIKEじゃないよ。LOVEのほうね」

 

 

「そっか、応援してるよ」

 

 

「ありがと」

 

 

そのタイミングで、僕のお母さんが料理を持ってきて、麗奈と一緒に食卓を囲んだ。

 

 

「落ちないようにしっかりと捕まっててよ」

 

 

「うん」

 

 

前は徒歩だったが、今日は自転車。

麗奈は、後ろに乗り、僕の背中にしっかりと捕まってきた。

宇治橋を渡り切り、麗奈の家まであとちょっとの時だった。

 

 

「浩輔さ」

 

 

「うん?」

 

 

「最近、私とか久美子以外の女の子とよく話してるよね」

 

 

「え?まあ、そうかも…」

 

 

「ちょっと妬ける…」

 

 

「なんで?」

 

 

「だって…浩輔の事、気になってる…から」

 

 

麗奈がそう言うのと、同時に彼女の家に着いた。

 

 

「はいはい…ほら、家に着いたよ」

 

 

「えっ…う、うん。送ってくれてありがとう」

 

 

そう言う麗奈の頬は紅くなっていた。

 

 

「ううん、こっちも麗奈と話せて良かった。でも、明日は大変かもね。吉川先輩とか…何か言いそうだし…」

 

 

「その時はその時だから」

 

 

「おおー流石麗奈」

 

 

なんて会話をして、麗奈と別れて、そのまま家に帰り、気付けば夢の中だった。

 

 

 





名古屋って味噌カツあるじゃないですか。

関西人である作者は口に合いませんでしたけど。
やっぱり、出汁派です。

この作品のヒロインは

  • 高坂麗奈
  • 佐々木梓
  • 鳥塚ヒロネ
  • 島りえ
  • 植田日和子
  • 高野久恵
  • 吉沢秋子
  • 牧誓
  • 福井さやか
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