響け!元野球部のクラリネットパート!!   作:桜紅月音

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3.勧誘

 

葉月ちゃんと別れた後、宇治川を見ながら僕達はベンチに座っていた。

 

「なんでだろう、高坂さんが居た」

 

「麗奈、トランペット上手だったもんね」

 

「うん。上手いから洛秋とか立華とかに行ってると思ってた」

 

「だよね、僕も見た時はびっくりした」

 

久美子みたいに変な声は出してないけど、気持ちは同じだった筈だ。

 

「ぬかったー」

 

「何を?」

 

「おっ?秀一じゃん」

 

僕達二人に声をかけてきたのは、久美子の幼馴染の秀一だった。

そういや、高校一緒って聞いてたけど、今日全く会わなかったな。

 

「よっ」

 

「秀一か」

 

「あれ? おい。幼馴染にあいさつ無しですか?同じ学校だというのに」

 

「んーーー」

 

「髪縛ってんの?」

 

「だねえ」

 

「そういや高坂麗奈いたな。全然知らなかった」

 

「麗奈が北宇治に居るなんて思ってなかったなぁ…」

 

「そういや、浩輔、高坂麗奈に『違う学校でも頑張れ』って言ってもんな」

 

「覚えてんのかよ…」

 

忘れて欲しい記憶だったんだけどな全く…

 

「ていうか、久美子反応鈍くないか?」

 

「話しかけてくんなって言うから従ってるんですよお」

 

「はい?」

 

「しゃべってくんなブースって言ったじゃん。中三の時」

 

「あー、あれはお前がみんなの前で今日うちでご飯食べんのとか聞いてくるから」

 

「相変わらず仲が良い事で」

 

「それ言うなら、浩輔だって佐々木と_」

 

秀一が何かを言い続けようとした時、久美子がベンチから立ち上がった。

 

「違った。今それどころじゃなかったんだ」

 

「おい」

 

「ごめん。帰るわ」

 

「ああ、あ、お前さ、部活どうすんの?」

 

「まだ決めてないよ」

 

「吹部じゃねーの?」

 

「あんたは?」

 

「俺?俺はまあ他にやりたいこともないし。吹部かな」

 

「そっか…私は入らない」

 

「え?」

 

「入ろうと思ってたけどやめることにした」

 

「なんで?」

 

「なんでも、じゃあね」

 

「なんだよ」

 

走っていく久美子を見ながらそう言う秀一

 

「まぁ…色々と難しい問題なんだろうね」

 

「へぇ~そういや、浩輔は野球部に入るんか?」

 

「最初はそのつもりだったんだけど、今は吹部もいいかなって」

 

僕がそう言うと、秀一は驚きの表情を浮かべた。

 

「なんでまた?中学の時、キャプテンまでやってたじゃねえか」

 

「う~ん、良くも悪くも久美子のせい、かな?」

 

あの時、久美子達に連れて行かれてなければ音楽室には行ってないし

 

「仮に入るとして、やりたい楽器とかある感じか?」

 

「いいや、特には決めてない」

 

「そうか、佐々木の奴が聞いたら凄く喜びそうだな」

 

「間違いない」

 

そんな会話をして、自宅に帰ると、僕のベットの上に梓が寝ころんでいた。

いや、なんでいるんだ…しかも制服だし

 

「何やってんの梓」

 

「せっかくだから、制服見せてあげようって思って」

 

そう言って、ベットから降り、その場で一回転する。

 

「あー可愛い可愛い」

 

「凄い棒読みじゃん」

 

ジト目で言われてしまった。

仕方ない、この感じの梓、何回も見てきたんだから。そろそろ飽きる。本人には言わないけど

 

「話は変わるけど、立華の吹部ってどんな感じだった?」

 

僕がそう話題を振ると、梓は目を輝かせてもう止まらないんじゃないかって勢いで立華の事を説明してくれた。

 

「梓が馴染めそうで良かったよ」

 

「えへへ~浩輔に悪い所は見せられないよ~」

 

「そっか」

 

「浩輔の方はどう?野球続けるんでしょ?」

 

梓の話題をするのなら、もちろん僕の話もする訳で_

 

「えっ?まぁ…色々あって…」

 

「ん?」

 

「吹部も良いかなって思ってる」

 

「えええええ!?本当に!?」

 

梓が驚きのあまり、今まで聞いた事もない声をあげてきた。

耳がキーンとなった。

 

「なんでなんで!?どうしたらそんな事になるの!?楽器は?何するの!?」

 

「とりあえず落ち着けって」

 

テンションが跳ね上がり、ずっと梓のターンになりそうだったので、梓を一旦落ち着かせて梓に吹部に入りそうになっている理由を話した。

 

「なるほどね~久美子の影響か~」

 

コップに入ったジュースを飲みながらそう言った。

 

「楽器については何をするかは決めてない」

 

「浩輔なら、チューバとかそれこそ久美子がやってたユーフォとかいいんじゃない?」

 

「ユーフォか…」

 

「私的にはトロンボーンが嬉しいんだけどね」

 

「それ、完全に梓がやって欲しいだけじゃん」

 

「バレた?」

 

 

 

 

という梓と会話をしてから数日_野球部に入ろうかと迷っていたそんな時だった。

 

 

 

「で、北中の工藤君だよね?」

 

「えっと…」

 

廊下を歩いていると、胸のリボンが赤色の女の子にそう話しかけられた。

同じクラスには居なかったから、違うクラスの同級生か。

 

「ごめんごめん、私、植田日和子(うえだひよこ)

 

「植田さん…オッケー覚えた。僕の名前はって…異名を覚えていたら分かるか」

 

「うん、工藤浩輔君でしょ?」

 

「ご名答」

 

とは言うが、植田さんは知っているみたいだけど、植田さんが何故話しかけてきたのか問う事にした。

 

「それで、植田さんはどうして僕に話しかけてきたの?」

 

「うん、野球やってたでしょ?」

 

「まぁ…うん」

 

「てっきり、立華とかそれこそ常連校行ってると思って、見かけて話しかけちゃった」

 

「なるほど…植田さんも野球好きな感じ?」

 

「ううん、全く」

 

はっきりと言われてしまい、なんか心に槍がグサっと刺さった。

 

「で、本題なんだけど」

 

「前置きだったんだあれ…」

 

「吹部行ったんだって?」

 

「クラスメイトとだけどね」

 

「吹部に入る感じ?」

 

「うーん、吹部も気になってるけど、野球やってきた身だから…」

 

「それなら、私と一緒にクラリネットやらない?」

 

「ほへ…?」

 

クラリネット…音を出すのは簡単らしいが、指遣いが難しいとかなんとかって梓が言って君がする…

 

「なんでまた?そこは、運動部に今からチューバとかじゃないの?」

 

「初心者だと思ってたけど、昔何かやってた?」

 

「違う違う、知り合い吹部出身者が何人か居たから知ってる感じだよ」

 

高野さんにそう説明すると、彼女は納得したのか頷いた。

 

「って事は、クラリネットの事は知ってるかな?」

 

「簡単にだけどね」

 

「ピッチャーをやってた工藤を誘って、一緒にクラリネットやろうって誘いに来た!」

 

「なるほど、理解した」

 

「お?話が早いね」

 

つまり、ピッチャーは真っ直ぐ以外にも、変化球を投げる。

ボールの縫い目によって、人差し指の向き、持ち方を変えたりする。

あいにく、僕は早い球を投げれなかったので変化球中心になって、肩をやっちゃったけど、だからといって野球を出来ないわけではないけどね。

 

「でも、先に良い?」

 

「何?」

 

「吹部に入るって決めた訳じゃないのは覚えてくれてると…」

 

「分かった。でも、音楽室で見つけたら捕まえに行くからね」

 

そう言って、手を振って去っていく植田さん。

そんな植田さんに手を振って返す僕。

 

なんか吹部以外に行きにくくなったなぁ…どうしよう…




チームもなかを扱ってる作品見てないんですけどありますかね?

この作品では触れるつもりです。あれ?それってつまり…?
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