「大型で非常に勢力の強い台風20号は、暴風域を伴いながら時速25キロで北東へ進んでいます。明日にかけて暴風や高波に十分警戒してください。不要な外出は控え…」
テレビからそう呼びかけられていた。
学園祭の翌日である今日。ここ京都には台風がやってきていた。
リビングから見える窓ガラスには、大量の雨粒が付いていた。
「今日休みだって」
母さんからそう言われて、携帯を確認すると警報が出ていた。
家の窓がガタガタと揺れているので、そりゃそうかと納得する。
「浩輔、最近どう」
普段から母さんと話す機会なんて限られている為、こう唐突に話題を振られて困惑してしまう。
「何、急に」
いきなり話を振られて出来る対応はこうなってしまう。
「吹奏楽部もだけど、彼女とかさ」
「母さん、踏み込みすぎ」
母さんの話す内容も分からなくはない。
だからといって、ここで話すかと言われると別だ。
「だって、秋子ちゃん可愛いじゃないの~」
「それはそうだけどさ」
母さんの言うように、吉沢は可愛いとは思っている。
それは、もなかのメンバーとして過ごしてきたのもある
「でも、あんたのタイプ的に秋子ちゃんは違うか」
「おい」
人の前で堂々と言うなと言いたい所である。
というか…秀一といい、母さんといいなんで僕の好きなタイプがバレているのだ。話した記憶も無いというのに。
「はぁ……もう一回寝てくるわ」
「朝ごはんは?」
「要らない」
母さんにそう言って、自室のベットに飛び込み、充電機に指していた携帯を確認して、電源を入れると牧からの着信の通知が入っていた。
一体、何の様でかけてきたんだろう。
そう思っていると、スマホに彼女からの着信が来た。
「ようやく出てくれた」
電話に出ると、牧は開口一番にそう言った。
言葉的にもかなり待たせてしまったことを彼女に謝る。
「ごめん」
「もう!」
言葉では怒っている。
でも、本気で怒ってはいない声質だった。
「普段だったら遅刻だね」
「うん。普段から遅刻だね」
時間にして。7時半。
牧と僕からに家からだと、吹部の練習には遅刻だなと彼女と二人で笑う。
「それで、牧はなんで電話をかけてきたの?」
「浩輔君の声が聴きたくなって」
「何それ」
「私は本気だよ」
「そっか」
牧の言葉は、嘘を言ってるようには聞こえなかったので、彼女の言う通り本気だと言うのは分かった。
「それでそんな牧さんは、僕の声を聴いて何をしたかったのかな?」
「なんでさん呼び…」
僕の唐突なイタズラに、彼女はそう返してきた。
「そこは乗ってくる所でしょ」
「えっ!?そうだったの!?」
「そうだよー」
「そうだったかー」
誰かが聞いていたら、なんだこいつらと言われるであろう会話を彼女と繰り広げて、次に話を始めたのは彼女だった。
「それにしても、暇なんだよね」
「学校休みになるって喜んでたけど、案外暇だね」
「無理もない」
家の中で出来る趣味でもあれば、退屈になる事はないんだろうけど、生憎
な事に、僕にそんな趣味は無いので暇に拍車がかかっていた。
クラは学校に置いてあるし…練習も出来ない。
「ま、明日には抜けてるよ」
スマホを操作して、台風の予想進路を見て僕は彼女にそう言う。
「うん、また明日学校で会えるね」
「そんな恋人みたいな会話しなくても…」
「ええ〜?そんな風に聞こえた?」
「僕にはそう聞こえたけど」
そんな会話をしていると、時間というものはあっという間に過ぎていくものだった。
「そうだ」
「ん?」
「この際だからさ、一つだけいいかな?」
牧はそう言って僕に問いかけてきた。
「私って浩輔君の事を名前で呼んでるでしょ?」
「うん、呼んでるね」
彼女の問いにそう返す。
「私の事、下の名前で呼んでみない?」
牧からの提案に、僕はびっくりして気の抜けた返事をした。
しかし、彼女には関係の無かった事もようで
「ほらほら呼んでみなよ」
と圧を掛けてきた。
「えっと…」
「誓って呼んでみてよ」
「…誓…」
「いいね。じゃあ明日からはそれでよろしくー」
「ちょっ…」
僕の言葉を聞く暇もなく、電話は切れてしまった。
-次の日-
台風は一日で抜けて、今日は快晴だった。
とはいえ、木々は風に煽られて、あちこちに折れた枝が散乱していた。
「おはよ、吉沢と牧」
「おはよ浩輔君」
「浩輔君!おはよー!って言いたい所だけど、昨日約束したよね~?」
牧は、顔をニヤニヤとさせながらそう言ってくる。
そんな彼女と違って吉沢は何のことかと不思議そうな表情をしていた。
「ええ…言わないとだめ…?」
「だめ」
牧に訴えたがだめだった。
「昨日の話ってなーに?」
話を知らない吉沢は、僕達に聞く。
「うん、昨日ね。私の事を名前呼びしてって約束」
「えっ、それなら私も呼んで欲しいかも」
「"えっ"」
吉沢も同じことを言い出したので、僕はそんな反応をしてしまった。
「ほらほら、誓、秋子って」
「う、うん…誓、秋子…これでいい?」
『おおー』
「すごーくいい!」
名前を呼ばれただけで、そんな反応をしてもらえるとは…
「喜んでくれてるなら…いいか…」
「今度からは下の名前呼びね」
「うんうん」
「分かったよ…」
二人の案に渋々、案を受託する事にした。
「それにしても、凄い風だったんだね」
そんな枝を見て、誓がそう言っていた。
「うん…私の家、揺れて寝れなかった」
「どんな家に住んでるんだ…」
秋子の言葉に、僕はそうツッコみを入れる。
「髪乱れなかったらいいけど」
誓はそう言って、髪を触り出す。
「今日は大丈夫なんじゃない。風そんなに吹かないみたいだし」
「それならいいけど」
そう言いながらも、彼女は髪を触っていた。
「私もイメチェンしてみようかな」
「いいね。秋子ちゃん。もっと可愛くしてみたら」
「そうしてみる」
「秋子は今でも十分可愛いと思うよ」
「そう//かな」
「おおー」
そんなやり取りをしながら僕達は、学校へと歩みを進めるのだった。
ここまで書いてるんで言ってしまうんですけど、浩輔君を最初はユーフォに入れようとした時期がありました。
そうなると、編成の都合上により3年の時に奏ちゃんが落ちるのはそりゃそうなんですけど、覚醒したオリ主、久美子、真由のソロ及びaメンバー争いが激しさを増すという構図になる訳で………原作よりもやばい事になりそうな作品になりかけたという話もあったりします。
大人しくクラにしました。
クラをメインに扱ってる作品を見た事がないというのもありますが、作者が好きな楽器がクラというのもあります。