元野球部が過ごすクラリネットパートにようこそ   作:桜紅月音

5 / 11
久しぶりの投稿です。待たせてすみません。




5.僕と麗奈

楽器を選び、それぞれのパートで自己紹介を交わし、初日は解散となり、その帰り道、夕日に染まって宇治川に沿って帰っていると、偶然にも、北宇治の制服を着た斎藤葵(さいとうあおい)さんと出会った。

 

「あれ〜浩輔君」

 

「あっ、葵さん。北宇治だったんですね」

 

「うん…本当は堀山高校行きたかったんだけど…滑っちゃって、さっき久美子ちゃんと全く同じ話をしたばっかりだよ」

 

「受験後の話、全く聞かなかったので心配してたんですよ…」

 

「あはは…ごめんね」

 

葵さんは苦笑の表情を浮かべながらそう返してきた。

 

「というか浩輔君は、なんで北宇治に?それも吹奏楽部なんてってびっくりだよ私」

 

「それは…色々とありまして…」

 

今度は、僕が苦笑いをしながら、北宇治に入ったのか吹奏楽部に入ったかの理由を話した。

 

「なるほどね。浩輔君にも色々と事情があるんだ」

 

「ま、そういう事です」

 

「あっ、私、今から塾だから」

 

「受験生って大変ですね…」

 

そうは言っても、半年前の僕は受験生だった訳で…

 

「今はそう言ってられるけど、浩輔君だって2年後同じ立場なんだからね」

 

「行きたい大学はある程度絞ってるんで…後はその時ですかね…」

 

建前上ではそう言うが、実際のところ全くと言って決まってはいない。

でも、考えてはいるけれども。

 

「流石だね浩輔君、その調子で頑張ってね」

 

葵さんはそう言って、手を振り僕と反対方向に歩いて行く。

僕も手を振り返し、自分の家へと歩きを進める。

 

 

 

 

-自宅-

 

「ただいまー」

 

そう言いながら、玄関の扉を開くと、真っ先に目に入ってきたのは見慣れない靴だった。梓ならすぐに分かるから、梓ではないのは確かである。

となると、母さんか父さん関係なんだろうと思い、リビングには行かず、自分の部屋に入ると_

 

「ようやく、帰ってきた」

 

「なんで、麗奈が居るの」

 

「居たら悪い訳?」

 

「誰も言ってないでしょ」

 

僕のベッドに腰を落とし、本棚から取ったであろう小説を読む麗奈の姿がそこにはあった。

鞄を、机の上に置くと、麗奈が話しかけてきた。

 

「というより、浩輔が北宇治に居るなんて思ってなかった」

 

「それはこっちのセリフ。知ってたら『違う学校でも頑張って」って言ってないし」

 

「知ってたらなんて言うつもりだった?」

 

「う〜ん…同じ学校でまた頑張ろう…とか…?」

 

「ありきたりな言葉すぎて面白く無い」

 

「ありきたりな言葉で面白くなくて悪かったな」

 

全く、麗奈は僕に何を求めているのだろうか。

 

「これ面白かった」

 

麗奈から小説を僕に手渡ししながら言ってきた。

 

「でしょ?僕が一番おススメしたい小説だからね。続きもあるんだけど…まだ買ってないんだよね」

 

「何してんのよあんた…続き早く読みたいんだけど」

 

「はいはい…購入したらまた言うよ」

 

小説を本棚に戻し、本題を切り出す。

 

「んで、麗奈はなんで僕の家に居るのさ」

 

「浩輔のお母さんに会って、夜ご飯食べて行かないって言われて寄っただけ」

 

「そういうこと」

 

「うん、だめだった?」

 

「ううん、お母さん、麗奈の事可愛がってるし。僕も久しぶりに麗奈と食べれるなら嬉しいしね」

 

「ふふっ、浩輔も可愛い所あるんだ」

 

「それに関しては麗奈もでしょ」

 

その後、僕のお父さんも混ざって、四人で夜ご飯を食べ、麗奈を家まで送る事にした。

 

「浩輔のお父さん、相変わらずだったね」

 

「最後に会ったの卒業式なんだから、変わってないでしょ。というか麗奈、北宇治に行くの伝えていた事にびっくりだよ」

 

夜ご飯を食べている最中に、麗奈が母さんと父さんの二人は、麗奈が北宇治に行く事を知っていた。

あまりにもびっくりしてしまった。

 

「本当は浩輔に言いたかったんだけど、浩輔のお父さんが黙っておいた方が良いって」

 

「家に戻ったらしばくか…」

 

「サプライズだって言ってたわね」

 

サプライズにしても、そんな大事な話は話しておくべきだと思うんだ僕は。

 

「北宇治でもよろしくね浩輔。吹奏楽部一緒に頑張りましょ」

 

「ああ、それはもちろん。やるからには全国を目指すよ」

 

「流石、浩輔。全国に行って全国金を取る。それが私の目標だから」

 

「はいよ。その目標を叶える為に頑張りますよ」

 

そんな話をしていると、麗奈の家に着いた。

 

「それじゃあ、僕はここらで帰るよ」

 

「お母さんに会っていかないの?お母さん、喜ぶと思うけど」

 

「うん、叔母さんに会って行っても良いけど、今日は遠慮しておくよ」

 

僕はそう言い、麗奈に手を振って家への道を歩き始めたのだった。

 

 




ユーフォの映画が近づいてきたので熱を再び高める為に書きました。

続きも早めに出せればと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。