楽器を選び、それぞれのパートで自己紹介を交わし、初日は解散となり、その帰り道、夕日に染まって宇治川に沿って帰っていると、偶然にも、北宇治の制服を着た
「あれ〜浩輔君」
「あっ、蒼さん。北宇治だったんですね」
「うん…本当は堀山高校行きたかったんだけど…滑っちゃって、さっき久美子ちゃんと全く同じ話をしたばっかりだよ」
「受験後の話、全く聞かなかったので心配してたんですよ…」
「あはは…ごめんね」
葵さんは苦笑の表情を浮かべながらそう返してきた。
「というか浩輔君は、なんで北宇治に?それも吹奏楽部なんてってびっくりだよ私」
「それは…色々とありまして…」
今度は、僕が苦笑いをしながら、北宇治に入ったのか吹奏楽部に入ったかの理由を話した。
「なるほどね。浩輔君にも色々と事情があるんだ」
「ま、そういう事です」
「あっ、私、今から塾だから」
「受験生って大変ですね…」
そうは言っても、半年前の僕は受験生だった訳で…
「今はそう言ってられるけど、浩輔君だって2年後同じ立場なんだからね」
「行きたい大学はある程度絞ってるんで…後はその時ですかね…」
建前上ではそう言うが、実際のところ全くと言って決まってはいない。
でも、考えてはいるけれども。
「流石だね浩輔君、その調子で頑張ってね」
葵さんはそう言って、手を振り僕と反対方向に歩いて行く。
僕も手を振り返し、自分の家へと歩きを進める。
-自宅-
「ただいまー」
そう言いながら、玄関の扉を開くと、真っ先に目に入ってきたのは見慣れない靴だった。梓ならすぐに分かるから、梓ではないのは確かである。
となると、母さんか父さん関係なんだろうと思い、リビングには行かず、自分の部屋に入ると_
「ようやく、帰ってきた」
「なんで、麗奈が居るの」
「居たら悪い訳?」
「誰も言ってないでしょ」
僕のベッドに腰を落とし、本棚から取ったであろう小説を読む麗奈の姿がそこにはあった。
鞄を、机の上に置くと、麗奈が話しかけてきた。
「というより、浩輔が北宇治に居るなんて思ってなかった」
「それはこっちのセリフ。知ってたら『違う学校でも頑張って」って言ってないし」
「知ってたらなんて言うつもりだった?」
「う〜ん…同じ学校でまた頑張ろう…とか…?」
「ありきたりな言葉すぎて面白く無い」
「ありきたりな言葉で面白くなくて悪かったな」
全く、麗奈は僕に何を求めているのだろうか。
「これ面白かった」
麗奈から小説を僕に手渡ししながら言ってきた。
「でしょ?僕が一番おススメしたい小説だからね。続きもあるんだけど…まだ買ってないんだよね」
「何してんのよあんた…続き早く読みたいんだけど」
「はいはい…購入したらまた言うよ」
小説を本棚に戻し、本題を切り出す。
「んで、麗奈はなんで僕の家に居るのさ」
「浩輔のお母さんに会って、夜ご飯食べて行かないって言われて寄っただけ」
「そういうこと」
「うん、だめだった?」
「ううん、お母さん、麗奈の事可愛がってるし。僕も久しぶりに麗奈と食べれるなら嬉しいしね」
「ふふっ、浩輔も可愛い所あるんだ」
「それに関しては麗奈もでしょ」
その後、僕のお父さんも混ざって、四人で夜ご飯を食べ、麗奈を家まで送る事にした。
「浩輔のお父さん、相変わらずだったね」
「最後に会ったの卒業式なんだから、変わってないでしょ。というか麗奈、北宇治に行くの伝えていた事にびっくりだよ」
夜ご飯を食べている最中に、麗奈が母さんと父さんの二人は、麗奈が北宇治に行く事を知っていた。
あまりにもびっくりしてしまった。
「本当は浩輔に言いたかったんだけど、浩輔のお父さんが黙っておいた方が良いって」
「家に戻ったらしばくか…」
「サプライズだって言ってたわね」
サプライズにしても、そんな大事な話は話しておくべきだと思うんだ僕は。
「北宇治でもよろしくね浩輔。吹奏楽部一緒に頑張りましょ」
「ああ、それはもちろん。やるからには全国を目指すよ」
「流石、浩輔。全国に行って全国金を取る。それが私の目標だから」
「はいよ。その目標を叶える為に頑張りますよ」
そんな話をしていると、麗奈の家に着いた。
「それじゃあ、僕はここらで帰るよ」
「お母さんに会っていかないの?お母さん、喜ぶと思うけど」
「うん、叔母さんに会って行っても良いけど、今日は遠慮しておくよ」
僕はそう言い、麗奈に手を振って家への道を歩き始めたのだった。
ユーフォの映画が近づいてきたので熱を再び高める為に書きました。
続きも早めに出せればと思います。