シスターフッドの大型犬ちゃん   作:ZK

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シスターフッド内のシオンを描いているので初投稿です。


2.シスター・シオン

 

トリニティ総合学園。

キヴォトスにとかく沢山ある学園の内の三大校と呼ばれる学園の1つ。

そのトリニティ総合学園の部活、シスターフッドに属する2年生に、あるシスターがいる。

 

綾部シオン。ベールの下で青色の混じった灰色の髪を後ろで低く束ねて、犬耳と尻尾を持つ彼女は、シスターフッドの本部である

大聖堂の一室にて、長であるサクラコの下にいた。

 

「どうぞ。今回はアールグレイです。」

 

「は、い、頂きます。」

 

サクラコ様から直接お茶を淹れてもらった。サクラコ様の手際はトリニティ総合学園の生徒らしい優雅な所作だった。

 

()()()サクラコ様からのお茶を辞退する方もいらっしゃいますが、なぜなのでしょうか。美味しいのに。

 

…まぁ私の舌はバカなので基本的には大体美味しいのですが…。

 

「飲まないのですか?」

 

「あ、いえ。少し猫舌でして…。」

 

正直なところ少し過敏なところはあると思う。

マリーは上の耳もベールで覆っていますが、私の場合はどうも慣れず、耳の部分に穴を開けて外に出している。

 

 

 

「…今日お呼びしたのは、シオン。あなたの主観で構いません、改めて先生とはどのような方でしたか?」

 

「はい。」

 

頭を整理しつつ、D.U.で会った先生の印象を伝える。

 

「まず、先生の印象は、優しい方、でありましょうか。…人畜無害そうな、といいますか…。」

 

「…じ、人畜無害…?」

 

「戦闘になって私たちが撃ち倒した暴徒にすら、心配をしているようにも見えました。」

 

「…そうですか。確かにお優しい方のようですね。」

 

しまった。求められているのはこんな情報ではないかもしれない。

 

 

「あとは、キヴォトスの外から来たとのことで、銃弾1発で致命傷を負いかねないと、聞いています。」

 

ヘイローを持たない人が撃たれたらどうなるのか、厳密には私は知らない。しかし銃弾が当たった物体の破損具合から、まぁ私たちのようにただでは済まないことは想像がつく。

 

「しかし、先生は卓越した指揮能力を持っています。その場での即席の混成部隊を指揮し、あの災厄の狐すら退けています。」

 

私にはスズミ、ハスミ先輩と多少知っている相手がいたとはいえ、他の学園の生徒との混成部隊を見事に指揮した手腕は、目を見張るものだと思う。

 

「隠れているように、とお願いされても恐れずに指揮をしておられました。…キヴォトスの外の方としては()()()()()()なほど、肝の据わった方に見えます。」

 

私は、今も目に向かって飛んでくる大口径弾は怖い。反射的に反応してしまうこともあるというのに、当たったら危険な弾丸の飛び交う戦場で堂々と指揮をした先生の姿に対する、率直な感想だった。

 

「い、いかがでしょうか…?」

 

しかしこれがサクラコ様の意図していた通りの報告か、急に不安が襲ってきた。

お紅茶の味も分からなくなってきた。あ、そうだ確か連絡先があったから最悪お呼びするのも…

 

「ありがとうございます、シオン。貴女を出して正解でした。」

 

……そう言ってニコリと笑ってくださるサクラコ様の顔に、少し安堵を覚える。

 

「…それとシオン、少し話が代わるのですが。」

「?はい。」

 

「…私の誤解のことなのですが…」

 

サクラコ様は苦悶の顔を浮かべる。

確かに、シスターフッドがなにをしてるのか分からない…というのはよく聞くことではある。

 

「…私が、貴女に粛清や拷問といった汚れ仕事をさせていると。」

 

「あー…。」

 

私はサクラコ様への忠誠から全て自発的にしているのであって…いやいや私拷問とかしませんよ。痛そうなのを見ると私までなんか痛くて苦しくなるので。

確かに機関銃で薙ぎ倒すのは正直楽しいけれども、爪を剥ぐとかそういうのは断じて…

 

「な、なんとかならないものかと…今度のミサで、シオンさんにお願いしても…」

 

「え…あれをですか!?」

サクラコ様の良いところを書いたスライドを使ったあのプレゼンを!?

 

いや確かにやりましたがあれはシスターフッドの身内だったからまだ良かったですが…

 

 

「…でも今回私も渦中なので私が言っても効果は薄いのでは…?」

 

それに私もなにか言われる筋合いは確かにある。…いや、ちょっとユスティナ聖徒会時代の資料を調べたりしてはいました、はい。

 

実際サクラコ様に歯向かう輩は全部粛清しろと仰られれば私はやりますが…。

 

「私はただ皆さんと仲良くなりたいだけなのですが…。」

 

私はともかくとして、誠実で優しくて綺麗で美しくて茶目っ気もあるサクラコ様が風評被害に遭うのはいただけない。

 

「これは極端な話ですが…ある()()を見せて人間アピールする…というのはいかがでしょうか…?」

 

前にセルフレジの使い方が分からないというところが発覚したが、そういう人間くさい一面を見たりすると、少しは親近感も湧きやすいかもしれない。

 

「なるほど…!ありがとうございます。」

 

あ、褒められた。身に余る光栄!

 

「いえ、サクラコ様の悩み、苦痛、敵は私の敵でもありますから。」

 

…?なんか微妙そうな顔をしておられる。

 

「…シオン、私を想ってくれることは嬉しいのですが、()()()を頼んだとき以外はこう、もう少し親しくしてくださって構わないのですが。」

 

「あっ、し、失礼しまし、いやごめ、いやすみません…!」

 

そもそも私がそんな話し方をしているせいなのだろう。気を付けなければ…。

 

 

 

「それでは失礼します。」

 

「はい、それでは…わっぴー!」

 

「わ、わっぴー…!」

 

いつの間にかサクラコ様が使われるようになった挨拶を返して私はその場を後にした。

 

 

 

私のした先生の報告、それは本当にサクラコ様の意図をくみ取ったものであっただろうか。私の出した案は果たして本当に実現可能で効果の見込めるものなのだろうか、そもそもサクラコ様が怖く見られているのは私のせいなのではないのか…そんな考えに突如襲われてしまう。

 

サクラコ様は、「貴女を出して正解でした」と言った以上、きっと私は大丈夫だろう。しかしそれはあくまで、戦闘があったから、であって報告に関しては別ということも…「えっと、シオンさん?」

 

「!」

 

突然の声に顔を上げると、ベールの上からわかる猫耳を持つ1年生、マリー。そして発育の良…いえ健康的で頼りになる3年生の先輩、ヒナタさんがいた。

 

「あ、ごめんなさい。ちょっと考え事を…。」

 

2年生なのにどうも落ち着きの無い私に対してマリーはとてもよく出来た後輩だ。ヒナタさんは、ちょっとおっちょこちょいなところがあるが、奉仕活動に勤しむ心優しいシスターだ。

 

「そうでしたか。…もしよければ、これから買い出しに出かけるのですが、シオンさんもいかがでしょうか?」

 

考え過ぎ、なのはわかっているのだが、しかし思わずやってしまうことはマリーも知っているらしい。せっかくのお誘い、気晴らしには良いでしょう。

 

「では、私も。キャリアを出してきますね!」

 

眼鏡を直しつつ、私はユニバーサルキャリアのエンジンキーを取り出した。

 

 

 

 

「手伝っていただいてありがとうございます、シオンさん。」

「いえ、折角のこれですからね。」

 

ユニバーサルキャリアを運転しながらヒナタさんに応える。

いわゆる助手席?にマリーを、後部座席にヒナタさんを載せて、自重3.8トンの装軌車両は小気味よいトルクを上げながら目的地へ向かっていた。

 

「そこの角を右折したら、もうすぐです。…乗り物があると早いですね。」

 

マリーのナビゲートの下、目的の商店の前で2人を降ろしてキャリアを駐車場へ入れる。

 

オープントップなので視界は良い。スッと駐車することが出来た。

 

 

この車両は牽引、運搬、不整地の走破まで出来るし、ちょっとした装甲があるので爆発の破片でもそう簡単には壊れない。

いわばどこでもいける何でも屋だ。前の職場でもお世話になった。

そうしたところに惚れ込んで、少し手間取ったものの私物として調達したのがこの子だ。

 

力持ちのヒナタさんはいるが、量の多いものや長距離の運搬にはこちらの方が適してはいるだろう。

 

私がこれを運転出来ることがシスターフッドに居ることが出来る理由になっていれば良いが…。

 

 

…いけないいけない。私はサクラコ様に仕えている身。私の生殺与奪の全てはサクラコ様と、シスターの皆さんにあります。

 

 

そして一足先に店へ入っていたマリーとヒナタさんと合流する。

 

 

「えっと、あと足りない物は…」

 

大聖堂の物品管理を担うヒナタさんの主導で、在庫の少ない物品を買いそろえる。

 

「そういえば、今度炊き出しの活動がありましたね。食料品も見て来てよろしいですか?」

 

おっと、忘れてた。マリーは頼りになるなぁ。

どこで調達するのが良いかも考えてるんだろうなぁ…。サクラコ様がお側に置くのも分かりますよ。次代の器ですから。

 

…ん?あの生徒、やけにマリーに近い様な。

 

 

「!」

 

あいつ、マリーからスリを働きやがりました。これは許せません。

あの慈悲深くて女神のような笑顔を見せる優しきシスターのマリーから財布をスろうだなんてなんて罰当たりな存在なんでしょうやりますか、やりますね!

 

「失礼します。」

 

不用心にもポケットにそのまま突っ込んでやがりましたね。

 

「私の後輩の財布に見えるのですが…?」

 

「ちっ!!」

 

この距離でショットガンを抜くのは少し遅いです。

 

盗みの挙句に撃とうとしたなら、まぁ有罪でしょうか。

このスリに拳が当たったということは、主かサクラコ様からの成敗せよとの思し召し。…そうじゃなければ外れてるはずです。

 

「く、くそっ…!」

 

まだショットガンの引き金から指を離してないので銃床でフルスイング。

ひっくり返ったスリは気絶したらしい。

 

……が、少し派手にやってしまったからか、周囲からの視線を感じる。マシンガンは止めたのですが、まぁ、ね。

 

「これ、マリーの財布ですよね。」

 

「え、えぇ。ありがとうございます…。」

 

困り顔のマリーも可愛いですね。…困らせているのは私だった。

 

結局、ノしたスリは誰かが呼んだ救護騎士団に任せた後に買い出しを済ませて戻ってきたヒナタさんと合流して、帰ることにした。

 

…結構重そうな荷物を軽々と持っているヒナタさんの力にはいつも驚かされる。

 

「今日はありがとうございました、シオンさん。」

「荷物も運んでもらって、助かります。」

 

 

「いえ、こういう時の私ですから。」

私は綾部シオン。…暴力しか取り柄のないシスターだ。

 

 

 

 

 

 

 





シオンは補修授業部に…

  • 入れられる
  • 少しは関わる
  • 特に関係ないまま
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