またしても難産だったので初投稿です。
「最近皆忙しそうですね。」
教会への物資搬入のためにキャリアーを転がしていると、そこら中に黒セーラー服の正義実現委員会の部員が歩いているのが目に入った。
もともとトリニティは(ゲヘナに比べれば)治安はマシな方ではある。
正義実現委員会の戦力は、そこらのスケバン集団やヘルメット団、強盗団位はすぐに捻ることができる…多分。練度には個人差がありますし。
そんな正義実現委員会がここまで大規模に展開しているのはなかなか無い。
それに部員はただのパトロールのわりに、弾薬ポーチが1つ多い。
やはり件のエデン条約とかいうものでしょうか。
私もサクラコ様から少し慎重になる様に仰せつかっているので気を付けねば。
とはいえしばらく走っていると、段々と巡回が少なくなる。もちろん自治区の境界(特にゲヘナ)にはそれなりの数がいるのだろうが、そこと中心部との間隙には、あまり回されていないようだ。
トリニティも広い。そこ全てを固めるには、正義実現委員会でも十全では無い。
しかしそんなところにも、教会はある。
駐在していたシスターと共に荷物を降ろす。ここは駅から少し遠いため、そういう場所の教会にはこうして車輌で運び込むことがある。
「直接ここまで運んでもらって助かりますわ。」
「いえ、私に出来ることをしているだけですから。」
私はシスターフッドのシスターの皆さんにも良くしてもらっている。
元は途中から入ってきた余所者な私がこうしてシスターの一員としてここにいるのは間違いなく彼女たちのおかげですし。
「来られる方々、エデン条約の話で持ちきりですわ。」
「そうでしょうね。…ゲヘナとの平和条約、思うことは皆さんあるでしょうし。」
ゲヘナは無法者というのはよく聞くし、ゲヘナ生徒に対するトリニティの見方は普通に良くない。
ゲヘナの風紀委員会を避けてトリニティへやってくる不良集団もいるらしく、確かに正直私も心象は良くない。
トリニティ出身者やそれなりに情報を得ている不良はそもそも正義実現委員会とかち合うことを避ける。
それにシスターフッドがその気になればサクラコ様の命で独自権限を使ってティーパーティーの制圧位なら出来ます。
現にブラックマーケットまで行ってシスターを誘拐して売り飛ばそうとしてた奴らを吹っ飛ばしてきましたし。
しかしゲヘナの方は…「オラァ!金だせ金ぇ!」
「正義実現委員会がここらにいないのは知ってるんだぜ!」
「ゲヘナじゃないし、もう風紀委員長に怯えなくて済むぜ!」
…お嬢様学校だからと見くびるのか、向かってくることがあります。
気配はなんとなく感じていましたが、これで「助けてください」と来られれば、寝る場所はお貸ししますし、場合によっては復帰もさせられます。が、その様子では、はい。
「…ようこそ。シスターフッドへ。」
そう言いつつ私がマシンガンを向ける、そして教会にいたシスターの皆さんのアサルトライフルも向けられる。
「え。」
「へ?」
まさかこんなことになるとは思わなかった様な顔をする不良達は、一斉射によって発砲炎の彼方へ吹き飛んでいった。
シスターフッドは、トリニティの方でも、ゲヘナの方でも、誰にでも平等に手を差しのべます。
ですが敵には、誰にでも平等に鉛玉を差し上げます。…もっとも、彼女らは学籍が無いので、ゲヘナでもトリニティでもありませんが。
荷物の搬入と、不届者のお片付けを終えて、大聖堂へ戻る。
その途上で、見知った人物を見かけた。
猫耳のベール、シスターらしい瀟洒な佇まい、明るいオレンジ色の髪。
「マリー!お出かけですか?」
「あ、シオンさん。件の方で、用が出来まして。」
マリー…件の…あぁ!イジメの相談をされた方でしょうか?
匿名の告解室(事実上の相談室ですが。)での告解で、マリーが相談されたと聞きました。
「大丈夫ですか?成敗ですか?付き合いますよ。」
「えっと、いえ。その方がお礼を伝えたい人がいると。」
聞けば、その方はある人物に助けて貰えたらしいです。
プライバシー情報のために私はあまり知りませんでしたが、良かったです。
そのお礼を伝えたいとのことで、マリーはその人物がいるという旧校舎まで向かうのだとか。
「……そこって、意外と遠くはありませんか?良ければ乗せて行きますよ。」
「そ、そうですか?シオンさんも何処かへ向かう途中では?」
「いえ、最近は物騒です。それに荷物は運び終えて帰るところなので。」
遠慮していたものの折れたマリーを乗せて、補習授業部の合宿所へ向かう。
サクラコ様の次代の長はマリーです。きっとそうに決まってます。マリーならば、きっと私を上手く使ってくれるでしょう!
私はあくまで主(ダブルミーニング)に仕える暴力装置ですし、シスターの皆さんの上に立てる様な人間ではありません。
……サクラコ様が3年生…悲しいなぁ…。
「……、えっと、シオンさん?表情がこう、何度も変わっていますが…。」
「え!?あぁごめんなさいね、ちょっと考え事を…ね。」
困惑している顔も可愛いですね。…私のせいですが。
と、そんなことをしていたら、建物が見えてきました。どうやらここらしいです。
「ありがとうございます、シオンさん。」
そう微笑むマリー。女神だ…。
せっかくなので、マリーについていき、建物の正面に着く。
結構綺麗ですね。周囲も静かですし、こういう場所は嫌いではありません。
「ごめんくださーい」
マリーの呼びかけ。…が、この玄関辺りには居ませんね。
「…ここ、誰かいるんですか?」
「はい、ここのはずです。…し、失礼します……!」
そう言ってマリーが足を踏み入れた瞬間、足に引っ掛かったテグスが見えた。
「……っ!!」
ピン!という音とともに、マリーが爆発に巻き込まれる。
「きゃぁっ!?」
「マリー!」
トラップ…!
気配を感じさせない無機物、そして殺気を発さない機械仕掛け、そして点では無い、面での制圧!
SRT?…否。あんなのがここに来る動機が無い。
正義実現委員会?…否。わざわざトラップを使う様な組織じゃない。
ゲヘナ?…否。トリニティもいないこんなところにわざわざ来ない。
「こ、これは一体…?え、あ、こっちにも…!?」
「う、うぉぉぉぉ!!」
連鎖的に仕掛けられた地雷原。そこにシスターが、マリーが巻き込まれた以上、四の五の言ってられない。
そうでなければ、自分がいる意味が無い。
爆発物が爆発して黒焦げになった場所を狙って、そこを経由して、なるべく地面に足を着かない様にジャンプしながら、マリーの元へ飛び込む。
「わぷ…!?」
そしてマリーを抱き寄せ、抱え込む。直後、爆発の嵐が私たちを包み込んだ。
「けほっ、けほっけほっ…シオンさん、大丈夫ですか!?」
「げほ…私は、げほ、大丈夫です。煙でむせただけです。マリーこそ大丈夫ですか?」
それよりも、このキルゾーンから脱出しなければ。幸い爆発の煙で視界はある程度遮られている。
いや、誰か来る。このまま打って出るべき…!
マシンガンのチャージングハンドルを引き、足音の方向に指向する。
「だ、大丈夫ですか!?怪我とかは…うひゃあ!?し、シオンさん!?」
「あれ?ひ、ヒフミさん…?」
???
なんでこんな地雷原で会うのでしょうか?
「……もしかして、
「こ、これは…あうう…。」
考えたくないけど、シスターフッドの敵であるならば、サクラコ様達に仇なすならば……。
そこへ、黒煙の中からマリーが出てくる。庇う様に前に出るが、ひょいと躱されてしまった…。
「きょ、今日も平和と安寧が…けほっ、けほっ…あなたと共に、けほっ、ありますように…。」
「ま、まずご自分の安寧を心配してください!?」
「あら、マリーちゃんじゃないですか?それにシオンさんも。」
「!ハナコさん。…お久しぶり、でしょうか?」
ピンク髪の才媛、浦和ハナコ。ティーパーティー、シスターフッドに勧誘されていた同級生。
とはいえ、礼拝の場に、水着姿で現れる様な、随分と
「この2人はハナコの知り合いなのか?」
「はい。…あんなことやこんなことがありまして♡」
「アズサちゃん……。」
そんなやり取りの後、ハナコさんに話しかけていた、真っ白な銀髪の一人がヒフミさんに強めに促されてやってきた。そして頭を下げてきた。
「すまない。私が仕掛けたんだ、てっきり襲撃かと…。」
「ええっと、そ、そうでしたか…?私は大丈夫ですが…。」
チラリとマリーが伺う様にこちらを見てくる。
「…私も大丈夫です。」
あくまでマリーのために来ていますし、この様子だとマリーの目的もこの人たち。…マリーが赦すならば、まぁ良いでしょう。
「んんっ…今回はマリーが赦すならば…その…はい。」
なんか締まらない自分に嫌気がさしていると、「立ち話もなんですし、どうですか」とハナコさんに促され、結局マリーに続いて私も一旦上がることにした。
「はい、お水。」
教室で、正義実現委員会と思しき制服の子からお水をもらった。…ちょっと心配になって水の匂いを嗅いでしまう私の横で、マリーはお礼を言ってこくこくと水を飲み干す。
「と、ところでどうして、シオンさんたちシスターフッドの方がこんなところに…?」
「あ、それはその…。」
ヒフミさんの疑問に、マリーが答える。
「こちらに補習授業部の方々がいらっしゃると聞きまして…ただ、ハナコさんがここにいらっしゃるとは存じておりませんでしたが。」
「補習?ハナコさんが?…???」
「…私も、成績が良くないので。」
「はぁ…。」
含みのある様子。しかし私はそれ以上何も言わないでおく。私はそういうカウンセリングを上手くやれる質ではない。
「マリーちゃんたちは、私を訪ねて…というわけでも無さそうですね。補習授業部にどういった用事で?」
そんなハナコさんに尋ねられて、マリーが目的を話し始める。
「あ、はい。本日は補習授業部の白洲アズサさんを訪ねてこちらに参りました。伺ったところ、ここにいらっしゃると聞きまして。」
そこから、アズサさんがいじめを受けていた生徒を助けたこと、しかし訳あって正義実現委員会と戦闘になってしまったこと、そして助けられた人が、アズサさんへ感謝を伝えようとしていた。ということ。
…氷の魔女、白洲アズサって彼女なんですか。まぁそれならあの地雷原も納得というか…。
そんなことを考えていると、アズサさんが発した、「…それに、いつまでも虐げられているだけじゃダメ。それがたとえ虚しい事であっても、抵抗し続けることを止めるべきじゃない。」という言葉が、少し印象に残った。
「……マリーちゃんにシオンさんも元気そうでよかったです。」
「はい…私は…ですが。」
「えぇ、まぁ。」
そんな会話をしながら、ハナコさんに玄関まで送ってもらう。
「…アズサさん。」
「…?」
「…次は引っかかりませんよ。」
教室を出る時、最後にそうリベンジの意を伝えて、私もお暇した。
「…にしても、巧妙な地雷原です。」
ワイヤーをつないで連鎖している物、これ見よがしのワイヤーを解除したら爆発するように仕込まれた爆発物…。
「あら、シオンさんのお墨付きですね。」
「そこらの人じゃ、こんな綿密にできませんよ?どこであんなの学んだんでしょうか。各自治区の治安維持組織ではあんなのやらないでしょうし。」
少なくとも不良が使うのはせいぜい紐で結んだ手りゅう弾が関の山ですし…。
「転校生とのことでしたが、どういう学校だったのでしょうか…?」
マリーの言うとおり転校生とのことですが、そういう技術が必要な学校ってどんな治安なんでしょうか…。
「また遊びにいらしてください。今度は水着で♡」
「……まぁ、気が向いたら。」
そう言ったところで、電話が鳴った。
「あ、サクラコ様…行先変更を伝えていませんでしたね。…先に行っててください。」
正直なところ、あの人は苦手だ。
《シオン?どこにいますか?》
「すみません、帰る途中で見かけたマリーを拾っていました。」
《そうですか、それなら構いません。
「…はい。そうですね。」
今度、ブービートラップの対策法でも調べておこう。
そうして通話を終えると、マリーとハナコさんが話しているのが見えた。
(純粋なマリーにまた変な言葉を教え込もうとしていたならまた蜂の巣にしてやらないと…。)
「シオンさん、お待たせしました。」
「それではマリーちゃん、シオンさん、またお会いしましょうね。次はプールで裸の付き合…」「続けるなら、次は
マシンガンを見せつけるように出すと、「あらあら♡」と言いながら、そのまま見送られた。
なんかどこか満足気でしたが、なんだったんでしょうか…?
そんな風に考えながら、マリーとともに大聖堂まで帰った。
○今現在の設定
武器種:MG
(IMIネゲヴがモチーフ)
トリニティ総合学園2年生
部活:シスターフッド
16歳
9月18日
身長:168cm
趣味:お祈り、銃の手入れ
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