機動戦士ガンダム 地球に幽閉された英雄のRX-78(意味深)が限界突破のフルドライブ! 連邦軍上層部、アムロの夜のニュータイプ能力を恐れてハニートラップの仕込みを開始する 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「アムロ! 迎えに来たぞ! 地上組織カラバは、君のニュータイプ能力を必要としている!」
ドアを蹴破って入ってきたのは、ハヤト・コバヤシとカツだった。
――地球の重力という名の、絶対に破壊不可能な暗黒のシステム(檻)。
そこでフリーズしていたはずの僕の脳内は、カラバの登場によって爆速のソロバンを弾き始めていた。(こいつらの戦力を利用すれば、オーガスタに乗り込めるんじゃないか……っ!?)
だが、まだウジウジニートの演技を解けない僕は「嫌だ、モビルスーツなんて握れないんだよォォォッ!」とシーツを頭から被って叫んでみせた。
その無様な姿を見て、カツの怒りのリミッターが完全に限界突破する。
「そんなウジウジした言い訳ばかりして……今のあなたは、ただの最低の弱虫ですッ!!」
ドガッ!!!
カツの魂の乗ったリアル修正拳骨(物理シャットダウン)が、僕の顔面のど真ん中にクリーンヒットした!
「ぐはぁっ!?(……き、効く! 脳内ロザミィの甘えパルスでふやけきっていた僕の顔面に、現実のクソガキのリアル拳骨がジャストミートした……っ!)」
あまりの衝撃に、脳内のウジウジ演技システムが一瞬で強制終了された。
「ハヤト、こんな奴、引きずってでも連れて行くぞ!」
「ああ、急げカツ! ティターンズの追っ手が来る!
」
「(好都合だ、連れて行け! だけど)嫌だぁぁぁっ! 降ろしてくれ! 僕はまだシーツ1枚なんだよぉぉぉっ!」
カツとハヤトに両脇を抱えられ、全裸にシーツ1枚を巻き付けただけの無様な姿で、邸宅の裏庭へと猛スピードで引きずり出された。
そこに待機していたのは、ハヤトがカラバの資金を投じてチャーターした、白と青のラインが走る「民間用の小型輸送機(コミューター機)」だった。
「乗り込め、アムロ!」
シーツをはためかせ、半ケツを丸出しにした状態で、小型輸送機の狭いキャビンへと文字通り放り込まれた。
ゴォォォォォッ!!!
小型輸送機のツイン・プロペラが猛烈な爆音を上げて回転し、ティターンズの監視網の隙間を縫うようにして、北米の邸宅の滑走路から一気に大空へと離陸(テイクオフ)する。
「ハァ……ハァ……ハァ……。連れて行かれちゃった……。僕の引きこもりシェルターから、強制パージされちゃったよ……」
小型輸送機の冷たい床の上で、シーツ1枚の姿で丸くなり、ガタガタと震えていた。
長年引きこもっていたせいで、窓の外の本物の青空を見るだけで吐き気がしてくる。だが、カツのリアル修正拳骨と、僕のなかに眠るロザミィへの執着によって、メインジェネレーターの最深部には確実に新しい電流が走り始めていた。
「(あ、これ、現実の少年のリアルな怒りに直面してウジウジしつつも、脳内では『これでロザミィのいるオーガスタに近づけるぞ』とクソ不純な動機で再起動を始めている、宇宙一タチの悪い覚醒の瞬間を迎えてるアムロだ……)」
宇宙のどこかでクワトロ・バジーナ(シャア)が、「ついにアムロが飛び立ったか! だが、シーツ1枚の半ケツ状態でカツに殴られて拉致されただと!? しかも脳内がロザミア一色になっているとは……ガチで幻滅したぞアムロッ!」と、涙を流してMIPの画面を殴りつけているような精神波が伝わってくる気がするが、今の僕にはそれを気にする余裕などない。
「アムロさん、さっさと服を着てください。僕たちはこれより、ケネディ宇宙基地へ向けて移動中の超巨大輸送機『アウドムラ』と空中ドッキングを敢行します!」
カツが操縦席から冷たく言い放つ。
「アウドムラ……。そこに、僕をオーガスタへ導くルート(エゥーゴの戦力)があるというのか……」
シーツの隙間から、カラバの小型輸送機の窓の外に広がる、どこまでも青い地上の空を見つめていた。
現実の女へのトラウマを抱え、ティターンズの恐怖に怯え続けながらも、ロザミィという名の「全肯定ロリ・エネルギー」によって奇跡の再点火を果たしたウジウジ少尉。
その男が、シーツ1枚という最悪の無様なザマで、ついに『機動戦士Zガンダム』本編の過酷な戦場へと、強制的にプラグインされる瞬間だった。
小型輸送機のエンジン音が高鳴るなか、アムロ・レイの錆び付いた戦闘システムは、恐怖と屈辱、そしてこじらせたリビドーの熱量によって、二度目の起動(再起動)に向けて、ゆっくりと、しかし確実に火が灯ろうとしていた。
(……待っててくれよ、僕のロザミィ。お兄ちゃんが今、カラバの輸送機を強奪してでも、君を助けに行ってあげるからね……っ!)
――錆び付いた英雄が、最悪にこじらせた執念の火をその瞳に宿した、まさにその時。
小型輸送機のスピーカーから、ケネディ宇宙基地へのカウントダウンと、アウドムラとの合流ポイントへ突入したことを告げる激しいエンジン音がキャビン中に鳴り響いた。
檻を破った白い悪魔が、シーツ1枚のザマで次なる運命の待つ格納庫へとプラグインされるまで、あと数分。