機動戦士ガンダム 地球に幽閉された英雄のRX-78(意味深)が限界突破のフルドライブ! 連邦軍上層部、アムロの夜のニュータイプ能力を恐れてハニートラップの仕込みを開始する   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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アムロ、私のために戦って!(おねだりファンネル始動)

アウドムラの薄暗い通路。

 

格納庫でベルトーチカの襲来を受け、コバヤシ親子の前で散々ウジウジした僕は、壁に背中を預け、ズリズリと床に座り込んでいた。

 

アムロ・レイ23歳。

連邦の高級ハニートラップに磨り潰され、ララァの幻影に毎晩怒られ続けた結果、重度の機能不全に陥っていた人間のクズである。

 

そこへ、カツのレーザー・カッターの駆動音をも掻き消すような、爆速の足音が近づいてきた。

 

タッタッタッタッ!

 

「見つけたわ、アムロ・レイ!」

 

バッと顔を上げると、そこに立っていたのは、先ほど合流したばかりのカラバのエージェント、ベルトーチカ・イルマだった。

 

19歳の完璧にスタイリッシュな大人の女性のプロポーション。本来なら、連邦の性的去勢工作トラウマが発動して拒絶反応(バリア)を起こすはずのビジュアル。だが、彼女から放たれるサイコ・プレッシャーは、これまでのどの「大人の女」とも根本的に異なっていた。

 

ピキィィィィィン!

 

「(な、なんだこのプレッシャーは……!? 大人の女性特有の『裏の計算』や『嘘の誘惑』といったノイズが1ミリも感知できない……! 代わりに出力全開で流れてくるのは……『私を見て! 私の思い通りになりなさいよ!』という、おもちゃをねだる幼児並みの純度100%のわがまま(自己愛)エネルギーだ……!)」

 

「ちょっと、何よその魂の抜けたような顔は! あなた、あの一年戦争の英雄なんでしょう!? 私はあなたをカラバの最高の象徴(スター)としてティターンズと戦わせるために、命がけでここに赴任してきたのよ! なのにウジウジ引きこもっているなんて、私、絶対に許さないんだからねッ!」

 

ベルトーチカは長い脚をドタバタと踏み鳴らし、胸ぐらを掴まんとばかりに距離を詰めてきた。

 

近い。大人の女の香りが鼻腔をくすぐるが、彼女の瞳にあるのは妖艶な誘惑などではなく、完全に「お気に入りのおもちゃが不良品だった」と憤慨する子供のそれだった。

 

「や、やめてくれベルトーチカ……! 放っておいてくれ!」

 

膝を抱え、さらにウジウジと縮こまった。いつもなら、ここで大人の女は「まあ、かわいそうに……」と嘘の母性でハッキングしてくるか、「使えない男ね」と冷酷にパージしてくるかの二択だ。

 

だが、この精神的ロリ(駄々っ子属性)の新型モビルスーツは違った。

 

「何が放っておいてよ! そんなの私の知ったことじゃないわッ! あなたがクズだろうが臆病者だろうが、私はアムロ・レイという輝かしい英雄に、私のために戦ってほしいの! 私がプロデュースするステージで、ティターンズを派手に撃破して、私を最高に満足させなさいよ!」

 

おねだりファンネル、始動。

それは、大人の論理やカラバの大義名分をすべて置き去りにした、究極の「全肯定おねだり」だった。

 

「え……? 僕が情けないウジウジ男でも……君は僕を拒絶しないのか……?」

 

「あったり前じゃない! あなたが頭の中で何をしていようが、私の知ったこと? そんな小さなことより、私のお願いを聞き入れないことの方が、100倍ギルティよ! さあ、立って! 私のためにモビルスーツに乗りなさい!」

 

ピキィィィィィン!

脳内ハードディスクに、激しい火花が散った。

 

錆び付いていた僕のセンサーに、ベルトーチカの「わがまま少女ムーブ」が奇跡的な角度でドッキングを要求してきている。

 

「アムロさん」

その時、通路の角から、冷徹な暗黒オーラをまとったカツ・コバヤシが姿を現した。手にはレーザー・カッターが握られている。

 

「ベルトーチカさん、その人にあまり近づかない方がいい。そいつは今、あなたの合理的な判断力を信じられない方向に利用しようと、頭の中で禁断の回路を駆動させています。アウドムラの安全のため、今すぐそのメインアームを切断します」

 

「カ、カツ! 誤解だ! 僕は今、彼女の圧倒的な精神的エネルギーに、かつてないシステムエラーを感じていただけなんだよ!」

 

「まだ言うか、この白い悪魔。ハヤトの父さん、アムロさんが新しい来訪者に対しても例の回路のターゲティングを開始しました!」

 

通路の奥から、ハヤトが「やれ、カツ」と、完全に猜疑の鬼と化した顔で迫ってくる。

 

「ひゃあッ!? ストップ! 全員ストップしてくれ! 僕はただ、大人の女性の嘘に怯え続けた結果、ベルトーチカの理不尽な駄々っ子ムーブに、7年ぶりの『奇跡のセーフティエリア』を見出しただけなんだよぉぉぉっ!」

 

通路の床をズザザザザッと後退しながら、コバヤシ親子のガチの殺意に挟まれ、涙目で叫んだ。しかし、その時、ベルトーチカがカツの前にガシッと立ちはだかった。

 

「ちょっと! あなたたちさっきから何なのよ! このアムロは私のもの(英雄)よ! 私のために戦う男の駆動系を、勝手にプラズマカッターでパージしようとしないでくれる!? 彼の右腕は、私のために戦うために必要なのよ! 邪魔をしないでッ!」

 

「な……ッ!?」

カツの冷徹な瞳が、驚愕で丸くなった。ハヤトも「何だと……? この女、アムロの変な精神波の漏洩を全肯定しているというのか……?」と、猜疑のセンサーを激しく乱高下させている。

 

「さあ、アムロ! 行くわよ! こんなウジウジしたコバヤシ親子の重力なんて振り払って、私のためにそのモビルスーツを激しく起動させなさい!」

 

ベルトーチカが僕の腕を強引に引っ張り、自分の側へと引き寄せた。

 

ピキィィィィィン!

 

その瞬間、連邦の高級娼婦たちを前にしてはピクリともしなかった僕のメインジェネレーターが、ベルトーチカの「わがままおねだり」の電圧によって、完璧な100%の出力を取り戻そうと、内側から激しく駆動音を立て始めた。

 

「(あ……ああっ……! 起動する……! 7年ぶりに、僕のマグネット・コーティングが、大人の戦場で完全にシステム・グリーンを迎えるぞ……!?)」

 

コバヤシ親子のガチの殺意のファンネルを背中に浴びながらも、僕はベルトーチカの強烈な牽引力(トラクション)によって、ウジウジした絶望の底から、ついに再起のファースト・コンタクトを果たそうとしていたのだった――。

 

――そして、長く暗い絶望の夜が明け、アウドムラの通路に「かつてない爽快な朝」がプラグインしてくる。

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