機動戦士ガンダム 地球に幽閉された英雄のRX-78(意味深)が限界突破のフルドライブ! 連邦軍上層部、アムロの夜のニュータイプ能力を恐れてハニートラップの仕込みを開始する   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

23 / 29
さよならキッカ、こんにちはベルトーチカ!

アウドムラの廊下、朝の清々しい空気。

 

昨晩までの「ウジウジした脳内変態少尉」の殻を脱ぎ捨て、まるで新型モビルスーツに最新OSをインストールしたかのような軽快な足取りで歩いていた。

 

アムロ・レイ23歳。

一年戦争の英雄、白い悪魔、そして何より「キッカちゃんを脳内のおかずにし続けた世紀の変質者」という汚名を、ベルトーチカ・イルマという名の金髪天使(中身はわがまま少女)によって完膚なきまでに浄化された男だ。

 

7年間続いた、あの「連邦の去勢工作」と「ララァの幽霊」に支配された重苦しい日々。

昨晩、ベルトーチカの圧倒的な純粋自己愛(聖域)と熱烈なプロデュースによって、ついに「大人の女性=嘘つき」というトラウマの呪縛を完全に断ち切ったのだ。

 

「おはよう、アムロ! なによその、朝からやけに爽やかな顔は! まるで戦場に出る前の若手パイロットみたいじゃない。昨晩の私のプロデュースが、よほど気に入ったのかしら?」

 

廊下の角から、鮮やかなフライトジャケット姿のベルトーチカが現れた。

彼女が放つのは、相変わらず大人の女の狡猾さなど微塵もない、純度100%のわがまま少女のエネルギー。

 

「……おはよう、ベルトーチカ。いや、何でもない。ただ、7年ぶりに地球の重力が、少しだけ軽く感じられただけだよ」

 

素直に笑い返した。彼女のその存在自体が、僕にとっての癒やしであり、魂の救済だった。

 

その時だ。

 

「……あれ? アムロお兄ちゃん?」

 

通路の向こうから、キッカちゃんがレツを連れて歩いてきた。彼らはこれから、宇宙へ還るシャトルへと移動する準備を進めている最中だった。

彼女の背後には、相変わらずの警戒心を隠そうともしないカツの姿。

 

キッカちゃんは、僕の顔をまじまじと見つめた。

かつては、脳内の歪んだ精神波を感知しては「最低だよ……」と軽蔑の目を向けていたキッカちゃん。しかし、今の彼女の瞳には、かつてのような冷え切った嫌悪感はない。

 

「……なんか、変な匂いが消えてる。お兄ちゃんの頭の中から出てた、あのドロドロした、嫌なプレッシャーが、全然聞こえてこないよ」

 

「え……?」

 

一瞬、自分の耳を疑った。

そうか、ベルトーチカのおねだりファンネル(純度100%の自己愛)と魂のドッキングを果たしたことで、精神構造が完全に書き換わったんだ。歪んだリビドーは、完全にベルトーチカという聖域へとコンバートされたのだ。

 

「そうよ、キッカちゃん。アムロはもう、あなたを困らせる心配はないわ。これからは私のために精一杯働いてもらうんだから!」

 

ベルトーチカが腕に堂々と抱きつき、キッカちゃんに対して勝利宣言のようなポーズをとる。キッカちゃんはそれを呆れたように見つめ、そして少しだけホッとしたような溜息をついた。

 

「……ふーん、そうなんだ。ま、お兄ちゃんが落ち着いてくれたなら、それに越したことはないけどね。お父さん、もうあの男をプラズマカッターでパージしなくてもいいよ。なんか、本当に元気そうだし」

 

キッカちゃんの言葉に、背後にいたハヤトが「む……」と困惑した顔をする。

カツも、手に持っていたレーザー・カッターを静かに下ろした。

 

「……チッ。まあ、アムロさんがベルトーチカさんにベタ惚れなら、僕もこれ以上は言いません。でも、また僕の義妹を困らせるようなことをしたら、今度こそこのプラズマカッターで、あなたのその『マグネット・コーティング済みの操縦桿』を根元から切り落としますからね。覚えていてくださいよ」

 

カツは最後に捨て台詞を吐いて、これからシャトルへ乗り込むフラウたちの元へと去っていった。

ハヤトも「まったく……若いってのはいいことなのか、困ったことなのか……」と苦笑いしながら、カラバの指揮官としての職務に戻っていく。

 

ついに、僕を縛り付けていた「引きこもりの暗黒時代」との決別が、そしてコバヤシ親子からの物理的去勢の危機が、完全に完了したのだ。

 

「よかったわね、アムロ! これで、私とあなたの邪魔をするものは誰もいなくなったわ! さあ、食堂に行きましょう! 私、お腹が空いちゃった。英雄様なら、私に最高の朝食を奢るくらいの甲斐性はあるわよね?」

 

ベルトーチカが手を引き、食堂へと駆け出す。

 

宇宙へ還っていくキッカちゃんたちの未来を見送りながら、その背中に向かって、心からの安堵と感謝を覚えた。

ララァの幽霊に怒られることもない。連邦の嘘つき女たちの罠に怯えることもない。

 

地球の重力なんて、もう関係ない。

僕たちの宇宙世紀(アムロ再起編)は、最高に甘くて、最高に熱い。

それだけで、十分だ。

 

「行くよ、ベルトーチカ。君が望むなら、朝食でも、ティターンズの撃破でも、何だってやってみせる! 僕のために、ディジェでもリック・ディアスでも、最高出力で起動させてやるさ!」

 

「ふふ、いいわね! その意気よ! その自信満々な顔、英雄って感じがして、ちょっとだけ好きになってきたかも!」

 

廊下を駆け抜けるベルトーチカの金髪が、朝日に照らされて眩しく輝く。

手の中で、新しい未来へのスロットル・レバーが、今まさに力強く押し込まれたのだった――。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。