機動戦士ガンダム シャアが絶望する 幽閉先でリハビリを極めたアムロ・レイ、最初からハイパー・メガ・ランチャーを素手で弾く 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
重力の檻のなかで、男のニュータイプ能力は、ついに最悪の心理的防壁(トラウマ)を完成させようとしていた。
その男の名はアムロ・レイ。
かつてジオン公国軍のモビルスーツをマニピュレーターで引きちぎり、宇宙(そら)の全戦士から「白い悪魔」と恐れられた伝説の撃破王。
しかし。
現在の状態を冷徹にプロファイリングするならば。
フラウには見捨てられ、連邦が送り込んできた24歳プロの金髪巨乳(マリア)を圧倒的テクニックで撃破し、続くララァそっくりの褐色ハニトラ美女(セレナ・22歳)をも夜の電撃戦で昇天させたものの、その事後のウジウジ賢者タイム精神汚染波があまりにも強烈すぎて、連邦情報部の敏腕エージェントたちを次々と精神病院送りにしている孤独な16歳少尉である。
宇宙世紀0080年4月。
ウジウジ号泣サイコ・プレッシャーによって前線のエージェントを全滅させられた連邦政府は、ついに「直接的な肉欲による去勢」を諦め、より冷酷な「精神的去勢工作」へと舵を切っていた。
彼らが仕掛けてきたのは、超感覚を逆手に取った、大人の女の「嘘」を暴く心理戦。
ニュータイプ能力が過敏に反応する「人間の裏の顔」を突きつけることで、男としての自信を根底からへし折り、反連邦の神輿になるカリスマ性を完全に叩き潰す作戦だ。
その夜、寝室の自動ドアが開いた。
「初めまして、アムロ少尉。今日からあなたの生活環境維持を担当します、ステファニーです」
そこに立っていたのは、一見するとララァに生き写しの、儚げで純真そうな褐色肌の美女だった。
だが、前回のセレナとは明らかに空気が違う。
その佇まい、視線の揺らぎ、指先の動きにいたるまで、本物のララァ・スンが持っていた「どこか世俗を離れた聖女性」が完璧に再現されていた。
「……ラ、ララァなのか……? いや、違う、君はステファニーさんだ。僕を騙そうとしたって無駄だよ」
喉が鳴る。
16歳の男子の防衛本能が、激しく警告を発していた。
だが、彼女がベッドに腰掛け、細い指先でシーツに触れた瞬間、脳内コクピットの計器は一斉にエラーを起こした。
「アムロ……私には見えるわ。あなたの魂が、この狭い重力の檻で傷つき、血を流しているのが……」
その声。そのトーン。
テキサス・コロニーで、エルメスのコクピット越しに僕の精神とドッキングしたときのララァそのものだった。
僕の絶倫ジェネレーターは、その圧倒的な「ララァ純度」を前にして、強制的に出力をMAXまで引き上げられてしまう。
「ララァッ! やっぱり君なんだねッ! 僕のマグネット・コーティング(意味深)が、もう1ミリも制御できないんだよッ!」
恐怖を肉欲で塗りつぶし、ステファニーの華奢な肉体へと突撃した。
そのマニューバ(動き)は、かつてコンスコン隊のリック・ドム12機をわずか3分で全滅させたときのような、神がかり的な爆速のパージ&アタックだった。
「ひゃんっ!? アムロ、そんなに激しくされたら、私のノーマルスーツ(下着)が――」
激しい衣擦れの音。
僕の指先は、まるでガンダムのコア・ブロック・システムを0.5秒で換装するかのような超絶技巧で、ステファニーの防護装甲を次々とパージしていく。
露わになる、ララァに酷似した褐色肌のしなやかなライン。
テンションはソロモン攻略戦の熱量を遥かに超え、最高潮のドッキングモードへと移行した。
だが。
右手が彼女の最深部(コクピット)へと侵入し、まさに主砲をクランクインさせようとした、その刹那。
ピキィィィィィン!!!
脳裏を、かつてないほど鋭利なニュータイプの閃光が走り抜けた。
それは、相手の「深層心理」を100%の精度で強制受信(サイコ・ダイブ)してしまう、ニュータイプ能力の暴走だった。
見えてしまったのだ。
ステファニーの、あまりにもおぞましい「大人の嘘」の裏側が。
『(うわ、マジで引っかかったわこの童貞引きこもり。ララァの真似してちょっと囁いただけで、すぐこれだもん。キモすぎ。早くこの絶倫ウジウジ野郎のデータを取って、ボーナス貰ってこんなハズレ任務おさらばしたいわー。早くシコシコ終わらせてくんないかしら、今夜のテレビ特番に間に合わないじゃない。本当に人間のクズね、この白い悪魔)』
「……えっ……?」
動きが、完全にフリーズした。
ガンダムのジェネレーターが、出力限界を迎えて一瞬でブラックアウトしたかのように、僕のマグネット・コーティング(意味深)が急速に縮小、そして完全なる機能停止(シャットダウン)へと追い込まれた。
「あら? どうしたのアムロ? 私のサイコミュに、早くあなたのコア・ファイターをドッキングさせて……?」
ステファニーがなおもララァの演技を続け、首に腕を絡めてくる。
だが、今の僕には、彼女の笑顔の裏にある「ガチの軽蔑」と「金への執着」、そして「テレビ特番への焦り」が、ノイズなしのクリアな精神波でダイレクトに伝わってきていた。
大人の女性は、嘘をつく。
目の前で優しく微笑んでいるこの女も、連邦の命令で、僕を騙して政治的に無力化するために、心の中では僕をゴミのように見下しながら演技をしているんだ。
「ち、違う……! 違うんだ……ッ!」
僕はステファニーの手を振り払い、弾かれたようにベッドから転がり落ちた。
「アムロ少尉……?」
「来ないでくれッ! 触らないでくれぇぇぇぇッ!!」
自室の隅へ全力で後退し、全裸のまま膝を抱えてガタガタと震え始めた。
その目からは、大粒の涙がボロボロと溢れ出していた。
「君はララァじゃない! ララァの皮を被った、連邦の薄汚いエージェントだ! 嘘だ、全部嘘なんだ! 大人の女は、みんな僕を騙そうとしているんだ!
僕の純粋なリビドーを利用して、僕の精神を去勢しようとしているんだぁぁぁぁぁッ!!」
「(チッ、バレたか……! クソ、ニュータイプってこれだからめんどくさいのよ!)」
ステファニーはフンと鼻で笑うと、ベッドの上に座り直した。
その瞬間、彼女は首筋に手を当て、精密な肌色の変装用高分子フィルムを躊躇なく引き剥がした。ララァに似せていた褐色の肌とメイクが剥ぎ取られ、露わになったのは、透き通るような白い肌と、端正で冷徹な本来の顔立ち。黒髪のボブカットが美しく揺れる。
これこそが、政財界を裏から牛耳る巨大政商ルオ商会の令嬢であり、若くして冷徹な商才を発揮しつつあったステファニー・ルオの本姿だった。
彼女は冷めた手つきで衣服を整え、通信端末を取り出してコントロールルームへ連絡を入れた。
「こちらステファニー。作戦コード『偽ララァの夜の性能』は失敗。被験者のニュータイプ能力がこちらの嘘を完全に検知しました。なお、被験者は重度の精神的パニックを起こし、ガンダム(意味深)は完全に機能不全(EDモード)に陥った模様です」
「(あはは、ざまぁみろ。これで私の今月のノルマは達成ね。こんな危険組織の神輿候補、一生部屋の隅で模型でも作ってればいいのよ)」
彼女の本来の色白な脳内から漏れ出す、最後の毒液のような思考を受信し、僕の心は完全に粉々に砕け散った。
大人の女性への恐怖。
嘘にまみれた重力の檻。
シーツを頭から被り、赤子のように丸くなって泣き続けた。
この夜を境に、連邦がどんな美女を送り込もうとも、操縦桿(意味深)が二度と起立することはなくなった。
「白い悪魔は、去勢された。反連邦組織を思想的に先導する危険性も排除」
その冷徹な報告書が、連邦情報部の最深部に提出された。
己の絶望の深淵に溺れ、右手のコントロールを完全に失ったまま引きこもりを極めていく間に。
連邦政府の目論見通り、アムロ・レイという男の魂は、地球の重力の底へと完全に沈没しようとしていた。
しかし、この歪んだ去勢工作の裏には、さらなる恐るべき「大人の嘘」が隠されていた。
アムロの精神を破壊し、完全に戦意を喪失させたあの偽ララァ。連邦の情報部員を装って潜入していたあの女の正体こそ、ルオ商会のステファニー・ルオその人だったのだ。
彼女にとって、連邦から請け負ったこのハニートラップ任務は、ルオ商会の利益を拡大し、地球連邦政府の中枢へ深く食い込むための「ただのビジネス」に過ぎなかった。
アムロが部屋の隅で絶望のサイコ・プレッシャーを放ちながら号泣している間、ステファニーは速やかにルオ商会のプライベートオフィスへと戻っていた。
鮮やかな赤いチャイナドレスに身を包み、色白でスレンダーな脚をデスクの上に大胆に乗せ、タバコに火をつけながら冷徹な笑みを浮かべる。
「ふん、これが一年戦争の英雄アムロ・レイ? 噂以上のウジウジしたガキね。ちょっとララァの真似をして囁いただけで、すぐガンダム(意味深)を出力MAXにして突撃してくるなんて、滑稽極まりないわ」
16歳のアムロよりほんの少し年上の姉に過ぎない彼女のなかに、英雄を精神的に破壊したことへの罪悪感など1ミリも存在しない。
「でも、これで連邦の無能どもは『アムロは去勢された』と安心するはずよ。その隙に、あの強力なニュータイプ能力を我がルオ商会の独占投資対象として囲い込ませてもらうわ。完全に廃人にされては困るけれど、私の手のひらの上で怯えているくらいが、今後のビジネスにはちょうどいいのよ」
大人の嘘と圧倒的なリアリズム。
アムロがその過敏な超感覚でどれだけ彼女の深層心理を覗こうとも、ステファニーの心にあるのは「利益」と「野心」という、濁りのない100%の本音だけだった。
「ビジネスよ、アムロ少尉。あんたの壊れたマグネット・コーティング(意味深)が次に立ち上がるときは、私とルオ商会が全ての市場を支配するときよ」
去勢工作の張本人でありながら、同時にアムロの未来の運命を冷酷に支配する女王。ステファニー・ルオの完璧な二枚舌作戦によって、白い悪魔は知らぬ間に、ルオ商会という名のさらに巨大な檻のなかへと囲い込まれていくのだった。