機動戦士ガンダム シャアが絶望する 幽閉先でリハビリを極めたアムロ・レイ、最初からハイパー・メガ・ランチャーを素手で弾く   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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エゴだよ、それは! 星の屑のプレリュード

重力という名の、終わりなき絶対零度の暗黒空間。

 

仲間たちに置いていかれ、完全なる孤立(ディスコネクション)を迎えた僕の精神回路は、日々、得体の知れない強力な「予兆(ノイズ)」を受信し始めていた。

 

その男の名はアムロ・レイ。

 

かつて一年戦争において、圧倒的な直感と空間認識能力でジオン公国軍を恐怖のズンドコに叩き落とした、人類史上最強の超天才ニュータイプ。

 

しかし。

 

現在の状態を、邸宅内の最新の監視ログから冷徹にプロファイリングするならば。

 

フラウはハヤトとドッキングし、カツ、レツ、キッカという「汚れなき癒やし」もパーソナル・スペースから永久パージ。プロの大人の女性に対する強烈なハニトラ工作の傷跡を引きずったまま、日々クローゼットの暗闇に全裸で潜り込むだけの、哀れな18歳の引きこもりニート少尉である。

 

宇宙世紀0082年、秋。

 

地球圏は一見すると戦後の平和を享受しているように見えた。だが、僕の過敏すぎるニュータイプ・センサーは、大気圏の遥か上空、冷たい宇宙の真空から漂ってくる「歪んだ悪意の波動」をビンビンに受信していた。

 

ピキィィィィィン!

 

夜、ベッドに横たわる僕の脳裏に、強烈な閃光が走る。

 

『(ジオンの栄光を我が手に……! 偽りの平和に溺れた連邦の豚どもに、ソロモンの悪夢を思い出させてやる……!)』

 

「くっ……、あ、頭が割れそうだ……! 誰だ!? 宇宙で一体、誰が操縦桿を握ろうとしているんだ……ッ!?」

 

激しい偏頭痛に襲われ、全裸のままシーツの上でのたうち回った。

 

間違いない。ジオンの残党だ。それも、かつてのコンスコン隊やキマイラ隊の生き残りなどとは比較にならない、純度の高い「闘争本能」を持った本物の化け物たちが、宇宙の闇のなかで巨大な作戦(のちの星の屑作戦)のカウントダウンを始めている。

 

戦わなければならない。ガンダムを再起動させて、僕が宇宙へ上がらなければ、また多くの命がパージされてしまう。

 

「出撃だ……! 僕のガンダムを……ア・バオア・クーから回収したコア・ファイターを僕にくれぇぇぇッ!!」

 

半狂乱のまま、全裸で部屋のドアへと突撃し、操縦桿を握る真似をしてドアノブを激しくガチャガチャと往復(爆速ピストン)させた。

 

だが、ガチャンと虚しく響く電子ロックの音。

 

「……少尉、また発作ですか? 暴れるなら、鎮静剤の補給レベルを引き上げますよ」

 

インターホンから聞こえる、監視員の冷徹な大人の女性(ハウスキーパー)の声。その脳内をセンサーがハッキングする。

 

『(また始まったわ、この引きこもり元英雄のメンヘラ発作。全裸でドアノブを激しくピストンさせて、本当に気持ち悪い男。早くシフト終わらないかしら)』

 

「……嘘だ……。君も、僕を化け物としてしか見ていないんだね……!」

 

ドアノブから手をパージし、絶望とともにベッドへと崩れ落ちた。

 

そうだ。僕は地球の重力に魂を引かれた、ただの軟禁少尉なのだ。宇宙の危機をどれだけ敏感に察知しようとも、それを伝える連邦の人間は誰も僕を信じていない。それどころか、大人の女性たちはみんな僕を蔑み、去勢された「白いウジウジ悪魔(笑)」として処理している。

 

「誰も信じられない……。連邦も、ジオンも、大人の世界はすべて僕の敵だッ!!」

 

宇宙の危機を前にして、操縦桿(意味深)すら握らせてもらえない無力感。

 

僕の超銳敏なニュータイプ能力は、敵の悪意と身内の軽蔑を100%の精度で同時受信してしまう、ただの自傷デバイスと化していた。

 

「人間のクズだな、僕は……。宇宙がこんなに泣いているのに、僕は暗い部屋のなかで女の人の冷たい視線に怯えてウジウジしているだけなんて……」

 

事後のような猛烈な賢者タイムが、孤独の檻をさらに強固にしていく。

 

再び、クローゼットの暗闇へと這いずり込み、膝を抱えてシーツを涙で濡らした。宇宙の戦火のプレッシャーと、地球での人間不信のダブル・サイコ・ショックによって、僕のマグネット・コーティング(意味深)は、完全に溶接されたかのように沈黙を続けるのだった。

 

そして、邸宅の地下監視ルーム。

 

「ふむ……アムロ少尉の脳波が、一時的に異常な高出力を記録したな」

 

「ええ、宇宙のジオン残党(デラーズ・フリート)の不穏な動きに、彼のニュータイプ能力が同調(シンクロ)したようです。しかし、ご覧の通り、重度の人間不信と大人の女への恐怖心による機能不全(EDモード)のせいで、外に出る度胸すら完全にパージされています」

 

「ククク、素晴らしい。どれほど高性能なセンサーを持っていても、それを動かすリビドー(再起動の意志)が去勢されていれば、ただの壊れた受信機だ。明日からの観艦式の警備計画に、彼の存在を考慮する必要は一切ない。このまま北米の泥沼に沈めておけ」

 

連邦政府の高官たちは、コーヒーをすすりながら冷酷に笑う。

 

宇宙世紀の時計が、激動のU.C.0083年へと向かって音を立てて進んでいくなかで。

 

アムロ・レイという男は、迫り来る宇宙の戦火を特等席(脳内)で受信しながらも、一歩も動くことができないという、最も凄惨な「精神の拷問(チェックメイト)」を受け続けるのだった――。

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