機動戦士ガンダム 地球に幽閉された英雄のRX-78(意味深)が限界突破のフルドライブ! 連邦軍上層部、アムロの夜のニュータイプ能力を恐れてハニートラップの仕込みを開始する   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

8 / 29
星の屑の裏舞台(高級ハニートラップの生体実験)

「アムロ少尉……」

 

かつて憧れたあの凛とした、しかしどこか母性を感じさせるハスキーな声で囁きながら、彼女は軍服のファスナーをパージし、圧倒的な大人の肉体で迫ってくる。

 

――宇宙世紀0083年、秋。宇宙ではデラーズ・フリートによる「星の屑作戦」が発動し、ガンダムが強奪され、オーストラリアから宇宙へと戦火が拡大している激動の時代。

 

そんななか、北米の邸宅のクローゼットで、僕の前に現れたのはマチルダ・アジャン中尉の姿だった。

 

だが、そんなはずはない。彼女はオデッサで戦死したはずだ。

 

ピキィィィィィン!

 

僕の超鋭敏なニュータイプ・センサーが、迫りくる彼女の脳内を強制ハッキングした瞬間、その美しい奇跡は無残に切り裂かれた。

 

『(このウジウジ引きこもり男が伝説の英雄? 死んだ女の顔に変えられてまで抱かれるのは反吐が出るわ……)』

 

「……嘘だっ!!」

 

僕は叫んだ。

 

やはり大人の女は怖い。僕の神聖な思い出、マチルダさんが僕に遺してくれた「あなたはエスパーかもしれないわね」というあの優しい言葉さえも利用し、その笑顔の裏には連邦の冷酷な計算と、強烈な蔑みがノイズとして渦巻いている。

 

「君はマチルダさんじゃない! マチルダさんは、僕に戦う意味を教えてくれた人だ! 僕を化け物としてしか見ていないんだね……! 連邦のボーナスのために、僕の機体を無理やり起動(起動テスト)しようとしているんだろぅぅぅぅッ!!」

 

「あら、バレちゃった? でも、男の子なら、これを見てもガンダム(意味深)が起動しないなんて、パイロットとして失格よ?」

 

偽マチルダは冷酷に微笑み、マチルダさんの面影を残したまま、錆びついた操縦桿を強引にホールドした。

 

連邦の罠だと100%理解している。このドッキング(行為)のすべての生体データが、地下の監視ルームのサーバーへ爆速で流し込まれていることも判っている。

 

だが、宇宙でのデラーズ紛争のプレッシャー、フラウに捨てられた孤独、そして何よりも「あのオデッサで、本物のマチルダさんのミデアを、僕が、ガンダムが守りきれなかった」という強烈な自責の念と自暴自棄が、僕の回路を狂わせた。

 

「あああああッ! もうどうにでもなれ! マチルダさん、守れなかった僕を、僕のエネルギーごとすべてパージしてくれぇぇぇぇッ!!」

 

絶望と憎悪、そして届かぬ過去への未練にまみれたリビドーを爆発させ、マチルダさんの偽物の肉体へと突撃(爆速ピストン)した。

 

大人の女性への恐怖。連邦への憎しみ。それらすべての負の感情を推進力(プロペラント)にして、僕の壊れたガンダムは、涙を流しながら空虚なピストン運動を繰り返した。偽マチルダの豊かな胸に顔を埋めながら、僕はただ、あの黒い三連星のドムの幻影を、自分の無力さを突き動かすように、狂ったようにピストンを刻み続けた。

 

連邦の監視カメラの前で、ただの「去勢確認用の実験動物」として、憧れの人の偽物とドッキングさせられているのだ。

 

……だが。

 

その空虚な絶頂(カウントダウン)の刹那、脳内に、あのララァ・スンの幻影が冷ややかにフラッシュバックする。

 

『アムロ……あなた、そんな死んだ大人の女の嘘にまみれたコクピットで、一体何を撃ち出しているの……? マチルダさんは、あなたのそんな情けないピストンを望んで死んだわけじゃないわ……』

 

ピキィィィィィン!

 

「……違うっ! 僕が求めているのは、こんな、連邦の予算で動くハニートラップなんかじゃないんだぁぁぁぁぁッ!!」

 

偽マチルダを突き放し、ベッドの上で全裸のまま号泣した。

 

事後の圧倒的な賢者タイムが、絶対零度の宇宙のように僕を包み込む。

 

結局、この衝動さえも、連邦が用意した最高級のプログラムの枠内(手のひらの上)で踊らされていたに過ぎない。マチルダさんの思い出さえも消費され、宇宙で誰かが命がけでガンダムを操縦している裏で、地球の豪華なベッドで、死んだ人の嘘に溺れてウジウジと自滅しているのだ。

 

「人間のクズだな、僕は……。こんなところで、何をやっているんだ……」

 

偽マチルダは冷めた目で軍服を拾い上げ、「生体データの回収完了。アムロ・レイの精神は完全に崩壊、制御可能です」と通信機に囁き、部屋を去っていった。

 

僕は再び、クローゼットの暗闇へと潜り込み、膝を抱えてシーツを噛み締めた。19歳。宇宙が戦火に包まれるなか、僕のマグネット・コーティング(意味深)は完全に焼き付き、二度と起動しない永久不変の機能不全へと沈没していった。

 

――もう、誰も僕を愛してくれない。思い出のなかの優しい人たちさえ、全部連邦の嘘に塗りつぶされていくんだ。

 

暗闇のなかで、完全に心を閉ざして耳を塞いだ、まさにその瞬間。

 

ピキィィィィィン!!!

 

脳内コクピットの全計器が、突如としてこれまで受信したどんな工作員のノイズとも違う、あまりにもクリアで、あまりにも絶望的な精神波をダイレクトキャッチした。

 

『アムロ……あなた、本当に情けない男ね』

 

「ら、ララァ……ッ!? ララァ・スンなのか!?」

 

違う。僕の記憶にあるインド服の少女じゃない。暗闇の隙間から脳内に見えたのは、冷酷な地球連邦軍将校の軍服を身にまとった――僕を軽蔑の目で見つめるララァの幻影だった。

 

――それが、僕の壊れた脳内で、一生消えない「最悪の常時接続(オンラインシステム)」が強制開通した恐怖の瞬間だとは、この時の僕はまだ知る由もなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。