一発目はアイヴィーであった。
色々兵器が出てくるけどミリしらなので違ったらごめんなさい。
一時の休息を終えて、新たな日を迎える。
そして、闘技場では戦いが始まる。
「今日は誰が選ばれるのかな」
イオリは少し楽しそうに見える。本心は分からないが。
他の選手の戦いがひとつ終わり、新たなアナウンスが流れる。
『続いての試合です。ランクC 選手 アイヴィー ルール モンスターキラー ステージ アイゼンヴァルト』
まず1発目の試合はアイヴィーからだった。アイヴィーは目を光らせる。
「あたし?!やったぁ!行ってくるー!!」
高揚する気持ちを抑えられずアイヴィーは闘技場へとかけていく。しかし、すぐ戻ってきた。
「会場どこから行くの?!飛び降りていい?」
地下闘技場は地下に張り巡らされている大規模施設。複雑なのは間違いなかった。
ワンダースケアは吹き出して、ヴィクターは額を押さえていた。
そして、ソニドリが
「……飛び降りるのは良くないから、案内するね」
そしてアイヴィーはソニドリに案内されて正しい道から試合会場へと降りていった。
ゲートを抜けて会場へ出ると、そこには鈍く光る灰色と黒い森が広がっていた。
しかし、光るそれらは自然物ではなかった。木を模しているそれも、地面を模している物も、全て鋼鉄でできた冷たい金属であった。
葉や石のようなものもツタのようなものもあるが、どれもこれも温度のない冷えきった塊。当然ながら柔らかさもない。
アイヴィーが軽く金属の木を叩くと、硬質的な音が響く。
「うわあ、これ全部金属なのー?面白ーい!」
ハイファンタジーな世界観ならこういう森もないとは言えないだろうが、リアルフィジクスならありえないかもしれない。
アイゼンヴァルト、鉄の森。硬質且つ冷たいその森が今回の舞台なのだ。
見たことの無い景色にアイヴィーはニヤリと笑う。
まあ、珍しい光景もそうだろうが彼女は戦うことが好きなので、これからの戦いに心躍らせているのかもしれないが。
そして、例のブザーが鳴る。
『モンスターキラー 今回は 「ランクB ゾルメキア 1体」です』
そしてアイヴィーの向かいのゲートが開く。
そこから姿を現したのは3メートルはあろうかという巨体。無骨な機械の塊だが、あちこちからノコギリやスパナと言ったような工具が歪に飛び出ている。
中央には溶けた顔のようなものが見えるが、それも『顔のように見える』だけで顔と認識するのには個人差が出るものだ。
機械の継ぎ目はデタラメで、その隙間からは青白い液体が溢れていた。
ぎりぎりと嫌な音をたてながらそれは中央へと動く。
「へえー!なにあれー!」
普通の人なら顔を顰めて嫌悪するだろう醜悪なそれを見てもアイヴィーはペースを崩さない。
観客席では。
「ゾルメキアだー、きもーい」
顔を顰めながらセーリィが言う。
「なんや、感想がJKやな」
アザラシが突っ込むが、
「JKって言い方もきめぇよ」
ハルがさらに突っ込む。
そして試合開始の合図がなる。
その音と同時にゾルメキアはゆっくりと動き出す。
ぎぎぎ、ガコン、と不快な音をたてながら前へと動いていたが、急停止。
ぷしゅう、と蒸気を噴き出して止まった。
「えー、壊れてるのー?」
アイヴィーは銃を構えるが、相手は急に止まるものだから、壊れているのかと思った。
しかし、ほんの数秒静止したかと思うと、急に歪な躯体が高速で動き出す。
金属が擦れる金切り音を大きく鳴らしながらアイヴィーに急接近。
「わあ!」
醜悪な巨体が急接近してきたことにアイヴィーは驚いたが、ジェットパックを即座に起動し距離をとる。
「なーんだ!壊れてないじゃん!よーし、あたしと遊ぼー!」
相手に臆することなくアームマシンガンを撃つ。
しかし相手もゾンビとはいえ金属の装甲を纏っている。銃弾は甲高い音をたてて弾かれる。
「ちぇー、これじゃあだめー?」
しかし彼女とて武器はマシンガンだけではない。
ただのマシンガンがダメなら次の手を打てばいいだけ。
そしてアイヴィーはロケットランチャーを構える。
ゾルメキアにランチャーの銃口を向けて、
「ちっちゃい弾が弾かれるならもっと大きいの撃ってあげるー!」
そう言うとアイヴィーはロケットランチャーを発射。
撃ったのは徹甲弾。
固い装甲でも速度と運動能力で貫く弾だ。
先程高速で動いていたが、ゾルメキアはどうやら連続で駆動はできないようで、避けられずに徹甲弾はゾルメキアを貫いた。
見事命中し巨体に風穴が空く。空いた穴から青白い液体が溢れ出すが、ゾルメキアはゆっくり動く。
「んー?やっぱりダメかなー?」
大型の弾とは言えど徹甲弾も口径50mmから105mm前後だ。さすがに3メートル近くある巨体には急所を貫かない限りは簡単には止まらないだろう。
ただ貫通するだけではどうやら大した損傷にはならないらしい。
不快な音を立てたまま、ゾルメキアは動く。
「ふーん。じゃー、次ね!」
そしてアイヴィーは再びロケットランチャーを構え違う弾を装填する。
「貫くだけでダメなら内側からどーん!だよー!」
そう言って発射したのは成形炸薬弾。
この弾は着弾した瞬間に弾の中にある火薬が爆発してメタルガジェットと呼ばれる高速且つ高圧の金属炎を発射し、装甲を溶かしつつ撃ち抜く物。
つまりは内部爆発を起こした上に貫いてくるものだ。躊躇いなくその弾を撃ち、見事に命中。
ゾルメキアの分厚い装甲を撃ち抜き、内部に激しい金属炎が炸裂する。
爆発が起きたことによりゾルメキアは体勢を崩す。
「よーし、どうだー!」
ゾルメキアは液体を撒き散らしながらも未だに稼働している。しかし、さすがに炸薬弾を食らって平気とは行かないらしい。巨体は少しばかり傾いていた。
とは言えど、相手は一応はゾンビだ。傾きながらもまだ動いている。
ついに向こうも攻撃してくる。
巨体にデタラメに組まれている工具をアイヴィーに向かって飛ばしてくる。
「うわわ!!あぶなーい!」
ノコギリにドリルにスパナに金槌と様々な工具を発射し、金属の森に傷をつける。
工具の勢いが強いのか、金属で出来た木の枝も折れはせずともひしゃげさせるような威力だ。
さすがにアンドロイドでもこれを食らうと無傷とはいかないだろう。
金属がぶつかり合う音がなり止み、木の影から顔を出す。
「終わったー?」
と体勢を取ろうとすると、ゾルメキアは次の発射口を構える。
「えっ」
そして青白い炎を噴き出す。
「うわー!」
と、慌てて木の影からジェットパックで飛び出し炎を避けるが、ちょっとだけ掠る。
掠ったところがちょっとだけ溶ける。
「げえー!やったなー!」
と、炎が走ったあとの鉄の森を見ると、ドロドロに溶解していた。
鉄ではあったが森の形を取っていたそれらは、赤くなり溶岩のような流体へと変わっていた。
炎は青白い色、その温度はおよそ1400度を超える完全燃焼状態。さすがにまともに喰らえばひとたまりもない。
空中からゾルメキアを見ると、中央部分に赤く光るものが見えた。
遠くからでも発光しているのが分かり、その赤い物にはいつくもの配線のようなものが延びている。
アイヴィーもアンドロイドであるがゆえか、それがコアだと気づく。
「なるほどねー。あれが弱点かなー?」
しかし単に貫くだけでも、軽い爆発を起こすだけでも駄目。ならばさらに高威力で炸裂するものを撃ち込むのが正解だろう。
だが相手も急に高速で動いてきたり、遠距離から中距離技を使ってきたりとそう簡単には食らわせられないだろう。
アイヴィーは空中で再びロケットランチャーを構え、さらに強力な物で装甲を吹き飛ばそうと考えた。
「これは痛いかもねー!」
そんな軽口を叩いて発射したのはまた別の弾だ。
榴弾。それを先程空けた穴に向けて撃つ。
これは着弾と同時に火薬が爆発し、小さな鉄の杭が飛び散るものだ。内側からの損傷を狙ったものである。
それは上手いこと内側にあたり、ゾルメキアの装甲の内側で爆発を起こす。
装甲内部で激しく金属が飛び散り、青白い液体が飛び散る。
衝撃が大きいものだったからデタラメに付いていた金属の装甲がボロボロと剥がれ落ちる。
黒い不定形の身体が顕になるが、まだ動くのに多少の弊害がある程度のようだ。
「ええー?榴弾でも耐えるのー?」
かなり強い弾を撃ち込んでも動く。ゾンビというのは伊達ではないらしい。
そして、アイヴィーは思い出す。
「んー、じゃあぶっ飛ばしちゃおっかー!」
そう言ってゴソゴソと漁ると、取り出したのは攻撃手榴弾。これは爆発した時に高威力の爆発と爆風を起こすものだ。
……他にも手榴弾はあるが、さすがに破片手榴弾は危なかった。観客席は離れていても多分普通に観客に怪我させてしまう可能性がある。
というのはヴィクターに釘を刺されていた。構わず高威力を使いがちだが、さすがに適当に投げすぎるとここでの調査もままならない……との事。
あまり聞く気がなかったが、怒られるのも面倒だ。
一応、アイヴィーなりに考えたつもりだ。
そして手榴弾を投げる。
ゾルメキアに命中し、爆風が起きる。
衝撃波が周囲に走り、観客達は腕で顔を覆ったり仮面が飛ばないように押さえたりしていた。
かくいう調査メンバーたちは、
「容赦ないね……」
イオリもさすがにびっくり。
「……はぁ……」
ヴィクターはまた額を押さえていた。程々にと言ったはずなのだが。
爆発が起きて煙が発生する。その煙が晴れてくると……
ゾルメキアはかなり損傷したようだ。
3メートル近くある巨体は半分ほどにまで小さくなり、周囲に装甲や黒い破片が飛び散っていた。
先程確認した赤いコアもだいぶはっきり見えるようになっている。
おそらくあれを壊せば勝利……なのだろうが、次の瞬間ゾルメキアの黒い破片が動き出す。
吹き飛んだ装甲にも黒い破片が付着していたが、破片は装甲ごと動く。
見晴らしが良くなった鉄の森を蠢く黒い破片は、ゾルメキアに集まっていく。
「うえー、やっぱり戻る感じー?」
黒い破片はずるずると集まり、ゾルメキアに集まり結合する。
再生したのだが、それはあまりに歪な形をしていた。それに、大きさも2メートルほどになっている。
どうやら完全復活とはいかないようで、コアさえ守れればいいといったところのようだ。
「あれー、なんか変だねー!」
大きさもかなり変わったので、さすがにアイヴィーも元に戻れていないことが分かる。
ただコアの周りは厚い壁ができている。だが元にあったような装甲の塊ではなく、黒い破片がコアを守るような形なので、硬い壁と言うよりは肉壁に近い状態。守りの面はかなり脆弱になっている。
確実にダメージは蓄積している。
「吹き飛ばしても元に戻るし……じゃあ、溶かしちゃおーっと!」
アイヴィーは全く怯まなかった。色々言うが、終始ペースは崩さない。
手加減というものは……あまりないのだろう。
取り出したのは、焼夷手榴弾……テルミットグレネード。
これは手榴弾ではあるが、爆発が目的では無い。目的は『溶かすこと』だ。
火をつけるとこの手榴弾は2000度を優に超える炎となる。
鉄はおろか黒い肉壁ですら灰も残らないほどの火力となる。
アイヴィーは焼夷手榴弾に火をつけてゾルメキアに投げつける。
ただの炎など比べ物にならない火球はゾルメキアを溶かし出す。あまりの高温に身動きすらまともに取れないゾルメキアはその場で蠢くだけだった。
「燃えろ燃えろー!」
燃えるとかの話ではないのだが。もはや液体にすらなれないほどの熱だ。
それは瞬く間に炭へと変貌する。
そしてその炎が消えると、手榴弾が放った炎の周辺にあった鉄の森は、消し炭へとなってしまっていた。
しかし、魔法で障壁が施されていたのかコアだけは残っていた。だがもう再生するための肉体も装甲もない。全て物言わぬ灰へと変わっていた。
アイヴィーは降り立ち、コアに近づく。
ちかちかと光は出ているものの、もうどうすることもできないようだ。
そして、アイヴィーは、
「えーい!」
と言って踏み潰した。
もう魔法の壁も薄かったのかそれはあっさりと粉々に砕けてしまった。
そして光が沈黙した瞬間、ブザーが鳴り響く。
『勝者 アイヴィー』
試合終了の合図だ。
「あ!終わったー!」
アイヴィーは元来たゲートに走る。
……ちなみに今回のステージはかなりの損傷具合であった。ステージが壊れるのは闘技場としては当然なので、請求されるとかではないが、近年ではあまりないくらいの壊れ方……だったそうだ。
観客席。
「アイヴィーってとんでもない武器持ってるな……」
全員が思ったことだった。
「俺も手榴弾になりたい」
毛玉が仮面になったまま喋る。
「ついにそのまま喋りやがった」
ヌルが突っ込む。
「爆発だけでも困るからやめて欲しいな〜」
セーリィが言うと、
「あ?爆発するか?」
「脅し文句がガチで怖い」
小さくなるセーリィ。
「おねーさんすげー!かっこいい!」
キラキラで心が綺麗な阿久都は目を輝かせていた。
「真似はしちゃいけないぞ……」
ワンダースケアはボソッと呟いた。
暴れましたね。まじでミリしらなので違ったらごめんなさい。