第2飛行作戦群のはるか後方。
そこに2機のC-2輸送機と、数機のF-15が飛行していた。これが第1飛行作戦群の全体である。C-2輸送機にはそれぞれ第1空挺団第1普通科大隊と第2普通科大隊が搭乗し、人工島を制圧するべくその時を待っている。
おおとりからの通信を受信した団本部は、第1大隊と第2大隊に命令を下す。
『総員、降下準備』
それを聞いた空挺団員は、座席から立ち上がってそれぞれ装備の確認を行う。
その時になれば、第1飛行作戦群はルーマンの中心まで10kmを切っていた。
「降下開始2分前! 総員、時計合わせ! マルハチヒトマルまで残り30秒!」
そういって団員は腕時計を見て、時刻を合わせる。
「3、2、1、ゼロ! 時計合わせ終了! 互いに装備の最終確認!」
あちこちからバディの装備を確認し合う声が聞こえてくる。
「降下開始30秒前!」
C-2の貨物扉が開く。
もうすぐ空に飛び込む時間だ。団員たちの顔が緊張する。
今回の相手は動く島だ。島や大地は動かないのは普通であり不変であるから空挺出来るものだが、そうはいかない可能性もある。要するにドデカい船に対してあまり横移動できないパラシュートで降り立つようなものなのだ。
しかし、自分たちは空挺団の一員である。第1空挺団のモットーは前動続行・精鋭無比。どんな犠牲を払っても任務を遂行し、たとえ最後の一人になったとしても作戦を成功させる。その精神を持った団員が、空挺団に所属出来るのだ。
「降下開始10秒前!」
いよいよその時が迫る。
「降下開始!」
「いけいけいけいけ!」
その言葉とともに、団員たちが飛び出していく。
飛び出すと同時にパラシュートが開き、ルーマンの上空に緑色の傘がいくつも開く。
今の所、島は動いていないようだ。先に対空砲の類を破壊していたこともあり、敵からの攻撃は一切ない。
安全に降下できると団員たちが確信した時だった。
突如島の地面の一部が複数隆起して、蓋が開く。そこには機銃のようなものがあった。そしてそれを降下している空挺団員に向けて射撃を開始したのだ。
空挺兵に対して機銃を使った攻撃を行うのは、ジュネーブ条約などでは禁止されていない。つまり合法な行為なのだ。
つまり、このままでは空挺団員が攻撃に曝されてしまう。特に降下中は無防備な状態になる。本来ならこのような場所に降下しないのだが、しかしこうなってしまった以上はどうしようもない。
だが、そこに割って入る機体が3機。
『正当防衛行使!』
『攻撃だー!』
『壊しちゃうよ~』
梅香隊の3人である。機銃掃射による対地攻撃を開始したのだ。
機銃程度なら、少々的が小さい対空砲のようなものである。航空機に搭載されている機銃や機関砲で十分破壊可能だ。
『よく狙って……撃つ!』
『鉛玉を食らえー!』
『うちに攻撃してもいいよ~』
出現した10基ほどの機銃があっという間に破壊されていく。それを見た空挺団員はちょっと安心するだろう。
それと同時に、海上で動くものが見える。水陸機動団が乗った複数のラバーボートだ。見慣れた緩やかな砂浜は存在しないが、着岸して上陸していく。
ようやく空挺団も真っ黒な地面に降り立つ。
パラシュートを回収し、水陸機動団と共に素早く地上施設へと向かう。
地上施設はすでに情報として上がっていたハンガー数個と、管制塔のような物しかない。おまけ程度の貧弱な湾港施設もある。
水陸機動団が管制塔のような建物に入っていく。各部屋をクリアしていきながら、階段を上がる。その間、どの部屋にも人の姿はなかった。
管制室のあるフロアに到着し、扉を破壊して中に入る。中はひどくガランとしていて、実際に使われたような形跡はない。置いてある機材も、古びたラジオのような物や前時代的なオシロスコープのようなレーダー機器のみだ。しかも埃をかぶっている。
一方で空挺団はハンガーを制圧する。しかしハンガーには何もなく、ただ空間が広がっていた。
「……クリア。ルーマンの主要建造物を制圧したと団本部に報告せよ」
こうして、わずか1時間足らずでルーマンの制圧に成功した。
空挺団本部を経由して、防対本に情報が入る。
「ふぅ。これで田子作戦の
これをもって、田子作戦の主要な任務は成功となった。