メガゾーン23 ― ガーランド計画 ― 作:tell M.G.
ガーランド開発計画に関わった者達、そしてMZ23を巡る戦いの裏側を描いた物語です。
中川真二によるガーランド奪取事件から始まり、PartⅠ〜PartⅡ終盤までの出来事へ繋がっていきます。
本編では描かれなかった兵士達、開発者達、そしてB.D.最終決戦へ至るまでの群像劇となります。
巨大宇宙船の内部に再現された都市――東京。
その地下深く、人の目に触れることのない領域で、ある計画が進められていた。
兵器開発。
それは、本来この船を統括する巨大コンピューター、バハムートの意志に反する行為だった。
だが人類は、バハムートの中枢から“断片的なデータ”を引き抜くことに成功する。
完全ではない設計図。
欠落だらけの理論。
それでもなお――それは未来の兵器の雛形だった。
そのデータを基に開発された可変機動兵器、ガーランド。
1号機は、辛うじて完成にこぎ着けたものの、テスト
パイロットによって地上へと持ち出されてしまう。
だが、その影で。
1号機の完成に至るまで、いくつもの試作機が生み出されていた。
当時の主力機であるハーガンは、トランスポーターとの連携を前提とした機体であり、単独での長距離高速移動には致命的な制約を抱えていた。
軍が求めたのは――
単独で完結する機体。
変形機構を有し、長距離を高速で移動し、なおかつ高い戦闘能力を持つ次世代兵器。
しかしバハムートは、それを許さない。
引き出せるのは、あくまで断片。
そこに記されていたのは、
変形機構を持つ機体群、そして火力と機動性に特化した非変形機。
技術は存在する。
だが“完成形”には届かない。
その不完全さこそが、やがて――
二つの異なる試作機を生み出すことになる。
その不完全な設計データを基に、開発は二つの方向へと分岐していく。
一つは――変形機構をあえて排し、純粋な機動性能を極限まで追求する計画。
完成後の運動性能を検証するために製造されたその機体は、あらゆる制御補助を排除されていた。
操作は完全なマニュアル。コンピューターによる補正は存在せず、リミッターすら設けられていない。
人間の技量が、そのまま機体性能に直結する。
結果として、それは常軌を逸したピーキーな機体となった。
だが――
その代償と引き換えに得られた機動力は、当時の主力機ハーガンを大きく上回るものだった。
単純比較で約1.6倍。既存の運用思想を覆す数値。
さらに機体の大型化により、内蔵型の固定兵装の搭載にも成功する。
しかし、その性能を引き出せる者は、ほとんど存在しなかった。
マニュアル操作では制御すら困難。
それにより自動的にリミッターが掛かる思考伝達装置の導入が行われたが、それでもなお扱える人間は限られる。
扱える者にとっては最強。
扱えぬ者にとってはただの暴走兵器。
その危うい存在こそが、後に―
―ヴィルデ・ザウへと繋がる原型となる。
そしてもう一つは――既存機ハーガンをベースに、単独変形機構の実現を目指す計画。
トランスポーターに依存しない、完全自立型の可変機。
上半身の構造に関しては、比較的早い段階で成果が得られた。
腕部の収納機構は安定し、変形プロセスの一部は完成を見る。
だが問題は下半身にあった。
脚部の収納機構は構造的に破綻し、解決には至らない。
結果として、脚部のみを分離・脱着するという、極めて中途半端な形での試作機が完成する。
さらに内部スペースの制約は深刻であり、固定兵装の搭載は断念せざるを得なかった。
戦闘能力を削り、機構を優先する――歪な選択。
それでも開発は続けられた。
幾度もの改良と再設計。
失敗の積み重ねの末に、ついに一つの到達点へと辿り着く。
単体での完全変形機構を実現した機体――ガーランド1号機。
思考伝達装置を標準装備とし、扱いやすさは向上。
だがその代償として、出力は抑えられ、固定兵装も削ぎ落とされた。
それでもなお。
高速移動性能。
単独変形機構。
当初、軍が掲げた最優先事項を満たすことに成功したその機体は――
不完全ながらも、“完成”と判断されるに至る。