メガゾーン23 ― ガーランド計画 ― 作:tell M.G.
光一は、シックスへと歩み寄る。
格納状態のそれは、バイク形態で静かに佇んでいた。
無駄のないフレーム。
過剰な機構を排した、洗練されたシルエット。
「……行くか」
軽く息を吐き――
マニューバクラフトに跨る。
グリップを握る。
足をステップへ。
身体を預けた瞬間、機体との一体感が伝わる。
「……起動」
低い駆動音。
システムが立ち上がる。
各部、正常。
出力、安定。
ノイズも、遅延もない。
「……いいな」
思わず漏れる。
ゼロのような暴力的な応答ではない。
だが――
思考に対して、適切な速度で応答する。
速すぎず、遅すぎず。
“人間に合わせている”機体。
それがはっきりと分かる。
⸻
「榊原、出られるか」
通信。
「問題ない。シックス、出る」
カタパルトへと進む。
機体がロックされる。
視界の先に広がる戦場。
デザルグの機影。
「……やるか」
射出。
マニューバクラフト形態のまま、シックスは戦場へと飛び出した。
僚機は――
ハーガン6機、フラッガ9機。
フラッガは輸送機として機能し、それぞれハーガンを固定。
編隊を維持したまま前進している。
その下を――
ガーランドシックスが、高速で地表を滑るように走る。
「……悪くない配置だな」
上空と地上。
二層構成の進軍。
その時。
「レーダーに反応」
光一の視界に、光点が浮かび上がる。
「敵機……3?」
まだ、姿は見えない。
だが――
次の瞬間。
光点が、増える。
「……増えた?」
カウントが跳ね上がる。
「6……?」
分裂。
いや――
「分離した……?」
一つの反応が、複数に分かれたような動き。
未知の挙動。
そのまま――
「ハーガン隊、降下開始!」
通信が飛ぶ。
フラッガが高度を落とし、ハーガン部隊を投下しようとした、
その瞬間。
閃光。
「――っ!?」
一機のフラッガが、爆発する。
何もない空間から、突然撃ち抜かれたかのように。
「どこからだ!?」
警戒が一気に跳ね上がる。
ハーガン隊は即座に降下し、そのまま地上へ展開。
着地と同時に散開する。
フラッガ隊は上昇。
周囲の索敵を強化する。
だが――
再び、閃光。
もう一機のフラッガが爆散する。
「くそっ、見えない……!」
その時だった。
「――敵機、捕捉!」
一機のパイロットが叫ぶ。
空間が歪むようにして、機影が現れる。
三角形。
滑らかな外殻。
前回と同様の――デザルグ。
だが、それだけではない。
その後方。
新たな影。
人型。
三機。
無機質な三角機とは異なる、明確な“兵器の形”。
「……新型か」
光一は低く呟く。
直感が告げていた。
――あれは、危険だ。
ハーガン隊が一斉に照準を合わせる。
地上から。
そして――
光一もまた、シックスを加速させる。
狙いは同じ。
人型兵器。
「……まずは、あいつらだ」
引き金に指をかける。
戦場の空気が、一変する。