銃にも青春にも勝てなさそうなんだが?   作:死にそうだけど頑張る人

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体は闘争を求める

 

「おお、結構入りますね」

 

『ホシノ、ホシノ、拒否、継続、拒否』

 

「モノくん!?死にかけてない!?」

 

厨二臭い名前をつけられて早一時間、ユメがなんとなくで初対面の時の謎の防御手段について聞いた事によりモノの調査が始まっていた。

 

「いやはや、貴方が私の撃った銃弾を何処かにやった時から薄々思っていましたが・・・便利ですね。」

 

そう、開幕早々モノがやった融解してからの吸収と言う行動について追及された時に何となくで異物を排出する感覚で銃弾を腕部の先に再生成してしまったのだ。

 

そこでホシノが頭をフル回転させてバックパックのように運用できないか?となって今に至る訳である。

 

あの、人権とかガン無視なんすけど良いんすかこれ?

 

体の中に軽トラ一台が丸々入っている様な感覚に吐き気が止まらないが此処で一気に放出すればどうなるのか分からないので無闇に出す事もできない。

処刑?処刑なのか?

 

「それじゃあ今度は出してみましょうか」

 

っしゃキタコレこんなもんすぐに吐き出してやるわ!!

 

そうして出てきたのは銃、銃弾、マガジンやサイトなどの分解されたパーツ類、挙げ句の果てにはペットボトル、バック、ゴミ袋などのばらつきのある物だった。

 

「これ、明らかに体の体積以上の物が出てるよね?」

 

「何かしらの事業に使えそうですね」

 

『拒否、拒否、我、苦痛』

 

そんなの始めたら3日で死んでしまいますやめてください

 

「ホ、ホシノちゃん?流石に可哀想かなぁ〜って思うんだけど?」

 

「何言ってるんですか先輩、うちに無職を養う程の余裕はありませんよ」

 

『余裕、何故、?』

 

そう聞くと2人は「しくった・・・」みたいな顔をしていたが悩む素振りを見せつつもユメが腹を括ったのか口を開く。

 

「あのね、モノくん・・・言い辛いんだけど、この学校って今ちょぉ〜っと借金をしていてですね・・・」

 

・・・は?借金?

 

『何故、何故、何故』

 

「いやね?昔の人達がね?このアビドス地域全体の復興の為に少しだけね?少しだけお金をお借りしていてですね・・・」

 

よ、良かった、少しだけなんだな?

 

『額、疑問、金銭、額』

 

「・・・たです。」

 

『?』

 

「・・・10、桁です。」

 

へ?いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・おく?

 

『虚偽、ユメ、我、憤怒、拒否、額、申請』

 

「ほんと?怒らない?」

 

あたふたしながら様子を伺うユメに呆れたのか横からホシノが口を開いた。

 

「ほぼ10億ですよ」

 

『億、十億』

 

へー、物価とかぶっ壊れてる可能性とかないの?

ほら、ジンバブエとかさその辺りみたいにさ?ね?

 

「そこ、今『物価壊れてるのか?』って思いましたね?」

 

キッショ、何で分かるんだよ

 

「貴方に金銭の価値が分かるのか分かりませんが例えるのならば・・・」

 

うーん、と頭を捻って考えていたが何か具体的な例えが思いついたらしく冷静な顔でその言葉を言い放った。

 

「貴方が何処かの研究機関に目を付けられた時の懸賞金くらいにはなりそうです。」

 

『ユメ、救援、要求、我、恐怖』

 

「大丈夫だよモノくん、私が守ってあげるからね〜」

 

おーよしよしと慰めるユメの間に「何茶番やってるんですか!」と人の心を失ったホシノが割り込んで来た。お前を殺す()

 

「あ、そういえばモノくんは私の体の中に戻れるじゃん?」

 

『肯定』

 

えっ何唐突に何でしょうか?

 

「人の体に入るのってどんな感じがするの?」

 

どんな感じと言われましても・・・

 

『夢』

 

「夢?」

 

『肯定、浮遊、喪失、朦朧』

 

「・・・ホシノちゃん」

 

「夢を見ているみたいな感覚って事でしょうね」

 

『流石、優秀、ホシノ』

 

お前は俺だ(発作)

 

「は?何言ってるんですか?撃ちますよ?」

 

『ユメ、後輩、無情』

 

「あれ?でもどちらかと言うとモノくんが1番最後に入ったから後輩なんじゃ?」

 

『納得』

 

気に食わんがまあ良いでしょう、道理には叶ってるんだ。

気に食わんが

 

「え、私コイツの先輩になるんですか?」

 

「私とお揃いだね!!」

 

『先輩、後輩、優遇、所望』

 

「叩き潰しますよ」

 

『ユメ、ホシノ、冗談、無効』

 

「あはは・・・まあ、否定できないかも」

 

「え」

 

ざまぁ!!そんな無愛想だからフォローが来ねえんだよ!!

 

まあ、当然の事だが拳は飛んで来た。

加減しろバカ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば貴方、戦えるんですか?」

 

『不明、予測、戦闘、可能』

 

「あー、確かにちょくちょく危なそうな形に変形したりしてたもんね」

 

えー?でも流石に銃弾とか食らったら不味そうだけどなぁ

 

「どんな事が貴方はできるんですか?」

 

手をこねくり回して形成しているとホシノが横から呼び掛ける。

 

『切断、打撃、刺突、常用、目処』

 

「ふぅん?結構使えそうじゃないですか?」

 

腕を刃物の様に薄く伸ばしたり逆に圧縮してそのまま鈍器に、破裂させる様に膨張をすれば飛び散った体で刺突ぐらいにはなるだろう。

 

「どうです?一戦やりませんか?」

 

は?何だお前頭キヴォトスか?

野蛮人?野蛮人の集まりなの?キヴォトスって大規模な兵士養成国とかなの?

 

「うん、モノくんも少しは慣れておいた方が良いと思うよ?」

 

宿主のユメが言うならほなしゃーないか・・・

 

『了解、対戦、懇願』

 

「ボッコボコにしてあげるので覚悟して下さいね」

 

おぅしてめぇこの野郎ぶっ潰す。

 

そんなこんなで校庭に出た訳だがここで一つ、問題が発覚した。

 

「ひぃんっ」

 

『ユメ、確認、怠慢、注意』

 

ズジャァッ!

 

「あっごめっ」

 

『・・・』

 

「あ、あれ?盾がどっか消えちゃった!?」

 

『ユメ、所持、我、盾』

 

この宿主、鈍感すぎるッ・・・!!

何も無い所で転ぶわ振り回した盾で肩から顔を出してた自分が叩き潰されるわ、挙げ句の果てにはその振り回した盾を見失うと来た。

よわい()

 

「・・・あの、大丈夫ですか?」

 

『無理、ユメ、脆弱、驚愕』

 

「まあ、その、はい」

 

はいじゃないが

 

あーあ、折角俺の試運転が出来ると思ったんだけどなぁ

体から分離とか出来ねぇのかな?

いや?試してみる価値はあるか?

 

ここで一つ

宿主との体の分離についてだ。

寄生という状況

モノ自身の発想の転換

そして何よりもその体に備わっている機能を本能で理解している事

それは想像よりも馬鹿に出来ない物である。

 

ハリガネムシと言う生き物を聞いたことはないだろうか

よくカマキリの腹を水に浸けるとズルズルと出てくる細い紐の様な生き物だ。

蚊やコオロギからカマキリやカマドウマ、そこから魚等と宿主を転々とするが最後には寄生をやめて単独で行動する。

寄生生物は一生宿主に寄生して暮らすものだけでは無く、あくまでも中間地点、成長する為の拠点の様な活用するのも存在するのだ。

 

寄り道をしながら話したが結論はシンプルだ

 

ユメの体から黒い液体がドロドロと溢れ出し背後で形を成す。

 

不定形、不気味、冒涜的、その様な言葉が相応しい生命がその場で佇む。

 

『形成、身体、宿主、不在』

 

『生命、活動、時間、束縛』

 

「っ、随分と不気味な体ですね?」

 

宿主との分離は可能だ。

だが、所詮は寄生しなければ生きる事すら出来ない生き物。

感覚でこの状態で居られるのは時間制限があると理解した。

 

『時間、貴重、戦闘、所望』

 

「・・・なんか、気味悪がって損した気分です。」

 

ホシノが銃をこちらに向けて構える。

 

既に撃たれてもある程度は平気と言う事もありモノに恐怖心は殆ど無かった。

 

ズザッ

 

ホシノが一直線にこちらに向かって滑り込んで来た。

 

明らかな不意打ちだが不思議とモノの思考は冷静に最適解を割り出す

 

体に銃口を向けた瞬間に足元から黒い触手が銃身に絡み付く。

 

「なっ!?」

 

正面では無く下から、思考外からの行動により行動が遅れて銃身が思い切り下げられた。

 

『理解、重量、力点、脆弱』

 

ノイズ混じりの機械の様な声がホシノの耳に届く。

 

『攻撃、開始』

 

瞬間、

 

ギャリギャリギャリギャリギャリッ!!

 

頭上から聞こえる耳を劈く金属音が聞こえると同時に反射で体を後方に捩った。

 

あれは、何だ

 

胴体から突き出た触手には大量の刃が不揃いに生え揃い各々がお互いを削り合う様に蠢いていた。

 

『回避、予想外、計算、修正』

 

頭部と思われる部分がこちらを向きながら無機質な単語を連ねる。

 

最早ホシノの頭からは模擬戦闘の4文字は抜け切っていた。

抜けた文字の代わりと言わんばかりに居座った死の一文字が異様に騒ぐ。

 

『二波、開始』

 

先程よりも高速で蠢く触手が金切音を出しながら足元目掛けて高速で射出される。

 

そう、()()したのだ。

 

高速で飛来する殺意に気を取られて安易な回避をホシノは選択してしまった。

 

シュ

 

布を擦る様な音が鳴った直後に腕に鋭い痛みがじわりと広がる。

 

やられた、回避の隙を狩られるとは思わなかった。

 

所詮しぶといだけの不思議生物だと侮っていたが間違っていた。

 

自身の後ろに佇む黒色を見て再度事実を確認する。

 

コイツは、怪物(兵器)

 

ユメ先輩は呑気にモノだなんて名前を付けていたが、コイツはそんな代物じゃない。

 

自然界でここまでの物が生まれるとは到底思わない。

 

誰が、何の目的で、どのようにしてこの様な存在を生み出したのかを考えざるを得ない。

 

ー脳裏に、過ぎるー

 

「っ、違う、接点が無さすぎる。」

 

怪しい奴が1人居たがモノ自身、嘘を付いた様には見えなかった。

 

『ホシノ、質問』

 

「は、はい?」

 

『双方、勝利、条件、如何、?』

 

その質問で我に帰る。

 

そうだ、これは模擬戦闘なんだ。

熱くなった思考を冷やして冷静になる。

 

「不味くなったら降参辺りが妥当ですかね」

 

『了解』

 

さあ、よく見ろ、小鳥遊ホシノ

落ち着いて相手の行動を観察してその後先を潰す様に動け。

 

しかし、モノは一切動かない。

 

唯、渦を巻く頭部をこちらに向けるだけ

 

得体の知れない不気味さ、攻撃では無く見られているだけ

 

その異質さがホシノの余裕を少しづつ蝕む。

 

だが、最初に動いたのはモノだった。

 

無音でゆっくりと迫ってくる。

 

何だ?何故あんなに遅いんだ?

先程の後ろに回り込まれた時の速さはどうなっているんだ?

 

物は試しだ、こちらから仕掛けて様子を伺おう

 

即座に射撃体制に移ったホシノにモノの動きが一瞬止まる。

 

銃声が鳴りホシノは大事を取って回避の準備をする。

 

ジュルジュルッ!!

 

激しい水音と共に銃弾ごと飲み込む勢いで体を伸ばして元居た位置に覆い被さる様にして広がった。

 

ビンゴだ。

 

カウンター前提の行動を見逃す程ホシノは甘くは無い。

 

ズガァッ!!

 

地面に跡が残る程の強烈な散弾がモノの体に叩き込まれた。

 

そして、

 

             !!』

 

内臓が震える程の金切音を上げてその場でじたばたと大暴れを始めたのだ。

 

ホシノの中ではこれが降参の合図なのでは?と言う考えが浮かび上がり思わず問い掛ける。

 

「もしかして、降参ですか?」

 

その言葉を聞いてモノがぶんぶんと頭部を縦に振る。

 

「・・・ふぅ、疲れた」

 

『ホシノ、強敵、参考』

 

「はいはい、お役に立てて光栄ですよ・・・ユメ先輩?」

 

あ、そう言えばといった感じでお互いにユメへと視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅぇっぷ、ちょっと・・・吐きそう・・・」

 

『ホシノ、危機、ユメ、危機』

 

「頼みますからここで吐かないでくださいね!?」

 

バチクソに酔ったユメは2時間寝込んだ。

 

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