メガゾーン23 中川真二「7G -最初の接触-」   作:tell M.G.

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メガゾーン23 PartⅠ以前。
ガーランド開発計画に関わった者達、そしてMZ23を巡る戦いの裏側を描いた物語です。
中川真二によるガーランド奪取事件から始まり、PartⅠ〜PartⅡ終盤までの出来事へ繋がっていきます。
本編では描かれなかった兵士達、開発者達、そしてB.D.最終決戦へ至るまでの群像劇となります。


第1話「選ばれた理由」

中川真二は、いつもと変わらぬ朝を迎えていた。

 

勤務先である夢叶重工――軍事兵器を製造・販売する大手企業。

 

その社屋に足を踏み入れた瞬間から、彼の日常はすでに“非日常”の中にあるはずだった。

だが、それを意識することはほとんどない。

 

デスクに着き、いつものように業務を始めようとした、その時だった。

 

「中川くん、部長がお呼びだ。第三会議室に行ってくれ」

 

課長の何気ない一言。

しかし、その声にはわずかな緊張が混じっていた。

 

「……分かりました」

 

真二は軽く返事をし、席を立つ。

理由は分からない。ただ、妙な胸騒ぎだけが残った。

 

 

第三会議室。

 

無機質な空間の中央に座る部長は、真二が入室するのを確認すると、すぐに口を開いた。

 

「君に任せたい仕事がある」

 

前置きはなかった。

 

「明日、新型の“バイク”が搬入される。極秘兵器扱いだ。

一刻も早く完成に漕ぎ着けたい。

 そこで君には、明日から最優先で起動テストを行ってもらう」

 

「……バイク、ですか?」

 

思わず聞き返す。

 

「そうだ。詳細は現場で説明する。ただし――」

 

部長の視線が鋭くなる。

 

「今回の件は他言無用だ。社内であってもだ。肝に命じてくれ」

 

その言葉には、命令以上の重みがあった。

 

「……了解しました」

 

納得はできない。

だが、拒否する理由もなかった。

 

なぜ“バイク”が極秘兵器なのか。

なぜ自分なのか。

 

答えは、どこにもなかった。

 

 

翌日。

 

真二は社内の奥―

―限られた人間しか立ち入ることのできないブロックへと足を踏み入れた。

 

重いドアを開けた瞬間、彼の視界に飛び込んできたもの。

 

それは、もはや“バイク”とは呼び難い存在だった。

 

サンドベージュに塗装された巨大な車体。

通常のバイクとは明らかに異なるフォルム。

後部には、左右に張り出したボックス状のユニット。

 

そして、クランクケースに刻まれた文字。

 

――バハムート。

 

「バハムート製のガーランドセブンだよ」

 

背後から声がした。

 

振り向くと、開発スタッフらしき男が立っている。

 

「これを地下のテストコースで走らせてくれ。

 普通のバイクとは少し違うが……まあ、それは後で説明する」

 

そう言って差し出されたのは、一つのゴーグル。

 

「これを装着して運転してくれ。低速から最高速まで、きっちり頼む」

 

「……分かりました」

 

真二は戸惑いを隠しきれないまま、ガーランドへと近づく。

 

跨った瞬間、違和感が走る。

 

シートやハンドルの感覚は、確かに“バイク”だ。

だが、それ以外すべてが異質だった。

 

重い。大きい。

そして――どこか“生きている”ような気配。

 

キーをひねる。

 

――フォー……

 

機械的な起動音が、低く響いた。

エンジンが目を覚ます。

 

ギアを入れ、スロットルをわずかに回す。

次の瞬間、機体は滑るように前へ出た。

 

「……っ!」

 

トルクが違う。

異常なまでにスムーズで、力強い加速。

 

地下のテストコースはオーバル状。

真二は周回を重ねながら、速度を引き上げていく。

 

100……200……300……

 

メーターが示した数値は、320キロ。

 

(あり得ない……)

 

もはや“バイク”の領域ではない。

 

だが、不思議と恐怖はなかった。

むしろ――馴染んでいく。

 

まるで、この機体が自分を“知っている”かのように。

 

 

テストを終え、減速。

ピットへ戻ろうとした、その瞬間だった。

 

――ビーッ、ピーッ。

 

突然、メーター周辺から警告音が鳴り響く。

 

「!?」

 

真二はブレーキをかけ、機体を停止させる。

計器を確認するが、原因は分からない。

 

その時。

 

「――7Gのオペレーター、応答願います」

 

声がした。

 

無線ではない。

外からでもない。

直接、頭の中に響くような感覚。

 

「……誰だ?」

 

理解が追いつかない。

 

ただ一つ確かなのは――

 

この“ガーランド”は、ただの兵器ではないということだった。

 

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