メガゾーン23 中川真二「7G -最初の接触-」 作:tell M.G.
朝。
夢叶重工・地下ブロック。
「……おかしいな」
オペレーターの一人が、眉をひそめた。
「どうした?」
「ガーランドのステータスが……応答していません」
「……何だと?」
モニターには“待機状態”の表示。
だが――
通信ログが途切れている。
「最終更新は?」
「昨夜、22時17分……それ以降、更新なしです」
空気が一変する。
「現物確認しろ」
短い指示。
数分後――
「……保管区画、空です!」
「ガーランドが消えた……?」
低く呟く男。
「ログは“正常”を維持したまま、実体だけが消失しています」
「偽装か……?」
「外部からのハッキングの形跡はありません」
わずかな沈黙。
「……内部の人間だな」
男は静かに断じた。
「直ちに回収に移れ。B.D.に連絡を取れ」
⸻
その頃。
真二はガーランドを走らせていた。
夜を越え、人気の少ないルートを選びながら。
バックミラーに映るのは、静かな街。
(……追われてる気配はない……か……?)
それでも油断はできない。
だが――
どこか違和感があった。
(……妙に静かすぎる……)
追跡されていてもおかしくない状況。
それなのに、何も来ない。
何も“起きない”。
⸻
夢叶重工・管制室。
「位置情報が不安定です!」
「何だと?」
画面上の座標が、不規則に揺れる。
「誤差が拡大……信号が飛んでいます」
「ジャミングか?」
「不明です。外部干渉の痕跡は……確認できません」
「だが発信は生きているな?」
「はい。断続的ですが……完全には消えていません」
男は静かに頷いた。
「なら追える」
画面を見据える。
「ノイズを前提に解析しろ。進行方向を割り出せ」
⸻
走行中の真二。
速度を上げる。
(……行ける……このまま……)
理由は分からない。
だが――
なぜか“逃げ切れている”という感覚があった。
(……何だ……?)
胸の奥に、奇妙な引っかかり。
守られているような。
導かれているような。
そんな感覚。
「……気のせいか……」
小さく呟き、アクセルを開いた。
⸻
管制室。
「進行ルート、収束してきました」
「どこだ?」
「市街地南部……このままいけば――」
オペレーターが表示を拡大する。
「特定地点に向かっています」
男はわずかに口元を歪めた。
「……待ち合わせか」
⸻
「B.D.、出ます」
通信が入る。
「現地で待機しろ。接触の瞬間を押さえる」
「了解」
⸻
夜。
指定された駐車場周辺。
一台の車が静かにエンジンを止めた。
ライトが消える。
闇に溶け込むように、その存在は消える。
⸻
少し離れた道路。
真二は速度を落とした。
(……ここだ……)
迷いはない。
ガーランドが、静かに滑り込む。
胸の奥の違和感は、まだ消えない。
(……本当に……追われてないのか……?)
振り返る。
が、何もいない。
ただの夜が広がっている。
「……考えすぎか」
そう言い聞かせる。
だが――
その感覚だけが、わずかに残った。
⸻
駐車場の入口。
サンドベージュの機体が、ゆっくりと中へ入っていく。
その様子を――
離れた場所から、じっと見つめる影があった。
B.Dは、BMWの中でタバコに火を付けた。
そして、駐車場に入っていく一台の赤とシルバーのバイクを見つめていた。