メガゾーン23 中川真二「7G -最初の接触-」   作:tell M.G.

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最終話「残響」

真二は、駐車場の片隅で待っていた。

ガーランドの傍らに立ち、夜の静寂の中に身を置く。

来ると信じていた。

 

根拠はない。だが――確信だけがあった。

 

やがて

遠くから、微かに響いてくるエキゾーストノート。

 

静寂を裂くように、その音は次第に大きくなる。

 

(……来た……)

 

駐車場の入口に、ライトが灯る。

闇を切り裂くような白い光。

思わず、真二は顔を覆った。

そして――

 

その光の中から現れたのは、一台のバイク。

乗っている男の姿を見た瞬間。

 

「来た!」

 

胸の奥で何かが弾ける。

ライトがわずかに逸れ、男の顔が浮かび上がる。

 

矢作省吾だ。

 

懐かしさと現実感が、一気に押し寄せる。

真二は一歩踏み出し、声を張った。

 

「おい、オレだよ」

 

「真二かあ!」

 

省吾は驚きと懐かしさを滲ませながら応じる。

その視線が、すぐに横へと移った。

 

ガーランド。

 

異様な存在感を放つ機体。

 

「な、なんだ?

でっけー。

どこの試作車だ?

スズキじゃないみたいだし、ホンダとも違うし」

 

省吾の言葉に、真二はゆっくりと口を開く。

 

「ヤマハでもカワサキでも無い。

15000回転、時速320キロ、

スピードはF1だよ。

しかもこの作りはスポーツマシンじゃない」

 

一歩、ガーランドに近づく。

その言葉には、確信があった。

省吾は目を見開く。

 

「ほんとうかよー!

こいつどっから持って来たんだ?」

 

真二は、短く息を吐いた。

 

「社の実験走行室から2日前、

オレがテストライダーに選ばれた。

お前なら、

わかるだろ?」

 

言葉を続けようとする。

だが――

 

何から話せばいいのか、分からない。

このマシンの正体。

軍事兵器であること。

人類に迫る危機。

 

そして――イヴの存在。

 

頭の中では全てが繋がっているのに、言葉にならない。

 

わずかな沈黙。

 

その間に、省吾は動いていた。

ガーランドに近づき、しゃがみ込む。

興味を抑えきれないように、機体を覗き込む。

 

「……」

 

視線が、機構の一部に止まる。

そして、ぽつりと呟いた。

 

「バハモードか」

 

真二は即座に言う。

 

「バハムートだよ」

 

その言葉が、夜の空気に溶けた

――その瞬間。

 

「――中川くん、」

 

背後から、低い声が響いた。

二人の動きが止まる。

 

ゆっくりと振り向く間もなく。

張り詰めた空気が、駐車場を支配する。

 

いつの間にか――

 

逃げ場は、消えていた。

 

 

 

 

――そうか。

 

やっと、分かった気がする。

 

あの時の声。

 

あの感覚。

 

全部、繋がっていたんだな。

 

……

 

省吾。

 

お前なら、きっと――

 

……

 

悪いな。

 

全部、押し付ける形になっちまった。

 

でも。

 

あいつは、お前を選んだ。

 

オレじゃない。

 

最初から――

 

……

 

ガーランド。

 

あれは、ただのマシンじゃない。

 

だから――

 

頼む。

 

走ってくれ。

 

あいつと一緒に。

 

……

 

これでいい。

 

これで――

 

 

(無音)

 

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