プロデューサーってボカロPだったんですか!?   作:日影虎

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第7話 弱点

 夢明「ふぅ……どうでした!?」

 P「……………」

 夢明「プロデューサーさん?聞こえてますー?」

 P「……あぁ、いや、すみません。ちょっと考えていました」

 夢明「やっぱり私、下手でした……?」

 P「いえ、それは決してあり得ません。星有さんは歌が上手いです。これは紛れもない事実です。誰が聴いても上手いと言うでしょうね」

 夢明「えっ、急に褒める……ちょっと照れますね……!」

 P「正直侮っていました。カラオケでこれほど高得点を連発できる人は初めて見ました」

 夢明「お、おぉ……!」

 P「コホン! ただ、弱点もはっきりわかりました」

 夢明「一体なんですか!?」キーン

 P「~~~! 喋る時はマイクから口を離してください」

 夢明「あっ!ごめんなさい……!」

 ─────キーン

 P「……フゥ。ではまず、その弱点を自覚してもらいましょうか」

 P「私が選曲するのでそれを歌ってみてください」

 夢明「わかりました!」

 

 ───────────

 

 夢明「うーん……これ聴いたことある曲ですけど、あんまり覚えてなかったです」

 P「歌ってみてどうでした?」

 夢明「自分でも歌ってて下手だなって思いました」

 P「というと?」

 夢明「音程が外れてたり、歌詞が頭に入ってなくて声が小さくなったり、なんか気持ちが悪い感じです」

 P「なるほど」

 P「では、次にこの曲の歌詞を読み込んでください」

 夢明「? わかりました」

 

 夢明「…………これ、卒業時期に聞く曲なので、てっきり出会いと別れのような曲だと思ってましたけど、何というかすごく二人の愛に溢れた曲なんですね」

 P「そうですね。それを理解した上で歌ってみてください」

 夢明「はい!」

 

 ──────────

 

 夢明「プロデューサーが言いたいこと何となくわかりました」

 P「言ってみてください」

 夢明「私、ただ歌ってただけでした。歌詞の意味とかよく分かってなくて、ただ音程と雰囲気をなぞっていただけです。感情が乗っていなかった」

 P「はい。それが星有さんの弱点です。歌モノマネとしては完璧ですが、言ってしまえば曲への理解度が足りていない。これでは人の心は揺さぶられない」

 夢明「ガーン……。私って、マシーンだったんだ……」

 P「そこまでは言ってませんが……まぁ、自覚していただけたようでなによりです」

 夢明「うぅ……。でも、これで弱点克服していけます!感情を込めて歌えるようにしていけば良いんですよね!?」

 P「…………いえ、それは待ってください」

 夢明「え?違うんですか?」

 P「………………」

 夢明「プロデューサー?」

 P「………………なるほど」

 夢明「?」

 P「星有さん」

 夢明「はい……?」

  P「一番得意なボカロ曲をもう一度歌っていただけませんか?」

 夢明「良いですけど……」

 P「いつも通りで構いません。お願いします」

 夢明「……? わかりました」

 

 ─────────────

 

 夢明「これ音がピタッとハマる感じが気持ちいいんですよねぇ〜。どうでした?」

 P「はい。良かったです」

 夢明「む、なんか反応が鈍いですね……」

 P「一旦この話は置いておきましょう」

 P「それよりも今後プロデュースする上で、確認しておくべきことがあります」

 夢明「なんですか?」

 P「星有さんはどういうアイドルになりたいのですか?」

 夢明「どういう……うーん……」

 夢明「……マジメに、聞いてもらえますか?」

 P「はい」

 夢明「説明が難しいけど……私が辛いとき、悲しいとき、側には初音ミクがいました。その、さっき歌った曲です」

 夢明「七角星(ななつのほし)Pの『未明明星』。何回も、何回も聴きました」

 P「さっきの曲ですか」

 夢明「はい。もちろん楽しいとき、嬉しいときもいました。ボカロきっかけで仲良くなった友達とは、高校も一緒で、今でも仲良しです」

 夢明「その、つまり私はそういうアイドルになりたいんです。わかりますか?」

 夢明「ボカロの曲って本当にいっぱいあって、作り手によっていろんな表情を見せるんです。聴く人それぞれに寄り添える曲がそこにはあって、でもそれは人によって様々で……」

 夢明「……へへっ。ちょっと上手く伝わってないかもしれないですけど、私はファンにとっての初音ミクでありたいんです」

 P「……………わかりました」

 夢明「プロデューサー……」

 P「なりましょう」

 夢明「えっ?」

 P「初音ミクに」

 夢明「え、ええっ!?」

 P「活かしましょう。そのマシーンのように正確な歌声を」

 夢明「言い方がなんかやだ〜!」

 

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