メガゾーン23 元ハーガン部隊 ― 三人で戦う理由 ― 作:tell M.G.
「行って下さい!町川さん!」
叫ぶと同時に、町川が駆け出した。
それを庇うように、杉山は前へ出る。
敵機の注意を引きつける。
「こっちだ……!」
レーザーオーブガンを発射。
光弾が敵機を掠める——だが、決定打にはならない。
「くそっ……当たれよ!」
思わず声が荒れる。
敵機の機動は異常だった。
翻弄される。
回避が精一杯。
残弾も、もうわずかしかない。
(なんなんだよ……!)
焦りが、思考を鈍らせていく。
動きが遅れる。
それでも、気力だけで機体を動かす。
紙一重で回避を繰り返す。
⸻
町川と黒崎。
二人とは以前から同じチームだった。
頼れる先輩たち。
幾つもの作戦を共に成功させてきた。
だが——忘れられない任務がある。
「赤いバイクの確保。ライダーの拘束」
なぜ一般人相手に——当時は理解できなかった。
だが後に知る。
それが、完成第一号のガーランド。
そしてライダーは——矢作省吾。
「あの時は無茶な任務だったですよね」
「結果は大失敗だけどな」
三人で笑いながら反省した、あの時の記憶。
——皮肉だ。
今、自分はその後継機に乗って戦っている。
⸻
(……ダメだ)
思考が、追いつかない。
その瞬間——
衝撃。
右肩に直撃を受けた。
「ぐっ……!」
右腕が、沈黙する。
機能停止。
バランスが崩れる。
「やられる……!」
恐怖が、全身を縛りつけた。
動けない。
敵機が照準を定める。
——終わる。
そう思った、その瞬間。
敵機の装甲が、爆発した。
「杉山ー!無事か?!」
通信が割り込む。
「黒崎さん……?!」
反射的に右を見る。
そこにあったのは——
見慣れたトランスポーター。
そして、その荷台。
銃を構えた機体。
——ハーガン。
思考が止まる。
「杉山、下がれ!」
町川の声で我に返る。
「は、はい!」
慌てて後退を開始。
左腕にレーザーオーブガンを持ち替える距離を取る。
ただ——見守ることしかできない。
⸻
ハーガンがトランスポーターから離脱する。
重い音を立て、地上へ降り立つ。
敵機の視線が切り替わる。
ターゲットは——ハーガン。
ハーガンがライフルを構える。
発射。
「未調整だから照準がズレる……」
町川の声が、わずかに聞こえた。
それでも——
撃つ。
修正しながら、撃ち続ける。
敵の攻撃を読み、回避する。
地上で、食らいつくように戦う。
敵機が上昇する。
その瞬間。
町川は——狙っていた。
上昇に合わせ、ライフルを放つ。
命中。
「当たった……!」
敵機が被弾し、バランスを崩す。
落ちる——
そう思った、次の瞬間。
「……っ!」
声にならない。
敵機が——変形した。
人型へ。
そして、そのまま——
覆い被さるように突っ込んでくる。
腕を前に突き出し、照準を定める。
町川が、動揺する。
一瞬の停止。
その隙を——敵は逃さない。
銃弾が、ハーガンを貫いた。
機体が震え、沈黙する。
「町川さん!
当たれー!」
杉山は叫び左腕のライフルを人型へ放つ。
そして
同時に敵機も被弾していた。
だが——
その一撃を最後に、距離を取り——撤退していく。
静寂。
戦場に、わずかな残響だけが残った