メガゾーン23 元ハーガン部隊 ― 三人で戦う理由 ―   作:tell M.G.

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第3話 「残されたもの」

「町川ー!」

 

「町川さん!」

 

黒崎と杉山の叫びが響く。

 

沈黙したハーガンは、その場に崩れ落ちていた。

返答はない。

 

トランスポーターとガーランドが、ゆっくりとハーガンへと近づく。

 

黒崎はトランスポーターから飛び降り、駆け出した。

 

「おい、町川……!」

 

ハッチに手をかける。

強引に解放する。

 

中にいたのは——ぐったりと項垂れる町川の姿。

 

「おい!町川!起きろ!おい!」

 

揺さぶる。

反応は——

 

一瞬の沈黙のあと。

 

「……痛い……うるさい……」

 

かすれた声。

 

「生きてるよ……大丈夫だ……」

 

町川が、ゆっくりと顔を上げた。

その言葉に——

 

黒崎と杉山は同時に息を吐いた。

張り詰めていたものが、一気にほどける。

 

「……ったく、紛らわしいんだよ」

 

黒崎がぼやく。

杉山は、その場に座り込んだ。

 

「よかった……本当に……」

 

三人は、生き残った。

それだけは確かだった。

だが——

 

任務は、失敗。

敵は取り逃がした。

 

杉山が、ぽつりと口を開く。

 

「……前にやった特殊任務、覚えてます?」

 

黒崎が顔を向ける。

 

「赤いバイクの確保……失敗したやつです」

 

杉山は苦笑した。

 

「あの時も失敗して……今回も失敗で……怒られますかね?」

 

少しの沈黙。

 

そして——

黒崎が肩をすくめる。

 

「まあな。生き残った以上、怒られるのも仕事のうちだ」

 

町川が小さく笑う。

 

「怒られて嫌な思いできるのも……生きてる証ってやつだろ」

 

杉山も、つられて笑った。

 

「……ですね」

 

黒崎が立ち上がる。

 

「さて——帰るか」

 

トランスポーターを振り返る。

 

「……でもこれで帰投して大丈夫なのか?」

 

町川がニヤッとする。

 

「バレなきゃ問題ないだろ」

 

杉山が吹き出した。

 

「それ、一番ダメなやつじゃないですか」

 

三人の間に、久しぶりの軽い空気が流れる。

 

三人は、それぞれの機体と共に帰路についた。

 

ボロボロの機体。

満身創痍の身体。

 

そして——

 

確かに残った、生きているという実感。

 

 

——かつて。

 

三人で一機を動かしていた時代があった。

 

未完成の兵器と、未熟な自分たち。

 

それでも——三人で戦っていた。

 

時代は変わり、

 

兵器は進化し、一人で戦えるようになった。

 

それでも。

 

三人でなければ、生き残れなかった戦場がある。

 

 

ハーガンは、再び倉庫へと戻された。

 

修理されることもなく、記録だけが残る。

 

「旧式兵器」

 

その一言で片付けられた存在。

 

だが——

 

あの戦場で確かに、自分たちはそれに救われた。

 

 

やがて。

 

メガゾーンは崩壊する。

 

その混乱の中で、多くの兵器が失われた。

 

ガーランドも。

 

そして——ハーガンも。

 

 

だが、ひとつの可能性がある。

 

かつて「バハムート」と呼ばれた中枢。

 

その深部に、回収されることもなく残された機体。

 

もし、そこに——

 

ハーガンが眠っているとしたら。

 

 

それはもう、誰にも使われることのない兵器。

 

だが——

 

確かに存在した、“三人で戦うための機体”。

 

 

その記憶だけが、静かに残り続ける。

 

 

 

 

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