メガゾーン23 ヴィルデ・ザウ ―FX艦隊壊滅―   作:tell M.G.

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第2話 配属

榊原光一は、地下基地宇宙港に立っていた。

 

「……おぉ」

 

思わず声が漏れる。

 

視線の先――巨大な白い艦体が、静かに係留されていた。

 

新造戦艦――FX。

 

コの字型に広がる艦影は、従来艦とは比較にならない威圧感を放っている。

 

その周囲には複数の護衛艦が接続され、無数の作業灯が暗い宇宙港を照らしていた。

 

コンテナ搬入。

燃料ライン接続。

そしてマニューバスレイブの移送作業。

 

整備員達が怒号を飛ばしながら走り回っている。

 

戦争の最前線へ向かう巨大兵器群が、今まさに息を吹き込まれていた。

 

「これが……FX……」

 

光一は思わず見惚れる。

 

噂では、従来艦を遥かに超える戦力を搭載した最新鋭艦らしい。

 

兵士達は次々とFXへ乗り込んでいく。

 

光一も当然、自分もあの艦へ配属されるものだと思っていた。

 

だが――。

 

「機動兵器隊は第三護衛艦へ移動! 急げ!」

 

整備員の怒鳴り声が宇宙港へ響く。

 

「……え?」

 

渡された識別票を見直す。

 

そこに記されていたのは、FXではない別艦の番号だった。

 

周囲を見ると、ヴィルデ・ザウやゼロゼロハーガンの搭乗員達も、次々とFX脇の護衛艦へ誘導されている。

 

どうやら自分達“ロボット乗り”は、そちら側らしい。

 

少しだけ肩透かしを食らった気分のまま、光一は列へ加わった。

 

護衛艦内部へ入った瞬間、金属と機械油の匂いが鼻を突く。

 

内部構造はFXほど華々しくはない。

通路は狭く、壁面には無数の配線やパイプが剥き出しになっている。

 

居住区と呼ばれる区画も、最低限の簡易ベッドが並ぶだけの簡素な空間だった。

光一は荷物を置き、小さく息を吐く。

 

その直後、艦内放送が響いた。

 

『全搭乗員に告ぐ。これより各部署にてブリーフィングを行う。機動兵器隊は格納庫へ移動せよ。繰り返す――』

 

光一は部屋を出る。

向かう先は、マニューバスレイブ格納庫だった。

 

格納庫へ足を踏み入れた瞬間、思わず視線を奪われる。

 

整然と並ぶゼロゼロハーガン。

 

その奥に立つ数機のヴィルデ・ザウ。

 

巨大な機体群は、艦内照明に照らされ鈍く白く輝いていた。

 

既に数名のパイロットが集まっていたが、見覚えのない顔ばかりだった。

 

「では、これよりブリーフィングを開始する」

 

前に立つ中隊長らしき男が口を開く。

 

「本艦及び各護衛艦には、多数のマニューバスレイブ及び戦闘機が分散配備されている」

 

男の鋭い視線が隊員達を見回した。

 

「諸君らは、これから生死を共にする仲間だ。そのことを肝に銘じてもらいたい」

 

格納庫の空気が張り詰める。

 

「マニューバスレイブ部隊は全10小隊。各小隊3機編成とする」

 

一拍置き、男は名簿を開いた。

 

「では、小隊メンバーを発表する」

 

静寂。

 

「1番隊――隊長、榊原光一!」

 

突然名前を呼ばれ、光一は一瞬反応が遅れた。

 

「あ……はい!」

 

周囲の視線が集まる。

 

「1番隊、大坂有希!」

 

「はい!」

 

「1番隊、田口文人!」

 

「はい!」

 

「以上3名!」

 

その後も次々と部隊編成が読み上げられていく。

 

そしてブリーフィング終了後――。

 

「各小隊ごとに分かれ、ミーティングを行え!」

 

光一は、大坂と田口を自機前へ集めた。

 

「……2人とも、よろしくな」

 

差し出した手に、大坂が勢いよく応える。

 

「よろしくお願いします!」

 

続いて田口も握手を交わした。

 

その直後、大坂がヴィルデ・ザウを見上げながら言う。

 

「これ……ヴィルデ・ザウですよね?」

 

興奮を隠しきれない声だった。

 

「実際に扱うパイロット、初めて見ました」

 

田口も続く。

 

「この護衛艦にも3機しか配備されてないって聞きました」

 

「やっぱり、ゼロゼロハーガンとは全然違うんですか?」

 

矢継ぎ早に飛んでくる質問。

 

憧れ。

尊敬。

好奇心。

 

二人の目は輝いていた。

だが光一は、苦笑いするしかなかった。

 

「ああ……まあな」

 

曖昧に返す。

それ以上は、何も言えなかった。

 

適当に話を切り上げ、光一はその場を離れる。

 

再び静かな自室へ戻り、ベッドへ腰を下ろした。

 

薄暗い部屋。

 

遠くで響く艦内駆動音。

 

光一は静かに目を伏せる。

 

ヴィルデ・ザウ。

 

誰もが憧れる最新鋭機。

 

――だが。

 

自分に与えられた機体は、“普通のヴィルデ・ザウ”ではなかった。

 

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